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終末世界へようこそ -目覚めたら世紀末でした-  作者: ウムラウト
本編

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122/199

117 内戦3

 [前回のあらすじ]

・元Aランクレンジャー、ベアトリーチェがレストランに来た自治防衛隊を血祭りに。

・ジェイコブ神父とベアトリーチェが合流。

・ヴィクター達が、そろそろ街に…

-翌朝(内戦3日目)

@カナルティアの街近郊の草原


「うわ、酷い……。」

「そうだな…。」


 カティアが、遠くに見える街を見て、そう呟いた。街からは、いくつも煙が上がっており、戦闘が繰り広げられているのが想像できた。


 現在、俺達はカナルティアの街の近郊で一旦小休止をとり、武装を整えたり、ジュディ達をビートルに乗せ替えたりしていた。

 カナルティアの街では今、市街戦が繰り広げられている。市街戦では、咄嗟に敵と出会い戦闘が発生する。一応、全員が防弾の車両に乗ってはいるが、何が有るかは分からないので、万一に備えて全員の武装は必須だ。


「よし、準備できたら行くか!」


 とりあえず、目指すは南門だ。俺達は今、西門側にいるが、迂回して南門から街に入る。ロゼッタの話では、南門は警備隊の勢力下にあるらしいので、そこからガレージを目指す。

 そうすれば、安全かつ最短距離でガレージに行く事ができる。(※ガレージは南部地区にある。)


 そして、ガレージで補給を済ませた後は、急いでフェイの救出に向かう。

 一応フェイからは、こまめに連絡を貰っているので無事だとは思うが、敵の目的が分からない以上、何をされるかは分からない。早いとこ助け出すに限る。



 * * *



-数十分後

@ガラルドガレージ


 南門では、警備隊の生き残り達が次々と集結しており、反攻の準備を行なっていた。

 いつものおっさんがいなかったが、話を聞けば警備隊本部で籠城しているらしく、連絡がつかない状態らしい。

 ちなみに、警備隊と自治防衛隊が戦闘状態になったのは、あのおっさんが宣戦布告したからだそうだ。まあ、悪いのは自治防衛隊なのだが、準備が整わない内に戦闘に突入した為、警備隊は現在劣勢だそうだ。


 南門の警備隊員達が、俺達の事を仲間になって欲しそうな目で見てきたが、今はフェイの救出しか考えていないので、今のところは丁重に辞退させて頂いた。



 そんなことがありつつ、ガレージへと帰ってきた俺達だったが、ガレージの前に大型トラックと、布をかけられた死体と思われる物が並べられているのを見つけた。

 多分、ロゼッタが話していた戦闘の跡だろう…。


「何よこれ! 何で家の前に死体の山が!?」

「ほら、ガレージに自治防衛隊が攻めて来て、ロゼッタが何とかしたって話しただろ?」

「いや、聞いたけど…。これ、全部ロゼッタさんがやったの!?」

「まあ、ロゼッタさんだからね。」

「流石、マ…ロゼッタさんっす!」

「ロゼッタさんは最強。」

「……私も、ちゃんと訓練してもらおうかな。」

「ぼ、僕もお願いしたいです…!」


 カティアとミシェルが驚いているが、ジュディ達は当然という顔をしている。彼女達は、ロゼッタの強さを身体で感じている為、そう不思議ではないのだろう。


 死体の山を尻目にガレージの中に入ると、ロゼッタとモニカが出迎えてくれた。


「ヴィクター様、皆さん、ご無事で何よりです。」

「皆さん、お帰りなさい!」

「ああ、ただいま。それにしても…どこの悪役だよ、ロゼッタ。」

「…?」


 出迎えてくれたロゼッタは、サングラスをかけ、全身真っ黒で厳つい格好をしていた。その姿はまるで、映画の悪役か、ダークヒーローといった感じだ。

 ロゼッタの瞳は、バイオロイド特有の赤色をしている。その為、怪しまれないようにサングラスをしているのは分かるが、そんな厳ついレザーコートなんて持ってたか?


