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死にかけの英雄とお医者様な僕  作者: ギンギン
3/18

02

僕は今、馬よりも速い速度でおんぶされながら移動している。金髪で強くて美人でいい香りのするキリカさんに。エメリアと呼ばれていた女の人も、平然とついてきている。なんだこの二人組。やっぱり都会の人ってすごい。


「なぁ、あとどれくらいで着く?」


 ぼくを背負いながら息も切らさず聞いてくる。


「もうすぐ近くまで来てます。右に見えるスーンの大石を曲がれば、ほら見えました」

「あれか。……妙だな、夜中にも関わらず明かりが多い」

「ほんとですね。なにかあったんでしょうか」


 僕とキリカさんの二人で不思議がっていたらエメリアさんが


「村の子供が攫われてるのに、まともに寝てるわけないでしょう」


 そっか。





 夜が明けて。村長や村の重役達が話し合いをすることになった。


「このたびは、ロンを助けていただき大変ありがとうございます、お二方」

「いや、気にしないでくれ。見過ごすこともできないからな。それより人を探しているんだが……」

「このような村では、まともなお礼もできませんが、ぜひゆっくりして行って下さい。」

「いや、だからっ」

「わしの孫、まだ独り者なんですがどちらか嫁に」

「話聞いてんのかじじい」


 村長ボケ進んできたな。


「失礼ですよキリカ」


 うぐっ。エメリアさんに怒られ、そんな声が聞こえてきそうな苦しい顔をしているキリカさん。エメリアさんの方が上の立場なんだろうか?


「村長さん、私たちはギルバートという医者を探しています。この村にいると伺ったんですが本当ですか」

「うむ、確かにギルバートならおります。誰か、あやつを呼んで来い」

「村長…………ギルの奴なら半年前に死んだじゃないですか」

「しっ死んだだと」

「本当……なんですか」

「ああそうだ。はやり病でな、長く闘病してたが逝っちまった」


 キリカさんとエメリアさんは、茫然としている。よほど想定外だったのだろうか。

 しかし死んだのは、半年も前なのに誰に聞いたんだか。


「エメリア、すぐにここを発とう。医者がいないのなら長居する理由もない」

「そうね……時間もないし早く行きましょう」


 もう行くのか。残念。都会の話とか色々聞いてみたかったなぁー。しかしこんな田舎の医者に何の用なんだろうか。


「最後にもう一度聞かせて下さい。この村に医者はいないんですね」

「いや、医者ならいるぜ」

「はぁ? さっき死んだって言ってただろ」

「ギルバートは確かに死んだが、今はその息子が引き継いで医者を続けている」

「ぜっ是非その息子さんに会わせて下さい」


 エメリアさんは、最後の希望に縋り付く。そんな声で頭を下げていた。


「会わせるっつうかもう会ってるだろ」

「えぇっとどういう意味ですか」

「あんた達が助けた子供がギルバートの息子でこの村の医者だよ」


 そうです僕が医者なんです。


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