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死にかけの英雄とお医者様な僕  作者: ギンギン
2/18

01

 真っ暗闇。馬車の周囲には人攫いの死体が無造作に投げ出されていた。三人。どの死体も屈強な男だった。あのお姉さんが、全員殺したのか。見た目によらず強いんだな。そんなことを考えていたら


「鼻血が出ているぞ」


 そう言って、金髪の長い髪をした女の人は、僕の鼻に詰め物をしてくれた。美人だ。


「あっあの助けてくれてありがとうございました」


 僕は、頭を深く、深く頭を下げてお礼を言う。


「気にするな、大した手間でもない」


 何の気なしに言ってのける。普通の人間なら、怯えてみて見ぬフリが当たり前なのに。


「でもよく人攫いだってわかりましたね? 見た目はただの行商人にしか見えない馬車なのに」

「ああ、それはな、匂いでわかるんだよ」

「匂い? ですか」

「悪人ていうのは、とんでもなく臭う。街の中ならともかく、こんな人もいない道じゃすぐ特定できる」


 都会の人ってすごい。そんなことできるんだ。


「ところで、お前どこの村の人間だ」

「ドンツの村です」

「ドンツだと? 凄腕の医者がいるっていう村か」

「ええっと多分その医者っていうのは」


 そう言いかけた時、突然金髪のお姉さんの後ろから、人が走ってきた。すごい速さだ。普通の人間とは思えない。


「はあ、はあ、はあ、はあ…………」


 息も絶え絶えだ。


「やっっと見つけましたよ、キリカさん。単独行動は慎んで下さいと何度も言ったでしょう」


 呼吸が整う前にお説教が始まった。こっちも女の人だ。キリカというのは金髪のお姉さんのことだろうか。お説教お姉さんも美人だなぁ。


「そう言うな、エメリア。私がいなきゃ、この男にも女にも見える子供が誘拐され、売り飛ばされ、一生みじめにこき使われる所だったんだぞ」


 えっ女の子に見えるの?ちょっとショック。 


「だ・か・ら私に一言相談してから追いかければいい話でしょう。勝手に行かないで下さいって言ってるんです」

「それより収穫だぞ。こいつドンツ村の人間みたいだ。道案内してもらおう」

「人の話聞いて下さいよ……ええっとその少年? 少女?が道を知ってるんですね」


 お説教お姉さんも迷わないで下さい。


「ドンツ村へ行くんですよね。案内できますよ」

「よし、決まりだ。さっさと行ってベットで眠ろう。野宿は疲れた」

「でも、ここから歩いていく頃には朝になってますよ」


 馬車で結構な距離を走ったみたいで、時間がかかるだろう。歩いていくのは億劫だ。


「さっきエメリアの速さを見ただろ。私も同じ速度で走れる」

「いや、僕はそんな速さで走れませんよ」


 僕の、身体能力は普通というか、それよりほんのり下だ。


「ふむ、じゃあおんぶして行くか」


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