「その上着、どうしたんだ?」

「モニカさんに頂きました。凄く動きやすいですよ。防御力もありますし。」

「どうですかヴィクターさん、あのワニ革で作ったんです! ロゼッタさんに似合うと思うんですけど、どうですか?」

「あ、ああ…。似合うと思うぞ!」


 実際、似合ってる。金髪に黒は映える…。というか、金髪はなんでも合うな!(ヴィクターの私見)


「ロゼッタさん、カッコいい…。」

「ヤバいっす…!」

「……好き。」

「そうだ、皆さんのもあるんです。是非着てみて下さい!」

「本当に! やった〜!」

「あ…ごめんなさい、今回はジュディさん達だけです。」

「な、何で!?」

「いや、お前もう持ってるじゃん…。」


 カティアは、既に防具(普通の牛革加工)を持っている為、必要性が低い。またミシェルの防具は、まだ身長が伸びているかもしれないので、もう一度詳しく採寸したい為に作らなかったらしい。


 聞けば、今までモニカはワニ革を使ってジャケットやコートなど、皆の防具になる物を作っていたらしく、街が内戦状態になっている事に気が付かなかったらしい。無事で本当に良かった。


 ジュディ達が、モニカのワニ革作品の試着に行く間、俺とカティア、ロゼッタは、補給品の整理を行う事にした。

 ……ミシェルは、鼻息を荒くしたモニカが連れて行ってしまった。


 俺達は、ガフランク防衛戦で手持ちの弾薬をかなり消費していた。これからフェイの救出に向かうにあたり、補給は必須だった。

 また、市街戦を想定した装備を、必要な者に支給する予定だ。カティアは、セミオート式のカービンを使用しているが、接近戦ではフルオート火器の方が有利だ。

 ノーラの狙撃銃も、市街戦では過剰な威力で、取り回しに難がある。以前に新しい装備を渡す約束もしてあったので、丁度良い機会になる。


「ほら、カティア。これを使え。」

「えっ、何これ遺物!?」

「違う、俺が作ったんだ。」

「作ったって…ヴィクターって、何なの? ちょっと見直したわ。」


 銃器を作るというのは、簡単な事では無い。歴史を見ても、傑作と言われる銃器は、天才と呼ばれる者が設計している物が多い。

 俺の場合、彼らの考えをパクったり、資料を参考にしている為、別に俺が凄い訳では無いが、都合が良いからカティアには何も言わないでおこう。もっと俺をリスペクトするがいい。


「市街戦だと、フルオート射撃できた方がいい事もあるらしいからな。持ってけ。」

「確かに、アポターで観たビデオでも、似たような事言ってたわね。じゃあ、有り難く使わせてもらうわ!」

「……あ、それから絶対に酒は飲むなよ!」

「な、何よ……。」

「フルオートで乱射されたら堪らないからな。」

「し、しないわよ!」

「どうだかな…。ガフランクでも暴れたしな?」

「ぐ…気をつけます。」


 その後、ジュディ達にも新たな装備を渡し、ミシェルにはガフランクで使用した武器を再び貸し、フェイ救出の準備を整えた。



 * * *



-1時間後

@レンジャーズギルド ロビー


「交代の時間だ。貴様らは、警備隊本部の攻略部隊に合流し、増援に向かえ!」

「はっ! 了解致しました、少佐殿!」


 ギルドのロビーでは、職員達が相変わらず監視されながら軟禁状態にあった。フェイは、見張りが交代するのを眺めながら、ヴィクターに連絡する機会を伺っていた。

 フェイは、隙を見てはヴィクターに連絡を試みていた。そして彼女は、ヴィクターになるべく詳しい情報を伝える為に、見張りの会話を盗み聞いたり、行動を詳しく観察していた。


 その結果、監視役は朝昼夜の交代制をとっている事が分かった。そして、交代の際は全員が入れ替わるので、その度にフェイはトイレに行く事を要求していた。

 あまりに何回もトイレに行くと、流石に怪しまれるので、これは彼女にとって都合が良かった。


(…そろそろかしら。)


 全員が交代したのを見計らって、フェイはそろそろ動き出そうと様子を伺う。今回は、自治防衛隊の礼服を着た、何やら偉そうな男が一人混ざっていた。


「クソ、こんな街に長々と時間をかけてしまうとは…!」

「少佐殿。お言葉ですが、監視役は余り喋るなとの命令です。」

「そうだったな…。それから、階級呼びはやめろ。連中に勘繰られたら厄介だ。」

「はっ!? し、失礼しました!」

(少佐? 階級? …一体何の話かしら?)


