表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にかけの英雄とお医者様な僕  作者: ギンギン
8/18

07

キリカさんとエメリアさんとの、話し合いが終わってみると太陽は真上。つまりお昼だ。村長の家から出ながら、ふと思う。


「お昼ご飯は、二人共どうします?」

「そーだなー、近くに旨い飯屋はあるか?」

「ありますよ。ルゥおばさんの食堂。この村では、ジャガイモがよく採れるので、ジャガイモ料理が絶品です」

「ジャガイモか、いいな。そこ行くか」


 ルゥおばさんの食堂はここから、三分。キリカさんがジャガイモについて、なんか語り始めたので耳を傾けていたらすぐ着いた。ちなみに、好きなジャガイモ料理はジャガイモオムレツだそうです。それ卵料理でしょ。


「いらっしゃい、ああロンの坊やか」

「こんにちはっ、ルゥおばさん」

「人攫いに捕まったんだって。もう大丈夫なのかい」

「はい、すぐ助けてもらえましたから。この二人に」


 僕の後ろにいた二人を紹介しようとした瞬間。

 グゥ。

 誰かのお腹から音が鳴った。するとエメリアさんの顔が目に見えて赤くなっていく。


「エメリア、お前は良いとこの御嬢さんなんだから、少しは慎みをもて」

「あ、あなたに言われたくないわキリカっ。戦うことしか頭にない、筋肉お化けっ」

「なんとでも言え。料理すらまともにできない24の女が」

「自分が17で少し若いからって調子に乗らないでよねっ。というか料理ができないのは、あなたも同じでしょっ」


 何やら言い争いが始まった。大きな声で騒いでるので、他のお客さんがこちらを見ている。


「はいはい、あんたら店の中で騒ぐのはやめてくれ。喧嘩なら外に出な」


 ルゥおばさんが言うと、二人は渋々言い争いをやめ、テーブル席に着いた。キリカさんとエメリアさんが向かい合って着席したので、僕はキリカさんの隣に座った。


「何よっ、あなたも若い方が良いってわけっ」


 エメリアさんが、大きな声で問い詰めてくる。濡れ衣だ。日に当たらない方を選んだだけなのに。


「若い方が良いのは当然だろう。枯れていく花より、これから咲く花の方が良いに決まっている」


 そう言って、僕の肩を抱き寄せるキリカさん。あの……肩にその、当たってるんですけど。


「ギググググググググ」


 すごい音を出している。どこからあんな、恐ろしい音が出るのか。医者として少し気になる。


「そっそれより早く頼みましょ。お腹すきましたしね」

「まったくだ。ヒステリーになんぞ付き合っていられん」

「誰がヒステリーよ……私肉じゃが定食」


 僕とエメリアさんが肉じゃが定食。キリカさんは、ジャガジャガ定食。なんだそれ、初めて見たぞ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