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異世界で女神様の使い魔になりました。   作者: 東 純司
王都混乱/魔女と聖女
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193 幹部狩りと追加メンバー達

少しお休みさせて頂きましたが、体調が戻ったので投稿を再開します。

またよろしくお願いします。



 『――まぁ、とは言ってもすぐに集まるものでもないんだけど。候補者は皆前線で存在感示してる人達だし』


 勇者パーティーの正式発足と増員。

 その新たなメンバーも、既に賢者サランによって選別はされている。

 だがこのご時世、強い人材ほどとっくに戦いの場に赴いている状況。

 

 『だからお迎えと幹部狩りも同時にってね』


 そんな事情もあり、初期メンバーの面々がやって来たのはとある砦。

 対魔王軍における多種族連合の戦いの場の一つで、尚且つこの戦争における重要拠点の一つ。

 

 『あー…もしかしてアレ(・・)ですか…?』

 『弓で近接って…そんな無茶を』

 『でも成立してるのがすげぇな』


 その戦場を見渡せる砦の外壁の上に立つ勇者パーティーの面々。

 見つめるのは砦に向けて攻めて来る敵と、応戦する味方の戦場の姿。

 するとその中に…まぁひと際目立つと言うべきか、弓を持ちつつ近接戦闘を行うおかしな女性の姿があった。

 

 『という訳で、まぁ見てて推測は出来たと思うけど、あの子を仲間にしたいからよろしくね』


 この砦の防衛に尽力する英雄。

 エルフ族の中でも変わり種の、近接弓術というおかしな技の使い手である女性【シルフィエット=ハウル】。

 後の七英雄の一人。

 彼女が勇者パーティーの、追加メンバー候補の一人。


 『とは言えまぁ、見ての通り彼女はこの戦線の最高戦力(エース)。ただ引き抜くだけじゃバランスを崩すだけ。だから…』

 『とにかく敵を倒しまくれだろ?彼女がここを離れても問題ない場作りをしろと』

 『そうね。ちゃんと穴埋めの追加人員は手配してあるけど…少なくとも、この戦場に顔を出す幹部魔人だけは絶対に倒しておくわよ』

 『元々それが僕らの役目ですからね』


 その彼女をパーティーに加えるには、まずはこの戦いの場をある程度鎮める必要がある。

 考えなしに最高戦力を引き抜けば、この場に現れる幹部魔人に残る戦力は蹂躙されるのみ。

 ゆえに大前提として、弓使いの加入にはこの場の幹部の討伐が必須。

 この地の敵の最高戦力さえ倒せば、後は手配した追加人員を加えた数でも対応可能。


 『と…噂をすればだな』


 そう話している合間に、タイミングよく出現する気配。

 遠くに砦からも感じられるその強者の出現。

 この地に現れた、勇者パーティーにとっては二体目となる幹部魔人の参戦。

 

 『…出たわ。周りは彼らに任せて、私達はただあの敵に全てをぶつけに行くわよ!』

 『はい!』『おう!』

 『いってらっしゃい…必ず、勝って帰ってください!』


 その出現を確認し、一同は纏うローブを脱ぎ捨て、そのまま外壁の上から飛び降り駆けていく。

 目の前の戦いに参戦しなかった勇者パーティーは、その力を現れた幹部魔人に全てぶつける為に蓄え耐えて(・・・)いた。

 味方が戦い、傷つく様を目の前に見つめながら…それでも強敵に備え続けた彼ら。

 その鬱憤を、遠慮なくぶつける時が来る。



 『――貴方達は!?』

 『勇者パーティー。貴方の味方。時間勿体ないから感覚で理解して合わせなさい!アレを倒すわよ!貴方なら出来るわよね?』

 『…はい!!』


 そして真っ先に幹部へと立ち向かう弓使いのもとに合流した勇者たち。

 今回が初対面の両者の邂逅

 だが、それにも関わらずにすぐさま勇者たちのその力を見抜き目的も理解し、即興で動きを合わせて動き出すシルフィエット。

 しかも一瞬でパーティーの今のバランス…近接役よりも中長距離役の不足に気づき、近接スタイルから弓使いの本業である射撃戦にシフトし、前衛として向かっていく勇者と槍王子を援護を始めた。


