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異世界で女神様の使い魔になりました。   作者: 東 純司
使い魔人生/始まりと出会い
22/279

21 魔力馬鹿


 〈ダンジョン行きは非公表だから見送りは不要〉

 「そうなると人気の少ない明け方にはもう出てたんだろうな」


 翌日。

 勇者タケルは仲間たちと共にダンジョン目指して旅立った。

 王都から最も近いダンジョンまでは最短でも三日は掛かるはずだが、あの特殊な馬車が使えるなら一日程で着くのではないだろうか。


 「さて…俺は俺のお仕事しましょうか」


 今回のお仕事は使い魔としてではなく、冒険者としてのお仕事だ。

 朝一番に指名依頼の連絡が届いた。

 朝食を済ませて、早速冒険者ギルドに向かう事にする。


 

 「あ、ヤマトさん。おはようございます」

 「昨日は助かりました」


 ギルドに着いて早々、声を掛けられた。

 相手は昨日助けた三人冒険者パーティーの内の二人だった。

 弓矢使いの【ヒスイ (人族/下級冒険者)】

 剣士の【コハク (人族/下級冒険者)】

 コハクが兄、ヒスイが妹で双子の兄妹らしい。

 

 「おはよう。今日は二人だけ?」


 ヤマトが助けた時にはもう一人女の子がいた。

 しかし今日は姿が見えない。


 「はい。今日は別行動です」

 「俺らはごたごたして昨日は忘れてた素材の査定に来ました。ヤマトさんはクエストですか?」

 「ああ、ちょっと指名依頼を頼まれたんでね」


 ヤマトのその言葉に、二人は少し驚いたようだ。


 「ヤマトさんって、今はまだ私達と同じ下級なんですよね?」

 「下級に指名依頼って珍しいですね」

 「まぁ相手は知り合いだからね。流石に見ず知らずの相手から指名されるほどの実績は無いからなぁ」


 元々の知名度も無い以上、わざわざ下級(はんにんまえ)を指名する物好きはいない。

 下級への指名依頼は九割以上元々の顔見知りや知り合いからのものになる。

 下級の内から身内以外から指名される冒険者は、冒険者になる前から何かしらの知名度のある人物ばかりのようだ。


 「指名依頼ですね。こちらが依頼の詳細になりますので、受けて頂けるのでしたらそのままサインをお願いします」


 〔魔法具への魔力供給〕の依頼書。

 ヤマトは受付で渡された詳細の記載された紙を読む。

 流石に精霊ウーラに関わる情報は書かれていなかった。 

 そして内容に問題がない事を確認し、そのままサインをする。


 「――はい確かに。受注手続きは完了しました。冒険証(カード)をお返しします。受注証明は冒険証(カード)に記録されてますので、この欄を表示した状態で依頼者様にご提示ください。依頼完了のサインもその項目にお願いしてください」


 ヤマトに冒険証(カード)を返却しながら機能の説明もしてくれる受付嬢。

 何というか、この世界の身分証は多機能過ぎる気がする。

 

 「それではお気をつけていってらっしゃいませ」


 受付嬢に見送られ、視線の合ったコハク・ヒスイに軽く手を振ってからヤマトはギルドを後にした。

 向かうのはもちろん〔薬屋スピル〕だ。


 「いらっしゃいま……あ、おはようございますヤマトさん。お早いですね」


 昨日同様に店主のサイに迎えられた。

 今回の指名依頼の依頼人だ。


 「おはようございます。依頼はすでに受けてきましたので、よろしくお願いします」

 「よろしくお願いします。それではこちらへどうぞ」


 ヤマトは最初にこの店に来た時と同じ部屋に通された。


 「お、ヤマトか。本当にお前が受けてくれたんだな。今日はよろしく!」


 部屋の中にはすでに実体化している精霊ウーラが居た。

 今回の依頼はウーラの持つ魔法具への魔力供給だ。


 「早速だがコイツを頼む。そろそろ限界が近かったんだ」


 ウーラは一つのペンダントを首元から取り出し、ヤマトに手渡す。

 どうやらこれが依頼の魔法具のようだ。


 「この魔法具は簡単に言ってしまえば、今のような〔人の姿〕を保つための物なんだ。道具が無くともこの姿にはなれるが、自力だと長時間の維持に問題があってな。いつもは事情を知る馴染みの冒険者に頼んでたんだが今は王都を離れててな。一般の冒険者に魔法具だけ渡すにしても偽装・変装系の魔法具はあまり人目には触れさせたくないし……本当に助かる!礼を言うよヤマト!」

 「えっと…それは仕事が終わってからでいいです」


 まだ仕事を始める前だ。

 お礼はきちんと完遂してから。

 大丈夫だとは思うが、一応は初めての仕事なのでその辺りは予防線を張っておきたい。


 「普通に魔力を込めるだけでいいんですよね?」

 「そうだ。よろしく頼む」


 ヤマトは受け取ったペンダントをしっかりと握り、ゆっくりと魔力を込めていく。

 いきなり多くを込めてしまうと破損の原因にもなるので、少しずつ少しずつ強度を見極めながら量を増やしていく。

 ――大体の許容量は掴んだので、このラインを越えない様に魔力を一定量に保ちながら引き続き込め続ける。

 この魔法具に使われている魔石は、結構良質な物のようだ。

 流石にヤマトの持っていた古代龍の魔石には遠く及ばないが、それでも結構な魔力容量を有している。

 恐らく希少個体の魔石なのだろう。


 「……これで半分くらいだ。いつもの人も魔力量は相当多い方だが、このあたりが限界だから二日掛けて満タンにするんだ。ヤマトはこのまま満タンまで込めても問題なさそうだ」


 ヤマトは魔力量だけは人一倍の自信がある。

 しかもこの前の調整で更に若干増えている。

 今ので半分なら、この魔法具数個分だろうと問題なく賄えるだろう。

 実際に込めるべきはこの一個のみなのでそれこそ全く問題ない。


 「すごいですね…羨ましいです」


 サイの反応はヤマトからすると意外な物であったが、話によると人一倍魔力量が少ないらしいので、確かにそういう感情が浮かんでも不思議ではないのかもしれない。


 「まぁここまで余裕だと、ただ単に魔力馬鹿って感じにはなるけど」

 

 流石に馬鹿呼びは辞めて欲しいものだ。


 『まぁ割と事実だと思いますけどね。いっそ対外的な称号はそれにしますか?』

 「(貴方がそれを言うのか…女神様。そして真面目にヤメテ!)」

 

 《鑑定眼》に類する魔法を、一般人がヤマトに対して使用した場合〔女神の使い魔〕の部分が隠匿される。

 対外的には〔下級冒険者〕として見えるはずだ。

 ……ただまぁ、確かに逆の立場ならヤマトも同じ事を思ったかも知れない。

 今は言われる立場なので反発はするが。


 「――ふぅ。これで良いですか?」

 「バッチリ満タンだ。ありがとう助かった!サイ、完了証明をお願い!」


 ヤマトはペンダントをウーラに返却する。

 そして手続き上の依頼主はサイなので、ヤマトは冒険証(カード)をサイに提示する。

 魔力供給は完了した。

 魔法具のペンダントにはキッチリ満タンまで魔力が込められている。

 完了証明に依頼者のサインも貰った。

 これでヤマトの初クエストは、無事に達成となった。

 

18.12.01

《鑑定眼》の表示項目調整に伴い、一部文章を修正しました。

本編ストーリーに変更はありません。

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