0 プロローグ/女神様の使い魔
初投稿作品になります。
拙い点も多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
『ヤマトさんには使い魔として〔女神〕である私のお仕事のお手伝いをして欲しいのです!』
地球、日本でのそれなりに短い人生を終えた大和の目の前には、〔異世界の女神〕を名乗る人物が立っていた。
しかも肉体を失い、魂だけの状態にある大和に、自分の仕事を手伝って貰いたいと言う。
『もちろん、新しい肉体はご用意します。ご希望でしたら前世の姿に合わせる事も可能です。蘇生と言う訳ではない上に色々とお仕事をこなしていけるように強化することになるので、完全に同じという訳には行きませんが…見た目は相違ないように出来ます』
――そこまで出来るのに、何でわざわざ俺を選んだの?
『先代の使い魔さんがこの度引退することになりまして、新しい人材を探していたのです。色々とルールがありまして地上に生きている方を選ぶことが出来ず、転生前の魂から適合する方を探し出した結果、最適合者が貴方だったという訳です』
――適合…どんな条件に俺は当てはまったんですか?
『その辺りはお話することが出来ないのですが、しいて言うのならば貴方が平凡な方だったからって所ですかね』
――自分でも事実だと思うけど、神様から太鼓判を押されるのはちょっと。
――それで、その使い魔ってやつは何をするんですか?
『お仕事の内容という意味でしたら…色々です。私がその都度指示した任務をこなしていただく事になります。物によっては拒否権もありますし、殺人や窃盗などの地上の法における犯罪行為を強要することはありませんのでそこはご安心を。まぁ敷地侵入などはお願いするかもしれませんが……ちなみに報酬はその都度用意します。現金は無理ですが。――それで、そのお仕事をこなして貰うための準備としてまず貴方にはこの場で仮の肉体を与え、この空間で勉強と修行をしてもらう事になります。その成果を確認してから私の管理する世界へ〔転生〕してもらいお仕事をしてもらいます』
――転生?生まれ変わるの?
『自分で転生と言っておいて語弊があると思うのですが…ちょっと違いますね。赤ん坊からスタートするのではなく、私の方でこれから用意する新しい肉体…大体十六歳くらいに調整した肉体に憑依する形になるでしょうかね?魂は通常通りに肉体に固定されるので若返り召喚?毎回どういう説明が適切なのか悩むんですよねぇ……』
――いや、イメージとしては理解できたかな?一応は。
『それなら良かったです』
――ちなみに断るとどうなるの?
『ただ普通の道に戻るだけです。貴方の知識に合わせるのなら…天国に行って、準備が整い次第個人情報を全てリセットして、新たな肉体を得て地上に誕生する。元々の道筋です』
――リセット…記録や人格をって事だよな?
『そうです』
普通に転生すると言うのであれば当然であろう。
本物の「前世の記憶を持ってます」という人物には会った事はない。
実際は居たのかも知れないが少なくとも大和は知らない。
……記憶や人格のリセット。
こういう形で聞いてしまうと、ちょっと恐怖を感じてしまう。
――引退って言ってたけど、引き受けた後に辞める事が出来るの?
『条件はありますが出来ます。死亡退職、定年退職…あとは状況に応じて色々と判断したりします。定年時期に限らず報酬面などもきちんと相談・交渉は承りますし、可能な限りは要望通りにしていく予定です。ただしスタート直後に辞めますは無しでお願いします。そうですね……最低でも一年は頑張って貰いましょうか。期間内でもやむを得ない場合はちゃんと考慮しますが』
――ちなみに辞めた時ってどうなるの?
『死亡引退の場合はそのまま天へ還り、通常通りの転生準備となります。あ、ご協力いただいたお礼として、次回の転生先の世界を選択できます。ただし記憶リセットはそのまま実行されますが。生きている段階で引退した場合は、お仕事の為に与えていた力や道具の一部は回収させていただきますが、ある程度はそのまま残したままに出来ますし、残りの人生はお仕事関係なく好きに生きて頂いて構いません』
――ちなみになんだけど、お試しみたいな事は出来ないの?
『お試しですか?訓練期間があるので与える力や知識のお試し使用なら出来ますが……迷っているのでしたら、まずは四日間程勉強してみませんか?その期間の後に正式に引き受けるかどうか決めて頂くと。色々と剣や魔法なども扱えるように訓練するので、自分には合わないと感じればそこで断って頂いても構いませんし、その都度質問も受け付けますし、持ち込む道具などの希望なんかも考慮しますし……どうでしょうか?』
知識・訓練のお試し期間。
剣や魔法…確かに実際に扱ってみないと分からない感覚もあるだろう。
――そうですね……分かりました。とりあえずお試しを受けてみようと思います。
『ありがとうございます。それでは……えい!』
白い火の玉のような状態で浮いていた大和の魂が輝きだした。
次の瞬間、見慣れた姿がそこにはあった。
「……俺の体?」
『はい。仮の物なので全て前世の数値に合わせたものですが。身体能力面の数値は、訓練の進行具合によってちょっとずつ本番用のものに近づけていく予定です』
体感ではほんの少しの間だけだったはずなのに、自身の肉体があるのがとても懐かしく思えた。
しかし気になる点が一点。
「……この〔首輪〕は?」
『ごめんなさい不格好で。それは世界標準規格で貴方のような立場の方には付けなければならない決まりなんです。デザインまで決まっていて……簡単に言ってしまうと私達神への叛意に対する保険みたいなものです。私に対して叛逆行為を実行しなければただの飾りですので御了承頂けると助かります。一応私と貴方にしか見えないようになってるので…』
大和の首に付けられた〔首輪〕。
ペットというよりは奴隷の物に近いのかもしれない。
『あ、命令違反や拒否に対して罰が下ったりとかいうのは絶対にありませんので!そういう「私は神だぞ~絶対に従え~」みたいなのは嫌いなんで、安心してください。信じにくいとは思いますが、出来るだけ信用する方向で考えてみてくださいお願いします!』
若干涙目なんだが、過去に何かあったのだろうか?
そんな風に懇願されると逆に不安になるのだが……
「……まぁいいです。とりあえずご指導のほう、お願いします」
本日はもう数話分投稿予定です。
もう少々お付き合いいただければ幸いです。
11/06
文章を一部修正。