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終末世界へようこそ -目覚めたら世紀末でした-  作者: ウムラウト
本編

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12/199

7 救世主と脱出劇

[1 プロローグ]の続きになります。

-プロローグ後

@カナルティア 新市街地


 あのゲイ教官のおかげで、逃げ足だけは自信があったが、どうもこれまでかもしれない。


 現在、俺は7匹の猿の怨霊に包囲されている。

 左右は、ビル。前後には猿の怨霊。逃げ場はない!


「何だよ…何なんだよ、コイツらッ!?」


 俺が自棄になり、騒ぎ出した瞬間、前にいた猿の怨霊の1匹が飛び掛かってきた。その瞬間、世界がスローモーションのようにゆっくりと時間が進む感覚になる。


(死ぬ直前は、スローモーションに見えるって言うが本当なんだな。……って、死んでられるかよォ!!)


──バシュッ!……ビリビリビリッ!


 俺は、腰から自衛用のスタンガンを抜くと、飛び掛かってきた猿に向けて発射した。空気が破裂するような音と共に、電極の針が発射され猿に突き刺さる。その瞬間、強烈な電流が流れ、猿の全身の筋肉が硬直する。

 そのままでは、猿の身体が自分に突っ込んでくるので、俺は急いで膝をついてその場に屈む。猿の身体が俺の頭上を飛び越し、俺の背後に落ちた。


「ギャギャギャギャギャギャギャ!!」


 受け身が取れず地面に激突した猿が、電撃を受けて激しく悶えている。その光景を見た他の猿たちは、驚いたのか、目を見開いたように悶えている猿を見つめている。


「今だッ!」


──バシュッバシュッ!


 そう言うと、俺は前にいた残る2匹にもスタンガンを発射し、電撃を加えると、スタンガンの電線が伸びているカートリッジを外して、放り投げる。

 そしてそのまま前に走り出し、大通りへと逃げだした。


 しばらく走っていると、後ろから猿の鳴き声が聞こえてきた。チラッと振り返ると、他の猿よりも一回り大きい、灰色というよりは銀色に近い色の体毛を持つ猿を先頭に、何十匹もの猿を連れてこちらに向かってきていた。


「ボス猿か!? 勘弁してくれよ! だ、誰かぁ〜助けてくれぇ~!!」


 俺の情け無い叫びが、ビルの谷間で反響する。


「本当に誰もいないのかよッ!! クソっ!!」


 そうボヤいた瞬間、俺は道路に出来た亀裂に足を取られ、転倒する。


「うわぁ! ってぇ~なぁ。あっ……!」


 奇跡的に怪我は無かったが、猿の群れに追いつかれてしまった。……ボス猿の牙が剥かれ、周りの猿も今にも飛び掛かってきそうな感じだ。


(終わった……)


 そう思った瞬間、俺の背後、走っていた方向からパァン! という乾いた破裂音が聞こえ、目の前の猿の1匹が頭から血を流し倒れる。

 驚いた俺が振り返ると、無骨なデザインの車から、男がライフルを構えているのが見えた。


「援護する! 早くこっちに来いッ!!」


 そう俺に向かって、男は声を飛ばす。

 助かった、人がいた! そう思いながら立ち上がって、男の元へ走りだす。


──パァン! パァン!


 男のライフルの銃声とともに、背後から猿の断末魔が聞こえる。男の元にたどり着くと、急いで車の助手席に飛び乗る。


「離脱するぞ! とにかく前列の奴から撃ちまくれ!」


 タイヤが一瞬、キキーッ! と空回りした後、急発進する。俺は担いでいた【アンバージャック】を構え、後ろの猿の群れへと、フルオートで発射する。6.8ミリ口径のライフル弾が命中し、猿が前のめりに倒れたり、転がっていく。倒れた猿達の身体に、後ろの猿が巻き込まれて倒れていくが、飛び越えたり迂回してきたりで、その勢いは止まりそうにない。


──ダダダン!…ダダダン!……カチッカチッ…。


 弾倉内の弾を撃ち尽くして、予備の弾倉を持ってきていないことに気がつく。


「しまった…!」

「おい! どうしたんだッ!?」

「た、弾切れだ!」

「なら、こいつを使え! このままだと、追いつかれちまうぞ!」


 そう言いつつ、男が俺に見たこともない銃を渡してくる。これは何だ?と一瞬ためらったが、差し出された銃を受け取り、後方に向かって構える。ちょうどボス猿が前に飛び出してきたので、狙いを定める。

 初めての銃に戸惑ったが、引き金を引くと、フルオートで発射される。


 先ほどまでのアンバージャックと比べると、粗末な出来で、反動も大きかったので大半は外してしまったが、何発かボス猿に命中したようで、ボス猿が倒れると、群れの勢いが遅くなる。


 車が、次第に道の悪い箇所を抜け、速度を上げていくと猿の群れは遠ざかっていく。


「ふぅ~。間一髪だったなぁ、兄ちゃん!」


 そう言われて、ハッとした俺は男に感謝を述べる。


「あ、ありがとうございます! 助かりました!!」


 どうやら、俺は助かったようだ…。俺は隣に座る、俺の救世主となった男に感謝する。そして、彼との出会いが、俺の今後の人生を大きく左右することになることになるのだった……。

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