 男達の会話を盗み聞いたフェイは、その内容に首を傾げながら、トイレを要求した。


「ちょっと、ねぇ!」

「む? そこの女、喋るんじゃない!」

「お花摘みに行きたいんだけど!」

「花ァ? おい、あの女何を言ってるのだ?」

「トイレの事であります!」

「トイレ? だったらそう言えばいいだろう、紛らわしい!」

「では、連れて行きます。」

「いや、私が行く。お前は見張りを続けろ。」

「はっ、了解しました!」

「では行くぞ女。で、トイレは何処だ?」

「…こちらです。」


 フェイは立ち上がると、男を先導してトイレへと向かう。


(この男、さっきからジロジロと…。なんだか気味が悪いわ。)

(あの女の左手に付いているのはもしや、“支配者の腕輪”では!? 詳しく話を聞く必要があるな。)



 * * *



-数刻後

@レンジャーズギルド 女子トイレ


「きゃっ! 何するのよッ!?」

「おい、女! 貴様コレを何処で手に入れた!?」

「あ、貴方には関係ないでしょ! 触らないでよッ!」


 トイレに入るなり、フェイは少佐と呼ばれた男に、左手を掴まれ、左手に付いている“腕時計”について、問い詰められていた。


「関係ない訳あるかッ! コレは、支配者の腕輪……選ばれし者の装備であろうが!?」

「はぁ、何の話よッ!?」

「コレは、崩壊前の兵器を動かす為に必要な物なのだぞ! 我がモルデミール軍が誇る“鉄巨人”も、選ばれし者がこの腕輪を付けて、はじめて動かす事ができるのだ! それを、何も知らない小娘が持っていていい訳が無いだろうッ!!」

「モルデミール…鉄巨人…? 貴方、一体何を言ってるの?」

「はっ! クソ、喋り過ぎてしまったな……。」


 “支配者の腕輪”とは、フェイ達がヴィクターから貰ったマイクロマシン非適合者用機器である、“腕時計”のモルデミール側の呼称である。

 崩壊前の兵器は、起動時に電脳による登録者の認証が必要になる。その為、モルデミール軍の上層部の間では、この腕時計が有力者やAMのパイロットなどの、選ばれた者のする物だと言う認識だったのだ。

 そして、少佐はこの腕時計の秘密を知っていたようで、フェイに詰め寄ったという訳だった。


 少佐は腰から拳銃を抜いて、フェイに突きつける。


「何故、貴様が支配者の腕輪を持っているかは分からんが……どうも、貴様は知り過ぎたようだ。悪いが死んでもらうぞ!」

「はぁ、何言ってるのよッ! 貴方が勝手に喋ったんじゃないの!」

「え、ええい、うるさいッ!」


(マズいわ…よく分からないけど、話が通じそうに無い……。怖い…助けて、ヴィーくんッ!)


「さあ、覚悟し……」


──ドガァン!


 少佐が、引き金に指を掛けようとしたその時、ギルドの入り口の方から大きな音が響き、床が振動する。


「キャッ! な、何なのッ!?」

「うおっ、何の騒ぎだッ!?」


 突然の出来事に驚いたのも束の間、フェイと少佐しかいない筈の女子トイレに、別の男の声が響いた。


「ここにいたのか、フェイ。ロビーにいなかったから、探したぞ。」

「その声は、ヴィーくん? どこにいるの!?」

「何だ、誰かいるのか!?」

「ああ、お前の目の前にな。」


 男の声がそう言うと、何も無い空間からヴィクターが光学迷彩を解除して出現し、少佐の額に拳銃を突きつけた。


「な、何だ今のは!? それに、貴様は一体…?」

「お前、俺の女に手を挙げたな? 覚悟はできてんだろうな!?」

「ま、待ってヴィーくんッ! 殺しちゃダメ、その人情報持ってるわ!」

「分かった。」


──ドシュ!


 ヴィクターは、拳銃を持った手とは逆の手でダートピストルを抜くと、少佐にシリンジを撃ち込む。すると、少佐はシリンジの麻酔薬がまわり、ヘロヘロと床に倒れ込み、意識を失った。


「な…んだ…これは……。」

「おやすみ〜。」

「…ヴィーくんッ! ふぇぇ、怖かったよ〜ッ!」

「うおっ! フェイ、急に抱きつくなよ。」

「ゼッタイに、助けに来てくれるって信じてた!」

「良く耐えたな。こんな中、連絡するのも大変だったろ?」

「怖かったけど、頑張ったわ!」

「だろうな。後で慰めてやるから、とにかく今は脱出だ。」

「あっそうだ、他にも職員が捕まってるの。 一緒に助けてあげられないかしら?」

「ああ、それなら……」


──バババババッ…!

──ダダダダダッ…!


