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終末世界へようこそ -目覚めたら世紀末でした-  作者: ウムラウト
本編

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93/199

88 和解

-数日後

@ノア6


「お帰りなさいませ、ヴィクター様。」

「「「 お帰りなさいませ、ご主人様。 」」」


 俺は現在、久々にノア6へと帰還していた。というのも、Cランクに昇格してから…いや、それ以前から調子に乗って車を使い過ぎていたので、用意していた燃料が尽きそうになっていたのだ。その他にも、弾薬補給や武器の整備、俺のメディカルチェック、色々と入用な物(ゴムとか避妊薬とか…)の補充が必要だった。

 その為、今回は3日ほど休むことにして、ノア6に休暇に来ていた。カティアは、モニカと留守番だ。まあ、適当な依頼でも受けている事だろう…。


「カイナさんは車の燃料補給、ノーラさんは車内の清掃、ジュディさんは荷台の予備の燃料缶の補充をお願いします。」

「「「 はい! 」」」


 ロゼッタの指示に、3人はテキパキと荷台の空缶を運んだり、車内に掃除機をかけたり、給油をしたりと、仕事を始める。

 今使っている車は、何の変哲もないディーゼルハイブリッドの車なので、軽油があれば問題ない。軽油自体は街でも販売されているのだが、やはり崩壊後の物は信用が置けない。変な混ぜ物で、エンジンがダメになったら堪らない。その為俺の車には、信頼できる【合成石油】しか入れないことにしている。


「ではヴィクター様、こちらに…。」


 ロゼッタに連れられて、医務室へと入る。崩壊後の世界で活動していて、何か体に悪い影響があるかもしれない為、定期的なチェックは欠かせない。


「では、お召し物を失礼します。」


 ロゼッタに服を脱がされて、メディカルポッドに入る。採血やら検査をしている間、ロゼッタのたわわを下から眺めながら会話をする。


「そういや、今日は皆メイド服じゃないんだな。」

「ええ。各自、思い思いの物を着て貰っています。もしかして、以前の方がよろしかったでしょうか?」

「いや、暑いだろ。今のままでいい。…ロゼッタも似合ってるな。」

「ありがとうございます。申し訳ありません、あまり適当なものが作れなくて…。」


 今日のロゼッタは、ゆったりとした白いTシャツとデニムのホットパンツという、涼しげな格好をしている。だが胸が大きい為か、シャツが持ち上がり、チラチラとヘソが出てしまっていた。とてもエロい…。


「あの…ヴィクター様の脈拍が急に上がったのですが…。」

「…ごめんなさい。」


 ロゼッタは胸が大きい為、彼女の身体に合った服が少ないのだ。彼女の胸が大きいのは俺のせいなので、何とかしてあげる責任があるだろう…。幸いにも、それが可能な人間が身近にいることだしな。


「そういえば、前に話した娘…時期を見て連れてくるよ。」

「ああ、あのヴィクター様が購入された…確か、モニカさんでしたね。」

「ああ。だから、悪いがしばらく我慢してくれ。」

「お気使い、ありがとうございます。それで、本日のご予定をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「ああ。例のロボット達は準備できてるだろ? あれの配置に行く。昼食後に出発かな。」

「了解いたしました。準備しておきます。」

「ああ、それから今回はあの3人を外に出す。装備を持たせて、入り口に集合させておいてくれ。」



 * * *



-昼

@ノア6 入り口


「ヴィクター様。準備完了しました。」

「…こう、数が揃うと壮観だな。」


 ノア6の入り口には、治安維持ロボットのテトラローダーがずらりと並んでいた。俺が銀行から回収した物や、死都でうろついていたのを拉致してきた物を、整備・改修した物達だ。

 これらを死都に一定の間隔で配置し、パトロールさせることで、ノア6-秘密基地、秘密基地-カナルティアの街の安全な経路を確保して、移動時間を短縮するのが今回の目的だ。


