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終末世界へようこそ -目覚めたら世紀末でした-  作者: ウムラウト
本編

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52/199

47 賞金稼ぎ1

-翌日(街に来て5日目)

@レンジャーズギルド


「あ…ヴィクターさん……。」

「おう!おはようミシェル。…クエントは一緒じゃないのか?」

「ヴィクターさん…き、昨日は大丈夫でしたか?」

「ん? ああ、何だ見られてたのか。あの警備隊長のおっさんが道端で吐きやがってな……あんまり強くねえのに、俺と一緒の物飲みたがるのがいけないんだ。」

「え?」

「ん?」


 ミシェルは、フェイにヴィクターが滞在している宿を漏らしてしまっていた為、昨日の惨状がどれだけ酷かったのか聞きたかったのと、それを招いてしまったのが自分であることを謝りたかったのだ。

 だが、実際はヴィクターが街を徘徊していたおかげで、フェイと会わずに済んでいたので、会話が噛み合わない二人であった…。


「それで、クエントはどうしたんだ?」

「え…ああ! クエントさんから伝言なんですが、今日は仕事しないそうです。なんでも、新しい装備を閃いたそうで…さっそく作るんだって言ってました。」

「なんだ、あいつそんな事してるのか? いい趣味してるな。」

「えぇ…そうですか?」


 自分も、ノア6で武器の開発などをしていたのでその楽しさが分かるヴィクターと、完全に謝るタイミングを逃したミシェルだった。


「あと、顔が腫れてて表に出られないって言ってました。」

「なんだそれ、病気か? 大丈夫なのか?」

「いえ、とある女性に平手打ちされて…。」

「ああ、なら大丈夫だな。アイツも懲りないやつだな…また尻でも触ったんだろ?」

「えっと…その…。」

「まあいい。で、今日はどうする? 俺は何か依頼を受けようと思ってたんだが…。」

「僕も今日は依頼受けようと思ってて…あんまりお金にも余裕ないですし。 それで、その…ヴィクターさんが良かったら、一緒に仕事してもらえないでしょうか?」

「もちろんだ! なんか、ランク低いと依頼もしょぼいのしかないしな。なんせ俺、Fランクだからな…よろしく、ミシェル先輩。」

「…それ、やめてください。」


 こうして、ミシェルと二人で依頼カウンターに並ぶと、ブレアが担当していた。


「あー、Eランね…じゃっ、これとこれ? はい、選んで。」

「えーと、どれにしようかな…。」

「チッ…時間切れ。はいこれね、ドブさらい行って来て。」

「ええっ! ちょっとま…。」

「あ゛!? Eラン風情が何なの? 後ろ並んでるだろ!さっさと行けやッ!!」

「そ、そんなぁ…。」


「あー、Dランね…。(あ~コイツは出世しねぇわ…。)」

「じゃあ、この中から選んで。10秒以内で。」

「えっ!? ええと…。」

「10…9…8……あ~メンドクサ…0!はい0! これでいいね?はい、登録したから行ってきて~。」

「ええっ、まだ何も見て…。」

「はい、つぎ~!」


 ブレアは並んでいる列を、次々と捌いていった。意外と仕事ができる娘だったのだろうか…。


「…意外と、仕事してんだなあのギャル。」

「はは…ブレアさんが立ってる日は、皆ハズレって言ってますけどね…。」

「よし、次で最後か。ああ、だるかったぁ~。はい、次!」


 俺達の番が来たようだ…。俺達は依頼カウンターへと歩いていく。


「ッ!ああ!ヴィクターさん、おはようございますぅ♡(こいつ、Fランだけど絶対何か裏あるし、まあ媚びといて損ないっしょ。)」

(…なんだろう、心が透けて見える気分だ。)

「え?何か言いましたぁ~?」

「なんでもない…ミシェル、頼む。」

「は、はい。」


 ミシェルは、ドッグタグをカウンターに出す。


「チッ…はっ! はい、確認しますねぇ~。」

(何か舌打ちしたか、こいつ?)