「…始まったみたいだな。よし、コイツ運ぶの手伝ってくれ。」

「どうするの?」

「表にトラックがある。それで逃げる!」



 * * *



-同時刻

@レンジャーズギルド ロビー


──ズガァァンッ!


「うわっ!」

「「「 きゃあッ! 」」」

「な、何だ!?」


 フェイがピンチに陥っていた頃、突如ギルド入り口の扉が爆発と共に吹き飛ばされた。ロビーにいた見張りが、突然の出来事に混乱し、人質達が悲鳴を上げる中、外から缶状の手榴弾が複数投げ込まれた。


──カランッ! コロコロ…。


「手榴弾かッ!?」

「ば、爆発するぞッ!」


──ボシュッ!


 投げ込まれた手榴弾に、警戒する見張り達だったが、その思惑は外れ、投げ込まれた手榴弾からは白い煙がモクモクと、勢いよく吹き出し始めた。


「何だこれは!?」

「煙幕か!?」


 そして、煙で視界が悪くなる中、5人の人間が飛び込んで来た。カティアとミシェル、そしてジュディ達のチームだ。

 彼女達は、盾を構えたジュディを先頭にギルドのロビーに突入すると、自治防衛隊に対して激しい銃撃を加え始めた。


「カイナ、奥に2ッ!」

「っす!」

「ジュディ。今、危なかった。」

「ノーラ、ありがと!」


 ジュディ達は、ロゼッタに施された訓練のお陰か、流れる様な動きで見張りを掃討しつつ、ギルドの奥へと進んで行った。


「カティア、中をカタしてくる。後は任せるよ!」

「任せて! 行くわよ、ミシェル!」

「はいっ!」


 カティアとミシェルは、ロビー内の敵を掃討しつつ、人質が捕らえられている箇所に近づいて行く。


「くそ、視界が悪い!」

「適当にばら撒けッ!」

「いや、人質を盾にしよう!」

「そ、そうだな! だったら、偉い奴に限る!」


 人質の近くで見張りをしていた敵の一人が、盾にしようと支部長に手を伸ばす。


「お前、こっちに…があッ!?」

「どうした!?」

「な…なんじゃこりゃああ! …ぐはっ!」


 突然上がった仲間の悲鳴に目をやると、支部長に手を伸ばした者の背から、細身の剣先が突き出ていた。その事実に、剣が刺さった男が悲鳴を上げるが、剣が勢いよく引き抜かれると、断末魔を上げて床に倒れた。


「き、貴様…いつの間に拘束をッ!?」


 そこには、いつの間にか拘束を解いた支部長が、鋭い眼光でこちらを睨み付けていた。その手にはステッキの取手が握られ、その先からは血が滴る刀身が伸びていた。

 そして気がつくと、近くからは他の仲間の悲鳴や、断末魔が聞こえてくる。


 いつの間にか、拘束されていた執行官の男達もこっそりと拘束を解いており、騒ぎに乗じて見張り達を絞め落としたり、殴り飛ばしていたのである。


「クソッ!」


──ダダダダダダッ!

──ブン…ドスッ!


「がはッ!?」


 そして最後に残った敵も、支部長に向けて発砲する。だが、支部長は素早く地を這うように敵に接近すると、その心臓に向けて剣先を突き刺さした。

 そして、絶命して膝をついた敵の身体から剣先を引き抜くと、支部長は敵のシャツで刀身の血を拭ってから、鞘(杖)に刃を納めた。


「あれ? 敵が……。あっ、支部長!」

「おや、君は確か…最近ヴィクター君のチームに入った……。助けに来てくれたのかい?」

「は、はい。外にトラックがあります。それで避難を!」

「ほう…準備が良いね。執行官、私の執務室から例の物を持って来てくれ。」

「ミシェル、ロビーはクリアよ! 人質を避難させるわよ!」

「皆さん、こっちです! ついて来て下さい!」



 * * *



-数分後

@街中央地区 レンジャーズギルド前


 人質になっていた職員達(アレッタやブレア以外にも職員はいます)を、トラックの荷台に乗せる。このトラックは、ガレージの前にあった自治防衛隊のトラックで、今回の作戦に利用させてもらった。

 ギルドのある、中央地区は敵の本拠地みたいなものだ。その為、このトラックを使って中央地区に潜入し、ギルドに乗り込んだのだ。

 