 今回の仕事は、連れて行くロボットの数が多く、一度に出発できる機体数が限定されることと、効率を考えて2チームに分けて行うことにした。

 第1陣は、俺とジュディで秘密基地-カナルティアの街にロボットを配置しに行く。続く第2陣は、ロゼッタとカイナ、ノーラの3人でノア6-秘密基地の配置を行う予定だ。

 正直、俺とロゼッタだけで充分だが、3人もたまには外に出ないとストレスが溜まると思い、同行させることにした。


「では、私達は第2陣で出発致します。お気をつけて…。」

「ああ、頼むぞ。ジュディ、来い!」

「は、はい!」


 今回は、皆安全の為に強化服を着ているのだが、まるで映画のキャットスーツを着た女スパイ集団にしか見えない。これはこれで、目の保養になるな。

 ロゼッタとジュディに関しては、二人共良い身体をしている為に、セクシースパイといった感じだ。…バイクとか乗り回してそう。

 カイナとノーラも、仮装イベントで気合い入れて来た娘って感じで、これはこれでいい…。


「あ、あの…ご主人様?」

「あ?ああ、じゃあ車に乗ってくれ。」

「では、ゲートを開きます!」


 ロゼッタの号令と共に、ノアのゲートが開かれる…。



 * * *



-数時間後

@死都 秘密基地周辺


「さてと、コイツで最後だ。ちょっと、設置がてらガラルドに挨拶して行くかな。それと…。」


 ノア6を出てから、俺は秘密基地までを直線で駆け抜けた。何せ後ろには、ロボット兵団がいるのだ。途中、何度かミュータントの襲撃があったが、全てねじ伏せてしまった。

 後は、秘密基地に設置すれば完了だ。念のため、秘密基地の内と外に1台ずつ配置することになっているので、いずれにせよ、中まで入る必要がある。



 秘密基地の地下駐車場に入って、ロボットの設置を終えると、ジュディに向き合う。今回ジュディと来たのは、彼女が裏切らないか…完全にこちら側に引き込めているかを、確認したかったのだ。箱から出した時は恭順を誓っていたが、気持ちが変わらないとも限らないからな。


「ジュディ…聞きたい事がある。」

「な、何でしょうか…ご主人様…?」

「それだ。お前、前はもっと勝気だっただろ?無理してないか?」

「そ、それは…。」

「まさか、演技してるのか?」

「ち、違います!そんな事してません!口調は、直してるところで…」

「まあ、いっか。とりあえず、ソレ外すか。」

「えっ?」


 カチリと言う音と共に、ジュディの拘束首輪が外れ、地面に落ちる。これで、ジュディは俺に対して危害を加える事が出来るようになった。


「えっ……外れ…た!?」

「ほら、首輪が外れたぞ? 今なら、自由になれるがどうする?」

「ッ!?」

「ほら、お前はどうしたいんだ?」


 ジュディは驚いた表情を浮かべ、呼吸を荒くする。困惑しているのか、額からは汗が滴っている。


「このままでいいのか?それとも、野盗に戻るか?」

「…や。いやだ!もう、そんな事したくないッ!!私はここで、皆んなと一緒にいたいんだッ」

「そうか。…で、お前は俺が求めたら、その身体を差し出すか?」

「もちろん!いつでも!!」

「え、なら証明して欲しいなぁ…なんて…」


 ジュディは、おもむろに強化服のチャックをおろしながら俺に抱きつくと、俺の唇を奪った。


「ぷはっ…ど、どうですか? 最後までヤりますか?」

「す、ストップ!お前、今日ダメな日だろ!? 分かったから、やめろ!」

「は、はい…。」

「…お前の気持ちはよくわかった。これからも俺たちといろ。」

「はい、ありがとうございますッ!」

「それから…ジュディ、すまなかった!」

「えっ…?」


 そう、俺はジュディに謝りたかった。あの後ジュディにした仕打ちを、アレは酷すぎたと後悔していた。だから、今日は二人きりになって、ジュディの恭順が確認でき次第、真っ先に謝ろうと思っていたのだ。


「その…前に色々と酷い事をしただろ?ずっと謝りたかったんだ。」

「い、いや…あれはアタ…私が悪かったんです!意地を張って、ご主人様の手を煩わせて…。

 マ…ロゼッタさんから聞きました。あれは私を更生させる為に、仕方なかったんだって!」

「……。」


 …正直、身体が目当てでした。本当にごめんなさい!でも都合が良いから、このまま通そう。


「ご主人様のおかげで、私は自分の居場所を見つける事が出来ました。感謝こそすれ、恨む事なんてありません!」

「でも、無理矢理処女奪った男だぞ?そんな奴を許してくれるのか?」

「確かに、あの時は恨みました…。でも、ご主人様はちゃんと責任を取ってくれてるじゃないですか!」

「ん、責任?何だそれ?」


 ジュディから聞いた話をまとめると、崩壊後の女性は貞操観念が高く、“男女の仲になる=結婚が前提”と考えているみたいだ。大方、男に責任感を持たせる様にする為だろう。…おっも。