 『…行ける!この人達となら!!』


 そうして二戦目の幹部魔人戦。

 戦力は増えても決して楽にはいかず油断も出来ない戦いの結果は…勇者パーティーの勝利で幕で幕を閉じた。




 『…え?私を、このパーティーにですか?』


 そして見事に彼らは、二体目の幹部魔人の討伐を果たす。

 味方陣営はその朗報に喜び賑わい騒ぎ出す。

 そんなひとまずの勝利に、討伐の余韻もさながら…早速彼女に対してパーティー加入の正式な打診が向けられた。

 エルフの弓使い、シルフィエット=ハウルを勇者パーティーへ。


 『…アレが居なくなった今なら、増員もあるならもうここは……分かりました。受けさせて頂きます』


 打診に対して状況を整理し、既に自身がこの地に張り続ける必要性が薄れたと判断した彼女は、その場でパーティーへの加入を了承する。

 こうして勇者パーティー五人目となる【シルフィエット=ハウル】の参戦が確定。

 すぐさま砦での引き継ぎも済ませ、共に出向いていた他のエルフたちにこの地の後を任せ、勇者パーティーの弓使いとしての活動を始める事となった。





 ――そして、一同は少しの休息後、すぐさま次の戦場へと向かう。

 そこにはまた別の、三体目の幹部魔人と共に、二人目の追加メンバー候補の英雄が待つ。

 幹部の討伐とメンバー候補との合流。

 その為に向かった戦場で一同は…彼らを予想外の展開が待っており、また別の意味合いで驚かされる。



 『――マジか。自力で倒したのか!』


 幹部戦の為にこの地へと移動して来た勇者パーティー。

 だがそこに出現していた第三の幹部魔人は、派遣されていた〔冒険者レイド〕によって討伐されていた。

 冒険者ギルドから抽出された上級揃いの精鋭の彼ら。

 日頃のクエストには討伐案件も抱える、ある意味で騎士団よりも荒事(・・)には慣れた彼らは決して少なくない被害を出しながらも、それでも自分たちの手で強敵を打倒し、駆け付けた勇者パーティーにその結末と冒険者の底力を見せつけたのだった。



 『そして…その立役者が貴方なのね?鎧君』

 『…ただ、俺はクエストに従って全力で戦っただけだ』


 そんな冒険者たちを率いていたのは、全身鎧で姿を見せない上級冒険者。

 通常時はバラバラに依頼に向かうこの場の冒険者たちを纏め上げたレイドのリーダー。

 更に彼自身、幹部魔人と直接斬り合いトドメも刺し、今回の幹部討伐の最大功績者。

 勇者パーティーの前でも姿を明かさぬ彼はただ、少ない言葉で賢者の質問に返す。

 

 『貴方、ウチのパーティーに来なさい』


 あえて(・・・)口数の少なくする男に、賢者も用件を簡潔に伝える。

 彼こそがこの地における、賢者が目を付けていた追加メンバー候補。

 その実力は幹部討伐を成しえた時点で確定的なものだった。

 素性こそ知れぬが、ここで彼を逃す手はない。


 『…俺は冒険者。ここにもギルドも命で派遣されてる。俺の一存では離れられない』

 『そう。ならそっちに話をしましょうか』


 冒険者という雇われ戦力の彼に異動の決定権はなく、賢者シフルはすぐさまギルドの責任者に話を通す。

 するとそれから一時間も経たずに、冒険者ギルドから彼に対して〔特別指名依頼〕として勇者パーティーへの参加のクエストが発行された。


 『…早いな』

 『という訳で、これからよろしくね!』 

 『…あぁ』


 こうして上級冒険者【"ブランク"】もまた、六人目のメンバーとして勇者パーティーに参加することとなった。




 「ちなみに…この辺、というか幹部戦全部?戦闘内容についてはもっと詳しくは伝わっていないの?」

 「そうですね…実は、この手の英雄物語の初版本(・・・)では絵本以外の小説本ではどの本も、詳しく戦いの様子も描写されているらしいんです。ですけど…そこで使われた魔法を、子供が真似して事故を起こしたりと問題が起きてしまったようで…ある時から一般向けはその手の描写を端折ったものが主流になったようです」


 ヒーロー物語の宿命とも言うべき、憧れのモノマネ。

 日本においても架空のヒーローの必殺技を真似して怪我をした子供の実例は存在する。

 ただ、問題なのはこの世界では現実に存在した英雄だったこと。

 つまり彼らの扱う常人離れした技の数々は、全て人の身で再現可能な現実的なものであることを英雄自身が証明していた。

 勿論才能や実力が前提の再現となるが…不可能ではない以上、となれば多くの子供が真似をしやすい環境となるのも無理はない。


 ただし…特に魔法に関しては、身の丈に合わない行使は暴走や事故のリスクを抱える。

 気付かぬまま魔法使いの才能を抱えた子供が、憧れからその魔法を再現しようとし…実際に魔力が反応してしまい事故に繋がる実例が生まれた。

 そのことを危険視し、後々の世では真似を減らすために特にリスクの高い高位魔法の描写などを描かない本が主流になったらしい。

 ちなみにその際に、カットした描写分ページも減り、それに伴い本の価格も少し下がって買い手が増えたという事情もあったらしいが。


 「今も、貴族に向けたような高価な本にはその手の描写も描かれたままみたいですけど…当然庶民に、まして子供には手など届かず、僕は読んだことないので詳しくは知りません」


 結果平民であるロンダートの語る英雄の物語は、その辺りをカットした安価版の内容に即したものになるのも無理はない。


 「えっと…皆さんの立場でしたら、多分その完全版は簡単に読めると思うので、足りない部分は実際に本を読んで補完してください。いえむしろ最初からそちらを読んで貰った方が良いとは思いますけど…お話の素人が語るよりは」

 「まぁそうね。お城に戻れば簡単に読めるでしょうし。でも精霊の立場としては、文字より言葉の方が理解しやすいから語ってもらう方が良いのよね。だからこのまま続きをお願い出来る?」

 「精霊には文字の文化がないから、読むより聞く方が入ってきやすいみたいなんです」

 「あぁ、なるほど。もしかして…精霊が吟遊詩人の詩を好くっていう噂はそういう理由からなんですか?」

 「まぁそこは精霊の個々の好みによるってところだけど…本より語る詩を好みやすいのは確かね。そもそもちっちゃい子らは人の世の文字って読めない場合が多いし。上位精霊クラスは文字も普通に読めるには読めるんだけど、それでもやっぱり理解(・・)としては聞く方がすんなりとね?」

 「分かりました。そういうことなら、拙いながらも続きを――」


 そうして勇者パーティーの物語は後半へ。

 四体目の幹部魔人と、七人目のパーティーメンバーのもとへと向かう。 

 



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