 このまま逃げられれば順調だが、そうもいかないようだ。


《ヴィクター様、そちらに複数の車両が接近中です。》

《敵地のど真ん中で暴れてるんだ、当然だよな。》

《お気をつけて…!》


 敵の本拠地であれだけの騒ぎを起こせば、当然増援がやって来る。

 とりあえず俺達の目標は、警備隊支配下である南門まで、ギルドの職員達を送り届ける事だ。荷台にはフェイを始め、ジュディ達も乗っている。絶対に失敗できない。


《よしカイナ、荷台の幌を閉じろ。このまま連中の輸送トラックのフリをして、素通りするぞ!》

《了解っす!》


 カイナが荷台のカーテンを中から閉じて、荷台の中が見えないようにする。こうすれば、敵にとって輸送任務中の味方に見える筈だ。

 後方から、騒ぎを聞きつけた自治防衛隊の車両が迫る中、俺は怪しまれないように静かにトラックを発進させた。


──ビュンビュン! バババババッ!


 だが、敵も甘くは無かったようでバックミラーに姿が見えたと思ったら、早速撃ってきやがった。


《ダメだ、バレてる! 全員、反撃しろッ!》

《《《《《 了解! 》》》》》


「皆さん、伏せて下さい!」


 ミシェルの声を合図に、荷台のカーテンが開かれ、全員が後方の車両に向けて発砲を開始する。


「ダメ、全然当たらないッ! ノーラ、運転手狙える!?」

「やってみる!」

「ポンポンしていいっすか?」

「それ、私もやってみたい!」

「カティアさん、口より手を動かして下さい!」


 ノーラがライフルで運転手を狙い撃ち、カイナがグレネードランチャーを放ち、残りの者は敵車両のタイヤや乗員に向けて発砲していく。

 その結果、車両数台がクラッシュし、後続の動きを止める事ができた。


《撒いたか、ミシェル?》

《おそらく……。》

《全員無事だな? カーテンを閉めて、隙間から様子を伺うようにしてくれ。》

《分かりました!》


 その後、何度か敵の検問で小競り合いを起こしながら、無事に南門へと逃げる事ができた。

【レゴリスE Mk.2】

 ガラルドが使用していたレゴリスを基に、ヴィクターが再設計を施して完成度を高めたもの。フルオート射撃が可能になり、セミ・フルオートを切り替える事ができるアサルトカービン。

 サブマシンガンや、アサルトライフルに近い運用を想定しているが、だったらそっちを使えば良いと悟り、設計段階のままお蔵入りになっていた。だが、カティアの武装強化を考えた際に復活した。


使用弾薬 7.62×33mm弾

装弾数  30発

発射速度 800-850発/分

有効射程 300m

モデル  Inland Manufacturing M30-P

使用者  カティア



【フォレストハンター®︎ カスタム】

 崩壊前に、スポーツライフルや猟銃として使用されていた、民生品のセミオート式ライフルをカスタムした物。

 ノーラの使用するライフル(GW-422R)が、近〜中距離では過剰な貫通力を持つ事と、死都や街中での取り回しがしやすいライフルの必要性から、ヴィクターが急遽用意した物。


使用弾薬 7.62×51mm弾

装弾数  10発/20発

有効射程 700m

モデル  M1A SCOUT SQUAD

使用者  ノーラ



【ウッドペッカー】

 ヴィクターが開発したサブマシンガン。明らかにプレス加工を多用した様な見た目をしており、技術が衰退した崩壊後でも違和感が無いようにしている。

 マガジンに箱形の複々列弾倉を使用し、大容量の装弾数を実現した。

 ジュディ用に、レーザーポインターを取り付けてある。


使用弾薬 10×22mm弾

装弾数  46発

発射速度 850発/分

有効射程 150m

モデル  シテス スペクトラ

使用者  ジュディ



【ストリームシールド®︎】

 崩壊前、警察や機動隊で使用された、小型軽量のバリスティックシールド。一応、遺物。

 チタン合金やスチールが多層を形成しており、特許を取得した特殊な構造により、軽量ながら高い防弾性能を誇り、装備者の機動性を損なわない。人間の上半身をカバーすることができ、近接戦時の急所への被弾や、長物での攻撃を防ぐ。

 盾を装備した際の火力低下に対応する為に、盾にロングガン(ライフルや散弾銃などの長い銃)用のラックが存在し、突入時の制圧を補助する。

 使用しない時は、専用のスリングで背中に担いだり、肩に掛ける事もできる。


モデル  Hardcore Defense  Bravo Shield™

使用者  ジュディ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 多分依然状況不利なんでしょうけど、負ける気がしませんね!
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