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終末世界へようこそ -目覚めたら世紀末でした-  作者: ウムラウト
本編

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22 訓練

気まぐれ投稿させていただきました。

(これからは、自分がやりたいことをやってみな!好き勝手に自由に生きて、そして生き抜いてみせろッ!!)


 ガラルドの最期の言葉がリフレインする。


「ああ、やってやる!この世界で、俺は生き抜いてみせるぞッ!!」

「……おはようございます、ヴィクター様。今日はお早いのですね。」

「ぶへぇ!?」


 目を覚ますと隣に金髪の美女が寝ており…以下略。


「…なあ、俺何か言ってたか?」

「はい。何やら決意表明のようでしたが、確か…。」

「わぁ!言わんでいいから!!」

「左様でございますか。」

「はぁ…。今は6時か、早く目が覚めちまったな。」

「もう一度寝られますか?それとも朝食に致しますか?」

「…いや、ちょっと朝食前に運動してくる。」

「運動…ですか?」

「ああ、ちょっと訓練場で走ってくる。ロゼッタは風呂入ってこい。」

「分かりました。」


 ロゼッタと二人。死ぬまでここで、のんびり怠惰に暮らすのもいいかもしれない。

 だが、俺はガラルドに命を救われた。俺は先程見た夢のせいか、その恩人の遺志を継がなくてはという使命感を感じていた。


(それに、好き勝手に自由に生きるってのも楽しそうだしな!)


 だが、俺はまだまだ弱い…。

 俺が、しっかりしてれば恩人を死なせずに済んでいたはずだ。それに、自由に生きる為に力は絶対に必要だ。

 俺は、雪が溶けて春を迎えるまで、ノア6に篭って訓練しようと決めた。ちょうど、それができる環境と安全は確保されていることだし。


 俺は、訓練場で50分程走った後、大浴場で汗を流す。


「ふぃ~。」


<<ヴィクター様、これからの予定はどうされますか?>>

<<風呂から出たら、部屋に帰る。朝食は部屋で食べよう。>>

<<分かりました。準備しておきますね。>>

<<ああ、頼む。>>



 * * *



@ヴィクターの部屋


「ご馳走様でした。」


 朝食を平らげた後、ロゼッタにノア6の外で俺が経験したことを話し、今後の方針を話した。


「それで、その恩人の遺志を継ぐ為にレンジャーになる…そういう事でよろしいでしょうか。」

「ああ、そうだ。」

「でしたら私はどうしたら良いのでしょうか?」

「ロゼッタには、ノア6の管理とここから俺のサポートを頼みたい。」

「分かりました。ご期待に添えるよう、努力致します。」

「ああ、頼む。と言っても、外に出るのは春が来てからだな。それまでは、外へ出るための準備期間だな。とりあえず、今日は訓練だな。ちょうどおあつらえ向きの教官様もいらっしゃることだしな。」

「…そんな方いらっしゃいましたっけ?名簿にはヴィクター様しかノア6にいらっしゃいませんが。」

「ははっ、お前の事だよロゼッタ。俺を強くする為に頑張ってくれよ!」

「はい、承りました!」

「じゃあ、11時頃に訓練場だな。それまでは、工房棟でロゼッタの服を作る。」


 工房棟には、自動の縫製機器や【万能製造機】などが存在する。原料さえあれば、基本的に何でも作ることが可能だ。

 とりあえず、ロゼッタはバスローブと昨日の運動着しか持ってないので、他の服も用意してやらないとな…。俺のせいで、ロゼッタは驚異の胸囲を獲得しているので、下着はちゃんと用意しなくては。

 実は衣類品の倉庫を探しても、ロゼッタに合う物が無く、かろうじて入ったスポブラを着用させる事を余儀なくされていたのだ。

 …別に、好きで着せてたわけじゃない。好きだけど。



 * * *



@ノア6:訓練場


「それでは、訓練を始めましょう。」

「ああ、頼む。」

「では、行きます!!」

「来いッ!!」


 ロゼッタの衣類を一通り作り終えた後、訓練場でナイフを用いた格闘訓練を行う。ナイフといっても、ゴム製のダミーナイフだ。安全に訓練できるはずだ。


 キュッ!キュウッ!!と靴底が摩擦で悲鳴を上げている。そろそろか…。

 ロゼッタはまだ、生まれて間もない。昨日の訓練でも感じたが、ロゼッタはまだ身体の最適化も済んでおらず、筋力や筋持久力も俺より低いと思われる。俺は、戦闘を長引かせて隙をつくり、一気に攻める作戦を実行した。