(ブレアさんは、低級のレンジャーが相手だと機嫌悪いんです…。)

(…救えねえな。)

「お待たせしましたぁ! この中の依頼でどうでしょうか?」

「…しょぼいな。」

「まあ、僕のドッグタグのEランク基準の依頼しかないですからね…。」

「ん? なあ、あれ何だ?」


 俺は、ギルドの壁の一部に貼ってある顔写真やら似顔絵が書かれた紙を指さした。最初は何かのポスターかと思ったが、よく見ると顔写真の下にデカデカと金額が書かれていた。


「えっとぉ、あれは賞金首の情報になりますね♡」

「賞金首?」

「はい、ギルドで指名手配している人です♪ 生け捕りなら賞金満額、ケドォ…殺しちゃうと賞金が減っちゃう事がありますよ♡」

「それだ!!」

「え!? あ、ちょ…。」

「あっ、ヴィクターさん!」


 俺は、賞金首のポスターを眺めて、ちょうど良いものを見つけた。


「ミシェル、こいつ捕まえようぜ!」


――――――――――――――――――――――――――

 [ヤグリ 賞金150,000Ⓜ 推奨ランクC]


 元Cランクレンジャーのこの男はギルドを裏切り、ギルドのキャラバン護衛の依頼の際にキャラバンを皆殺しにして荷物を奪った。その他にも、禁制品取引、詐欺、殺人、誘拐、婦女暴行などに関与している疑いがある。逃亡した現在、カナルティアの街で潜伏している可能性が大きい。

――――――――――――――――――――――――――


「……ええと…やめませんか?」

「えっ、なんで? 賞金高いじゃん。」


 実は、昨日の服のオーダーメイドが結構高くて、所持金が心許無くなっていたのだ。だからEランクの依頼よりも、この賞金首を追うことに俺は魅力を感じていた。


「嫌ですよ! 推奨ランクCですよ!? ヴィクターさんは良くても、僕じゃ足手まといになっちゃいます!!」

「いや、それが役に立つんだよ!」

「えっ?」

「俺に考えがあるんだ。そして、それはミシェルにしか出来ない事なんだ!」

「…そ、そうなんですか。」

「だから、やろうぜ!賞金稼ぎ(バウンティハント)!!」

「そ、そこまで言うなら…。」

(チョロい…。)




-ヴィクター達が出て行って数分後-


「はぁ、はぁ…んぐっ、はぁ…」


 昨日深酒してしまったせいだろうか、フェイは珍しく遅刻していた。息を切らしながらギルドに入ると、アレッタが心配しながら寄って来る。


「フェイさん、遅刻なんて珍しいですね…大丈夫ですか?」

「はぁ…はぁ…ごめんなさいアレッタ…遅刻するなんて、ほんと私ってダメね…。」

「いえ、そんなこと…。」

「全く、リーダーが遅刻とはかないませんなぁ。」


 声が聞こえた方へ目を向けると、ギルドの副支部長パンテン・ルーンベルトがイライラした様子で立っていた。


「…()支部長、いらっしゃったのですか。」

「フェイ君、いい加減にしたまえ! 私は正式にギルド本部から、ここの支部長に任命されているのだぞ!?」

「……。」


 先日、ギルド本部からの書類が届いたそうだ。書類の内容は、副支部長の支部長昇進であった。

 だが、フェイには…いや、ギルド職員の誰もが信じていなかった。こんな横暴な奴が、ギルドの支部を任せられる筈はないと。また、パンテンが仕事をしている所は誰も見た事がなく、普段からギルドにいない事が多い事と、先の街周辺への人材派遣により、ギルド職員からは煙たがれていた。


「…今日もお出かけですか?」

「ああ、そうだが?」

「そうですか…それは結構ですが、たまには事務仕事の方もやって頂きたいですね。」

「ふん、それはお前達の仕事だろう? それに、遅刻した奴にどうこう言われたくないわ!!」

「…失礼しました。」

「ふん、少しは私の娘のように、お(しと)やかに振る舞えんのか…まったく。おっと、もう行かないと…。」


 パンテンは、慌ててギルドから出て行く。


「…行ってらっしゃい、()支部長。」



 * * *



-数時間後

@街北部地区 ブラックマーケット


「へへへ…ボクぅ、迷子かな?」

「ヒヒヒ…おじちゃん達が一緒にママを探してやるよぉ!!」

「……。」


 先日、ヴィクター達が襲撃の第1作戦の時に訪れたブラックマーケットにて、ガラの悪い男達に絡まれている少年がいた。金髪碧眼で整った顔立ち…そう、ミシェルである。


(役に立つ事が、まさか囮だとは……。)