 最近フェイがやたらと、俺との結婚をチラつかせてくる理由も分かった気がする…。


 通りで、俺が性欲を溜め込んだ時、街中でナンパが上手くいかなかった訳だ。…単に俺に魅力が無かっただけかもしれないが。

 それに、この話を今日聞けて良かった。この3日の休暇の間に、カイナとノーラを頂こうとしていたのだ。…いつも以上に気を遣わないとな。


「それに…。」

「うん?」

「私…自分より強い男にしか抱かれたくなかったので。だから、ご主人様は私の理想の男性なんですよ?」

「ア、アリガト…。」

「ですので、私に出来る事であれば、何なりと…。」

「あ…じゃあさ、喋り方を元のヤンキー姉ちゃん風に戻してくれよ。お前、何か無理してそうだし。」


 俺は、ジュディが(かしこ)まっているより、元の勝気な態度の方が好きだ。それに、無理に喋り方を矯正すると、ストレスになるしな…。


「えっと…ヤンキー姉ちゃんって、何ですか?」

「…ウチに来る前の喋り方でってことで。」



 * * *



-40分後

@死都 ノア6近郊


「スゲェ、あっという間に着いちまうな…。」


 今まで、秘密基地からノア6までは、2〜3時間かかっていたので、これは物凄い時短になる。全く、ロボット様々だな。


「あの、ご主人様。」

「ごほん!口調。」

「あっ…。えっと、ヴィクター…聞きたいん事があんだけど…。」

「何だ?」

「アタシらに頼みたい仕事は分かったよ。けどさ、そんな遠くないじゃん…わざわざアタシらが常駐しなくてもいいんじゃないのさ?」

「……。」


 ジュディには先程、彼女達に任せたいと思っていた、秘密基地の管理人の仕事について話した。その話を聞いて、自分達が何の為に日頃から訓練されているのかを理解したようだ。

 だが、ジュディからの思わぬツッコミに「確かに…。」と思ってしまった。安全な経路が確保された以上、定期的に様子を見に行けば、秘密基地の保全は出来るだろう。


 …うん。考えておこう。



 * * *



-数分後

@ノア6


 ノア6に帰ると、先に帰還していたロゼッタ達が待機していた。


「ヴィクター様、お疲れ様でした。」

「ああ、そっちもご苦労様。」

「この後は、如何しますか?」

「う〜ん。久々に、ウェイトトレーニングでもするかな。ジムに行くよ。」

「かしこまりました。」

「あっ、ジュディを連れてくから。お前達は自由にしていいぞ。」


 ジュディは、アスリートみたいな身体をしているので、どの位の重量を挙げるのか気になるのだ。趣味も筋トレらしいし、運動する女性は美しい。目の保養にさせてもらおう。


「ほらジュディ、行くぞ。」

「はいよ、今行く。」

「「「 !? 」」」

「あのジュディさん、言葉使いが…」

「ああ、ロゼッタ。言葉使いの矯正、今日でやめていいぞ。」

「は、はい。分かりました。」


 彼女達に丁寧な言葉使いをさせていたのは、彼女達が孤児だと聞いて、俺が偏見を持ったからだ。孤児だから、丁寧な言葉使いとか知らないんだろうなと思って、ロゼッタに矯正を頼んだのだ。

 だが、いざ彼女達の出身であるウェルギリウス孤児院を見たら、子供達はあの神父の下に厳しく教育されていた。まあ、カティアのような例外のバカもいるだろうが、見る限りこの3人は大丈夫そうだ。やれと言われても、できるだろう。


 その後、ジムでジュディとトレーニングをしたのだが、彼女は体重当たりの出力がとても大きかった。女性なのにそこら辺の男では、まず挙がらない重量のウェイトでトレーニングしていたのだ。

 流石に俺のウェイトの方が重いが、負けられないと感じ、いつもより張り切った結果、後日バキバキに筋肉痛が襲いかかってきた。


 良かった事と言えば、夜、カイナに「ご主人様って、超ムキムキっすね!?」と言ってもらえた事か。…褒め言葉だったかは分からないが。

【合成石油】

 複数の藻類や、微生物から生成された炭化水素より作られる人工石油製品。計算上は、炭素循環を崩さず、合成石油の燃焼により生じる二酸化炭素は、合成石油精製時に大幅に相殺されるとされ、エコなエネルギーとして利用されていた。

 この技術の確立により、電気自動車の製造にかかる環境負荷と製造コストが、従来の内燃機関車を上回る事になった。結果として、内燃機関からEVへと主流が移っていた自動車産業は、完全に内燃機関へと主流が逆転することになった。



【死都用テトラローダー】

 テトラローダーに、セルディア中央銀行から頂戴したレーザータレットを改造した、小口径レーザー砲を搭載した物。

 テトラローダーは、衛星で発電された電力を無線送電されて動いている為、実質無限の動力源を持つ。その為、電力を動力とするレーザー砲との相性が良く、従来の機種よりパワーアップしたと言える。


武装 ・6.8mm口径機関銃×2(両腕)

   ・18.4mm小型滑腔砲×2(.12ゲージ用スタン弾

    を主に使用、両腕)

   ・60mmグレネードランチャー(右肩)

   ・小口径レーザー砲(左肩)



【秘密基地防衛用テトラローダー】

 地下駐車場内という閉所での戦闘を想定して、外付けの装甲板を増設し、いざという時に敵の攻撃から守ってくれる、遮蔽物として機能するようになっている。また、肩部のグレネードランチャーを撤去して、代わりに小口径レーザー砲を2門装備した。それに伴い、コンデンサーやラジエーターを背中に増設した為、通常のテトラローダーよりもゴツい外観をしている。


武装 ・6.8mm口径機関銃×4(両腕)

   ・小口径レーザー砲×2(両肩)

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