「…りゃあッ!!」

「…ッ!はぁ!!」

 

 ロゼッタに疲労の色が見られた所に、素早くナイフを突き出す。

 ロゼッタは一瞬驚いた顔をしたが、俺の突き出された腕を両手で素早く掴むと、腰を落とし、俺を背負い投げた。

 

 ガシィッ…ドサッ!!

「ッてぇー!」

「はぁ、はぁ…。ヴィクター様、ナイフに集中しすぎだと思います。

 攻撃の手段は、体術も考慮すべきだと思います。」

「うへぇ~、いけたと思ったのに。」

「確かに危ない状況でした…。明日から、ヴィクター様と一緒に走った方がいいのでしょうか。」

「そうだな。持久力をつけるにはいいかもな。」

「はい。では、次参りましょうか。」

「えッ!?いや、ちょっと休もうぜ。」

「レンジャーというのは、強襲や偵察を行う軍のエリートのはずです。こんなことで休んではならないと思います。」

「え、レンジャーってそっち!?いやロゼッタ、そっちのじゃないぞ!」

「構えて下さい。敵は待ってはくれませんよ?」

「ひょえ~ッ!!」


 この後ちゃんと説明したが、「外はもう無法地帯です。自衛するには訓練しておくに限ります。私も頑張りますので。」といって、特殊部隊用の訓練メニューをやるハメになった。

 教官が美人なことくらいしか良いことが無かった。勘弁してくれぇ…。



@夕方 ノア6:ヴィクターの部屋


「おお!似合ってるじゃん。」

「ありがとうございます。」

「とりあえず、しばらくソレを着て過ごすといい。」


 今、ロゼッタが着ているのは黒地で白いエプロンのメイド服だ。……設計データが入ってたんだ、着せてみたくなるのも仕方がないさ、うん。それに、ちゃんとロングスカートでクラシカルな清く正しい奴だ。決してやましいモンじゃない!!…はずだ。

 その後、ロゼッタに『メイドの作法』を学習させ、「ロゼッタは今日、俺のメイドさんやってね♪」と夕飯を部屋に持ってこさせる。


「本日のディナーになります。身体を動かされていたので、タンパク質多めの物をご用意いたしました。」

「すげぇ。金持ちってこんな感じなのかね。」


 ロゼッタに給仕させ、金持ち気分を味わっているとテーブルの上が1人前しかないことに気が付く。


「あれ、俺の分だけか?ロゼッタのはどうした?」

「メイドがご主人様と、食事を共にというわけには参りません。」

「えッ!!いや、そこまで真剣(マジ)にならなくても…。」

「私は今日、ヴィクター様のメイドですので。お気になさらず。」

「……なんか、一人で食べてて傍でそんなにジッと見つめられると、気になるなぁって。」

「メイドは家具です。お気になさらず。

 それよりもグラスが空です、お注ぎいたしますね。」

「…お願いします。」


 ロゼッタを揶揄(からか)うときは、注意が必要だな。と痛感したヴィクターであった。

【万能製造機】

 正式名:Dwarf FactoryⓇ

 家庭用の小型の物から、施設用の中~大型の物が存在する。削り出し、プレス加工、鋳造、蒸着etc...基本的な加工をほぼすべて実行可能。要は、素材が選べる精巧な3Dプリンターの様なもの。設計データさえあれば、どんなものでも作成できる。

 基地に1台あれば、兵器の消耗部品などをすぐに用意できるようになった。ただし、民間の物は銃器などの危険物を作製できないよう、設計データは企業公認のものでないと使用できない仕様になっていた上、製造履歴などが記録されていること、機器の価格が高いことから、崩壊前の時点で犯罪利用はされていなかった。

 基本的に万能製造機での大量生産は向いていない。

 崩壊後は、内部のブラックボックスが多く修理できる人間がそもそもいなかった事と、経年劣化により稼働状態の物は極めて少ない。

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