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死にかけの英雄とお医者様な僕  作者: ギンギン
5/18

04

「魔物に負わされた傷でもってどういう意味ですか」


 小さな部屋の中僕は、彼女の返答を待つ。エメリアさんは、ふぅと一息つくと続けてしゃべり出す。


「魔物を相手に受けた傷のことを魔傷と呼びます。この魔傷は、自然治癒もしくは、治癒魔法でのみ治療できます。」


 薬とかは効果がないのか。……待てよだったら治癒魔法が使えない医者には治せないじゃないか。


「この魔傷を治療できることが、治癒魔法の特色です。他の魔法ではできません。その為、国を挙げて治癒魔法師の育成が行われています」


 なんと。治癒魔法は、中々優秀なものだったんだなぁ。けれどおかしい。


「エメリアさん、魔物との戦争はもう終わったんだから、そんなに治癒魔法師がいるんですか?」


 僕のその言葉を聞いた途端、彼女の顔は苦いものへと変わった。少し焦っているようにも見える。


「えぇっとそれは、その、あの、なんというか……」


 見事にテンパっている。僕はなにか痛いところを突いてしまったのだろうか。慌てているエメリアさんを見ていたら、その隣から笑い声が聞こえてきた。キリカさんだ。


「エメリア、お前何こんな子供に慌てているんだよ」

「うっうるさいですよキリカ」

「それより本題に入れよ。治癒魔法の講義をしに来たわけじゃないだろう」


 本題? ああこの人達は、父さんに用があったんだっけ。


「そ、そうですね。時間ももったいないことですし」


 そう言いながら彼女は、姿勢を正し、僕と向き合う。


「ロン君、いえロン医師あなたには、ここにいるキリカ・クロースにかけられた呪いを解呪していただきたいのです」

「呪い、ですか……」

「はい、それも魔物にかけられたものです。」


 呪いの解呪。治癒魔法で行えることの一つだ。それは父さんから聞いたことがある。傷の治癒に比べれば、難易度は低い。


「構いませんが。呪いということはどこかに刻印がありますよね?」


 刻印というのは、呪われた人間にできる呪いの証。見た目は、刺青のようなものだ。


「ああ、背中にある。」


 そういうとキリカさんは、おもむろに上着を脱ぎだした。ドキドキ。


「ちょっとキリカっこんな人の目がある所で、脱がないでよっ」

「別に構わんだろう。見てもおもしろくない体だ」

「そーいうことじゃないのよ。あーもう、すいませんロン医師以外は、出て行ってもらっていいですか」

「嫌だ。ここはわしの家だ。断固として出て行かんからな」

 

 村長が駄々こねている。ボケてんのか、ボケてないのかよくわからん。

 結局、村長はみんなに連れて行かれ部屋の中には、僕、キリカさん、エメリアさんの三人だけになった。


 キリカさんは、気にせず脱ぎ続けるが、僕は、恥ずかしくなって顔を背ける。

 布の擦れる音が、心臓を高鳴らせる。僕は今どんな顔をしているのだろうか。


「脱いだからこっちを向け。刻印を見てくれ」


 キリカさんがそう言うので、真っ赤な顔をになっているであろう顔で振り向く。

 それを見た瞬間をの心臓は、跳ね上がった。女性の裸を見たからでない。

 背中を覆い尽くさんとする巨大な刻印を見たからだった。




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