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プロローグ

続くかどうかは知らん

ダンジョンの起源は1500年ごろと0年とも、はたまたは紀元前からあったともされているがはっきり人類がダンジョンに入ったという記録が残ってるのは、以外にも最近、19世紀初頭である。

一説によると人類が【発電機】を開発したとこの世界に【ダンジョン】が顕現するようになったこととは密接につながっているとの噂だ。


もちろん、ダンジョン登場の初期から人類は積極的にこの未知なる空間を何度も探索、挑戦を繰り返した。

19世紀後期には特殊異世界技術こと【魔術】をかの有名な大魔導士【アレイスター・クロウリー】が確立し、【異界の法の書】を執筆。

彼の見つけた様々な魔導法則が現在の魔導科学のもとになっていることはもはや周知の事実であろう。

ああ、当然ながらかの【電位式空間固定装置】を開発したトーマスエジソンも後のダンジョン探索及び解明技術に大いに貢献したことも忘れてはいない。


そして人類はその後も【魔物】【素材】【戦争】様々な理由でこの難所に挑み続け、その謎の解明と技術開発に着手し、またその被害と恩赦を受けてきたのであった。


そして時は21世紀。

電子機器が普及し、乗り物が空を飛び、人類は宇宙へとその足を踏み出している。

しかし、こんな時代になっても人類はいまだ【ダンジョン】を解明しきれていないし、【ダンジョン】の謎は深まるばかりである。

さらに言えば、この【電子工学時代】だからこそ【ダンジョン需要】はより高まっており、【ダンジョン】内で取れる様々な鉱物資源はこれからの人類の進化と発達にはなくてはならないものとなっている。

そう、いまだに【ダンジョン探索】というものは廃れていないのだ。

たとえ、工業化と相性が死ぬほど悪く不便で面倒くさい上、この仕事には現代社会の職業とは思えないほどの高い死亡率を誇って保険もきねぇ法制度もがばがば収入もまるで安定してない、この【ダンジョン探索者】という職業が存在しなければ現在の産業は成り立たないのである。


そして、今回の話で登場する主人公はそんな3K(きつい、汚い、危険がやばい)職業である【ダンジョン探索者】を始めたとあるおっさんの話である。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



――――ザザーン、ザザーン


小さな波が浜辺を押し寄せ、そして引いていく。

空は澄み渡るほどの快晴であり、日差しはギラギラとこちらを照らしつけている。

本日も風はなく、海は平穏。

ともすればこれは一般でいうところの絶好の海水浴日和。

もし許されるなら、今すぐこのいま着ている服も下着も防護服もすべてを脱ぎ去り、斧槍も捨てて、職務も忘れて、眼の前一面に広がる海原へ飛び込みたいところである。



「……ほんと、ここが危険度0ダンジョンならよかったのになぁ……」



が、ここは魔力渦巻き化け物が潜む危険地帯ダンジョン。

そんなことすればあっという間にあの世行き……とまではいかなくても大怪我するなんてことは目に見えているであろう。

しかしそれでも愚痴りたくのは仕方ないだろう。

なんでこんな常夏の海辺で自分はわざわざ厚着の防刃ベストにヘッドギアをつけ、魔鉄入りゴムブーツなんか履いて歩かなければならないのだろうか?

服の中に仕込んでいた保冷材も温くなってきたし、そろそろ本格的に保温エンチャント付きの防刃ベストを買うことを視野に入れてもいいかもしれない。

などというアホな雑念を交えながら移動していたからであろう、腰につけていた【魔物警報機】が突然けたたましい音の警報を鳴らす。

普段なら警報が鳴る前に魔物の接近には気づくんだがよっぽど気が抜けていたのだろう。

少し目を凝らすと、目の前の砂地がゆっくりとだがぼこぼこと動いているのがわかる。

別に先手必勝と言いながらそこに向けて、思いっきり斧槍を振り落とすのもありではある。

が、今回はまだまだ魔力が有り余っているし、相手の大きさがわからないので、もっと安全で確実な方法でいこうと思う。



「――キャスト【手檻ケイジオブハンド】――」



魔力を込め、念じ、それを指から白い無数のひものような線のようなものがその砂山に向かって放つ。

するとその砂山が魔力がぶつかった衝突ではじけ飛び、中にいる魔物の正体をあらわにする。

中にいた魔物は巨大な青緑色の巨大な爪を持つ蟹であった。

固い殻と複数の足、そして大きな鋏の手が特徴の甲殻類型魔物、正式名【オオガラロクショウイカイカニ】俗称【迷宮ガニ】。

このダンジョンでおそらくもっとも見かけ、同時にもっとも危険な魔物でもあり、大きいものは体長1mを超え、少し手も油断するとその自慢の大鋏でこちらの体を切断しようとしてくる。

今回の蟹は特に大物であったのだろう、大きさは優に1メートル半を超え、突然魔法をぶつけられた怒りかその口からはたくさんの泡をパチパチと吐きだし、その大人の頭ほどもある鋏をジャクジャクとならしながらこちらを威嚇してきた。



「――成功だ。」



しかし、この時点でこちらはすでに勝ちを確信していた。

そう、なぜなら先ほどはなった魔法【手檻ケイジオブハンド】はただ相手に白い魔力の塊をぶつけるだけの魔法ではない。



「悪いが、一方的になぶらせてもらうからな」



そう、この【手檻ケイジオブハンド】は相手に縄や腕のようにまとわりつき、動きを止める【拘束魔法】の一種でもあるのだ。

現にこの魔法を当てられたカニの魔物の体にはいまだに実体化した士郎無数の腕の形をした魔力達がその身を地面にその蟹をつなぎとめたままでいる。

生きたまま魔力に雁字搦めにされているその蟹は、その口から泡を出し爪を鳴らし続けることでしかこちらに威嚇することができていない。

この魔法をもろに食らってしまった時点でこのカニの未来は決まったも同然であった。



「……そういえばまだ飯食ってなかったなぁ」



動けないカニの体に向けて振り落とす斧槍と手に伝わる固い甲羅の感触に割れる甲殻の音、弾け飛ぶ蟹汁。

塩臭くもどこか嗅いだことのあるその甲殻類独特なにおいは、ダンジョンの外が冬に近いこともあり、脳裏に巨大なカニ鍋を思い描かせるには十分な刺激であった。

……今日は早めに切り上げて、何匹分かは食べるように取っておいてもらうか。

そんなことを考えたなら、すでに爪という武器を切り落とされた【迷宮ガニ】の弱点である脳天に向かって

思いっきり斧先を振り落としたのであった。


S県T市山中区貝塚町

私有地内ダンジョン【山中海ダンジョン】


ダンジョン探索者歴そろそろ1年になる独身男性20代も後半の10月後半の出来事であった。




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