06
「四か月、それだけあれば……」
キリカさんは、意味深に呟く。なんだろう。余命が延びて喜んでるというよりは、何かの決意を固めたようなそんな表情をしている。けれどやっぱり美人だな。
「ロン医師、ロン医師!」
エメリアさんが、とてつもなく高いテンションでぼくを呼ぶ。最初にあった時となんか雰囲気変わったな。
「じゃあその、治癒魔法をパパーッとかけてもらってキリカの命を延ばしてもらっていいですか」
「それは、構いませんが一つ言っておくことがあります」
「なんですか? 早くパパーッとしてもらいたいんですが」
「この魔法は、毎日かけ続けなければなりません」
二人の動きがピタリと止まる。
「それはどういう意味だ、ロン」
真剣な顔で僕を問い詰める。目が怖いが負けていられない。
「そのままの意味ですよキリカさん。治癒魔法セイニ―・ルークは、毎日かけ続けることによりその進行を遅らせます」
父さんから教わった魔法の一つだ。
「そんな魔法は聞いたことがありませんが」
「あんまり知られていない魔法なんでしょうか? 僕は、父以外の治癒魔法師にあったことがないのでその辺の事情にあかるくないのです」
二人とも僕の言葉を聞いた途端、部屋の隅っこで会議を始めた。なんだかブツブツ言いながら揉めているみたいだ。あ、キリカさんが勝ったみたい。
「ロン、とりあえずその魔法を私にかけてくれ」
「わかりました。エメリアさんもそれでいいですね」
「……はい」
不承不承といった感じだ。聞いたこともない魔法を疑っているのかな?
「では、僕に背中を向けて座って下さい。そうしてもらったら、魔法を唱えるので絶対動かないで下さいね」
キリカさんに忠告すると、僕は自分の首にかけていたペンダントを外し右手に持つ。左手は最初に刻印ができた右肩甲骨を押さえる。
「セイニ―・ルーク」
言葉が終わると同時に、ペンダントを持った右手の周りに白い光が、無数に表れ刻印に吸収されていった。
「終わりです」
「これで終わりか早いものだな」
治療が終わるとキリカさんは服を着始めた。この人長い間、裸だったな。
「これを毎日続けると、余命が四か月になるんだな」
「ええ、欠かさずやらないとダメですけど。ですので今後はこの村の近くで生活して下さい。住居なら空きがあったと思いますので」
僕の言葉を聞き、考え込むキリカさん。難しい顔で何を考えているのだろう。エメリアさんも唸りながら必死に考えている。ってゆうかこの二人結局、何者なんだろう。