 現在、目的の賞金首はここカナルティアの街に潜伏しているらしい。犯罪者の居場所といえば、闇市場かスラムと相場が決まっているというのが、数多くの映画作品を見てきた俺の考えであった。そして、現地の事情通に居場所を聞いて回れば、そのうち標的にたどり着く筈だ。分からないことは人に聞く…とても基本的な事だ。

 だが、そこら辺の人間に手当たり次第に声をかけても、その人間が事情通とは限らない。だから、こうしてミシェルをブラックマーケットの中を一人で歩かせて、現地の事情通(ゴロツキ)をおびき寄せていたのである。


「へへ…おいどうした僕?怖くて声が出ねえってか?」

「ヒャヒャヒャ、これから闇奴隷として生きていくんだぞ?怖くないわけないわな!!」

「……はぁ…ワー、タスケテー、ヴィクターサン…。」

「「 ……はあ? 」」

「おいおい、おっさん達よぉ。ウチの連れが怖がってるだろぉ!? どう落とし前付けてくれんだ?」

「んだテメェは!?」

「やんのかゴラァ!!」


 ちょうどよくゴロツキ…じゃなかった、現地の事情通が釣れた。だが、コイツ等…ミシェルを囲んで怖がらせているではないか。しかも、闇奴隷とか口走っていたな…これはちょっと、お仕置きが必要だな♪



-数分後-


「し、知らねぇ! ほんとに知らねえんだよぉ!!」

「お、俺達はただのゴロツキなんだ! そんな事は知らねえよぉ!!」

「おいおい、嘘はつくなよ? ヤグリは今日でお(しま)いになる予定だからさ、別に話したって問題無いだろ?

 それとも、アンタ達がここで死にたいって言うなら協力してやってもいいぜ?」


 俺はわざとらしく、手に持ったカランビットナイフに指を掛けて、くるくると回して見せる。


「「 ひ、ひぃ! 」」

「……ヴィクターさん、先日もこんな事してたんですか?」

「あ、悪いミシェル。ここからは目を閉じといてくれ。」


 ここから先は年齢制限…(略)


-ゴキっ! -グギリッ!

「あんぎゃーッ!!」「ヒョオッ!!」

「ふう、ありがとな! お礼はそれで勘弁してくれ。」


 事情通の話によれば、目的の賞金首…ヤグリはブラックマーケット内で小規模なギャングを率いているらしい。小規模だが結構なやり手らしく、ヤグリ自身が元Cランクレンジャーとして高い戦闘力がある為に、他の組織も迂闊に手を出さないらしい。少し痛めつけたら、簡単に喋ってくれた。

 それから、ゴロツキ達には情報のお礼として、腕を折らせてもらった。どうも、人を誘拐して闇奴隷にする組織の末端の構成員だったらしいので、遠慮なくやらせてもらった。別に警備隊に突き出しても良かったが、目的は賞金首なので、一々捕まえていられないのだ。


 …だが後に、ヴィクターの所業がブラックマーケットで広がり、()()()の異名で恐れられる事になるのだが、それはまた別の話。

【推奨ランク】

 指名手配の賞金首につけられる、脅威度の様なもの。賞金首稼ぎ(バウンティハント)は、基本的に自由依頼なのでどのランクの者が当たっても問題は無いが、この推奨ランクを満たしたレンジャーが対応するのが望ましいという指標。



【危険度】

 主に、ミュータントに設けられている脅威度の指標。


A…街が存亡の危機を迎えるレベル。デュラハンなど。

B…街に大ダメージを与えるレベル。アーマードホーンなど。

C…村に大ダメージを与えるレベル。キラーエイプ(単体)など。

D…人畜に被害が出るレベル。

E…脅威度は低いが、安全とは言い切れない。



ロゼ《ヴィクター様…やたらと喧嘩を売ったり、相手を煽っておりますが、何か意味はあるのでしょうか?》

ヴィ《いや、あれは相手に先に手を出させる為さ。相手が先に暴力に訴えてきたら、こちらは自衛という大義名分が得られるからな。》

ロゼ《な、なるほど…。では、相手をやたらと痛めつけるのは?》

ヴィ《…俺に、上手く情報を聞き出す話術がないからです!悪かったな!! それに大抵の奴は、痛めつければベラベラ喋ってくれるしな。》

ロゼ《…楽しんでないですよね?》

ヴィ《まさか! いくら犯罪者に人権が無いとしても、与えるのは最低限の苦痛にしてるさ。(さっさと喋れば…)》

ロゼ《そ、そうですか。》

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