中3〈second〉
「あ、あ、ああぁぁのっハ……ハルフカさんですかっ?」
なんで翔世がテンパってるんだ。
「……」
こっちはこっちで無視だし。何なんだよこいつら。
「巫零くんこの人は?」
「俺の知り合いだよ。昨日のこと話したら会いたいって。だから連れてきたんだ。」
ハルは翔世のほうを不思議そうに目を向け、微笑みかけた。俺は一瞬胸が針に刺されたように痛んだ。
「私……違うなぁ…僕?いや、俺は石実翔世と申すものでございます。えぇと。巫零殿の保護者であります!!!!」
バシッ
「アヒィン」
翔世は痛そうにお尻をさそる。
「俺が保護者だ!」
「そんなのどっちでもいいだろ!叩くなよ!」
「よくねぇー」
「ふふ。」
笑い声。今ハルに笑われた?最悪だ!翔世のせいで俺の印象だだ下がりじゃん。へんなやつっておもわれたかな。まぁ変人なんだけど。
「仲がいいのね。私はハルフカです。よろしく石実くん。」
(可愛いなこの子♡)
翔世が耳打ちをしてくる。よくよく翔世を見てみると、何と首まで真っ赤である。
「あの金髪も、白いワンピも可愛いけど、それでいて顔は清楚なお嬢様!かわいすぎだな!」
「ありがとう。」
あーあ。聞こえてたみたいだ。顔がみるみるうちに赤を通り越して紫っぽくなっている。乙女かよと思いつつ
「そろそろ帰る時間だぞ。お前塾あるんだろ。」
「え?もうか?」
なぜかハルが残念そうな顔をしている。そんなにこいつといたかったのか何気にショックである。
「私一人になっちゃう」
何だそんなことか。
「でも俺塾だし」
「巫零くんだけでも!」
俺だけか。俺はいいけど翔世がどうだろう。嫉妬しそうだ。
ちらりとそっちを見ると何かを訴えるようなめで翔世が見ている。口が動いて、
[情報あつめて!]
利用するという手があったか。あくどい奴だな。
「いいよもう少しだけだからな」
「やったぁ!」
ハルが嬉しそうだと何だか心があったかくなった。
* *
「_____でさ。それで今日あいつを連れてきたんだ。」
今日翔世を連れてきたわけをはなした。
「もしかして私人気者?」
キラキラした目で見つめてくる。ハルは本当にコロコロと表情を変える。
「石実くんってどんな人?」
翔世のことなんか考えたことない。そうだな、ちょっと痩せてるけどよく食べて、ゲーム大好きで、バカで、すぐ調子のる。あとは一緒にいて楽。これをまとめて
「ゲーム大好きお気楽ボーイ」
「見た目通りって感じね」
「だろ?」
ハルと話すのは楽しい。だけどなんか時々苦しくなったり悲しくなったりする。なぜだ?あ、
「!」
「どうしたの?」
「いや、ちょっとな」
「?」
やっべぇ情報収集忘れてた!
「なぁ、ハルってどこの学校?」
「?いってないよ?」
え、不登校か?あんまり触れない方がいいか。
「じゃぁ何歳?」
「わからない」
わからないってどういうこと?冗談?言いたくないってこと?えっと、つぎいこうか!次っ
「ハマってることは?」
「真似をすること」
なんかかわいいな。ハルだからか?
「変わってんな。誰の真似するの?」
ハルは悩んでいるのか首を傾げてうなっている。
「うーーん。人間?」
悩んだ結果がそれですか。さっきから質問の答えが答えになってないな。もう終わりでいいかな。
「巫零くん、時間大丈夫?7:15だけど……」
え?7:15?6:15じゃなくて?
チラァっ
「っ!やっべぇ!ごめん俺帰るわ!」
「ばいばい」
俺んちの家の門限は7:00だ。いつも30分かけて来てるのにっ。今から帰ったらいったい何時になるんだ。やばすぎるっ!
結局俺は持ち前の運動神経で7分で帰ったが、キーチェーンがかけられていて20分間の締め出しを食らったのであった。