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異世界で女神様の使い魔になりました。   作者: 東 純司
使い魔人生/始まりと出会い
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20 お買い物と、指名依頼



 「……良し。ナデシコとフィルに連絡完了っと」


 タケルがヤマトの宿を出た後、ヤマトは二人へ伝信(メール)を送った。

 ナデシコには帰還の報告と謝罪、そしてタケルの居ない当面の方針を。

 フィルにはタケルから番号を教えて貰った旨と、こちらも当面の相談を送った。

 両者とも返事はすぐに帰って来た。

 

 「――大丈夫そうだな。それじゃあ俺は出かけますか」


 二人とのやり取りを終えたヤマトは、宿での昼食を終えた後に〔薬屋スピル〕へと向かった。

 無事に戻って来た事を知らせるための挨拶、そして冒険者を助けた際に消費した回復薬の補充が目的だ。

 回復薬に関しては臨時収入もあるため、念のために多めに仕入れるつもりでもある。


 「こんにちはー」


 そしてヤマトは再び〔薬屋スピル〕に足を踏み入れた。


 「いらっしゃいませ……おや、確かヤマトさんでしたか?」

 「はい。先日はお世話になりました。おかげ様で無事に用事を済ませる事が出来ました。それで今日は純粋に買い物に来ました」

 「それはありがとうございます。どうぞ見て行ってください」


 店番は前回同様に店主のサイさん。

 ヤマトは棚に並ぶ商品を一つ一つ確認していく。

 ここにある回復薬の種類は、スタドにあった店よりも多い。

 一般的な物から、効果を限定することで質を高めている物もある。

 薬専門ゆえの品揃えだろうか。


 「とりあえずコレとコレを二つずつ。こっちのは一つずつ、これは一箱分……あ、これもお願いします」


 予想外の収入のおかげで懐が潤っているヤマトは、多少は値段を気にしつつも備えの為のと躊躇なく選んでいく。


 「ありがとうございます。ですがこちらなどは使用期限の短いものでして…この棚から出してしまうと数日で使えなくなってしまいます。必要になってからお求めになったほうがよろしいですよ?」


 どうやらこの店の棚には保存のために時間停止または劣化遅延の類の魔法具が使われているようだ。

 この若干強気な値段設定は、質に加えてそういった設備の維持費も換算されているのだろう。

 保管設備に投資するのは、それだけ商品の質にこだわりがある証拠だ。

 

 「あ、その辺りは大丈夫です。《次元収納》があるので」


 基本的に秘密にしていくつもりの収納であるが、こういう時には喋ってしまった方が話が早くて済む。

 相手は精霊術師で、この手の秘密には理解がある。

 そして仕事人としても、顧客情報の守秘義務は理解しているはずだ。

 

 「成程、流石ウーラが認めるお方です」


 結局サイさんにはヤマトの素性は明かしていないままだ。

 用事があったのは精霊ウーラのみであったし、特に問われもしなかったのでそのままだ。

 そう言った踏み込み過ぎない点も、精霊との関係を円満にする引けるなのだろうか。


 「……そう言えば、今日はウーラさんは?」

 「今日は遊びに行ってますね。お呼びしましょうか?呼べばすぐに帰って来ますが」

 「あーいや大丈夫です。挨拶でもと思っただけで、用事というものはないので」


 居るなら挨拶をしたかったのだが、流石にわざわざ呼び戻して貰うほどの事ではない。


 「――あ、後こっちの上級もください」


 他とはお値段の桁が違う上級回復薬。

 今手元にある下級と中級のさらに上。

 高い買い物ではあるが、収納のおかげで劣化する心配はないので、余裕があるうちに一つは持っておきたい。

 そして一通り見終わり、それなりの金額を支払い買い物は終了した。


 「ありがとうございました。――そういえばヤマトさんは冒険者でしたよね?実は今、ギルドに依頼を提出してまして、表には掲示せずに信用できる方が居れば紹介して頂く事になっているのですが…せっかくなので、良ければヤマトさんを指名させていただいても良いでしょうか?」


 指名依頼。

 文字通り、ギルドを通して特定の冒険者に依頼をする。

 不特定多数の目に入る掲示板への掲示はされず、指名された個人にのみ依頼内容が届く。


 「えっと……それ自体は構わないと思うのですが、内容を聞いてからお返事してもいいですか?」


 流石にヤマトに無理な事を提示されても困る。

 あとは状況的に使い魔のお仕事以外で遠くへ向かうのも避けたい。


 「はいもちろんです。お願いしたいのは〔ウーラの持つ魔法具への魔力供給〕なのです」

 

 確かに精霊が絡んでくるのならば相手は選びたい。

 ヤマトはすでにウーラが精霊であることも、サイさんが精霊術師であることも知っている。

 すでに事情を知っている相手にお願いするのが一番安全だ。


 「一応聞きますが、場所はこの店で良いんですか?」

 「はい。正確には居住スペースでとなりますが」

 「なら問題ないです」 

 

 王都を離れなくて済むのならなお良い。

 元々中級昇格の為に早めに何かしらの依頼は受けるつもりだった。

 

 「そうですか、ありがとうございます。依頼は今日の閉店後にギルドで指名の手続きをしますので、指名依頼のご連絡は明日になると思います」

 「分かりました。連絡が来ましたらなるべく早めに来ることにします」

 「よろしくお願いします」


 買い物ついでに図らずもクエストの目途も立ってしまった。

 


 

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