異世界爆買い~成金チートで異世界最強や~2
ワイは金田益夫!
関西一の商人や。
なんや、けったいな異世界に連れてこられてもうた。
道端で子猫が倒れとったから拾い上げて歩道まで運んだんや。
そんときトラックに轢かれて異世界や。
あ、轢かれたの東京です。
関西一って言ったけど東京です。
普段は東京弁です。
東京の方が長いしー、もう東京人じゃん?
地元に帰ると訛りが変で東京かぶれだって言われるしー。
関西一の商人とか言ったけど東京でサラリーマンしてるしー。
関西弁とかよう使わん。
そんなこんなで異世界に。
そこでデラべっぴんの女神様に小槌をもろた。
本人が「デラべっぴんの女神様でおま!」って言うてたしそうなんちゃう。
姿も見せんとけったいな女神や、デラって名古屋やし。
そんで「魔王をいてこましてください。よろしゅうたのんます」言われた。
せやから「考えときます」言うたった。邪魔くさい。
結局やることになったんやけどな。
しゃーないやん、小槌もらったし。
女神はやいやい言うし。
ほんでその小槌は金を増やす小槌やー言われた。
試しにポケットに入っとった万札をたたいてやった。
一度叩くと2枚に、もう一度叩くと4枚に。
よーできとる。2枚を見比べても違いが全くわからん。
印刷に違があるように見えんし透かしもある。
紙幣の折れ具合、汚れも同じや。
手で触ったインクの盛り上がりの感触も同じ。
傾けた時のホログラム、シールの部分とインクの部分の変色の仕方も同じ。
ちいちゃいニッポンの文字があるらしいけど、老眼でみえへん。
さんざん印刷が一緒だの言うたけど、こまい所は老眼でめーへん。
あと、製造番号が丸々一緒やな。
これは2枚一緒に使ったらアカンやつや、気ーつけな。
こない番号に気づくなんて、ワシ、かしこいなー。
ほんで、何回か叩いて100万くらいにしたった。
ちなみにあめちゃんは増えへんかった。
異世界の部屋の外に出ると、でっかい犬がおった。
「ビックリするわ」
3メートルくらいやろか?
犬種はよーわからん。頭三つあるし。
たぶんチャウチャウちゃう?
ちゃうちゃう、チャウチャウちゃうんちゃう?
チャウチャウちゃうな。
ってしょーもな!誰かとめて。
いちびってると食われるわ。
めっちゃヨダレたらしとるし。
あーもう、さっぱわやや。
いぬ、いね。
ってしょーもな!ホンマ食われる。
こういう自信の無いときほど強気でいけと、教科書に書いとったわ。
「犬っころ見とけよ、キャン言わしたる」
教科書通り強気にジャケットを脱ぎ。
そして、着た。
ここにツッコミはおらへん。
「ほな、ええもんあるで」
こういう場合、物でつるのが一番やろ。
鞄の中にあったスルメを取り出す。
犬にイカをあげてもええんかは知らん。
「ほう、それはどういうつもりだ」
犬がしゃべった。
なんてこった。犬がしゃべったのに突っ込めへんかった。
犬の顔が怖いせいや。はげ。
「なんや、殺して奪い取ればええと思っとるやろ」
「それもそうだな」
その怖い顔をやめてください。
なんとかせな。
めっちゃ、さぶいぼ出とる。
「もっとええもん仕入れてくる言うたらどないやろ」
「何をだ」
「それは、町まで案内してもらってからやな」
問題は先伸ばしに限る。
「いいだろう」
何とかなりそうや。
「ほな、行きまひょか」
犬の背中に乗って移動や。
と思ったら、思いっきりくわえられとる。
「アホか!持ち方!」
これ、どっかいわすー。背たろうてー。
連れてかれたのは西部劇に出てきそうな村やった。
「ずいぶんマカロニな村やな」
タンブルウィードだかオカヒジキだかまで転がっとる。
そんな村の外れの駐車場には異世界らしい動物が引っ張る馬車がある。
トカゲに牛に亀。いろいろおるなー。
亀は甲羅が直接荷台になっとるようや。
今甲羅に荷物を積み込んでいるのも狼男や。さすが異世界や。
ただ、狼男って満月の夜だけやったと違うか?
まあ、よーわからんし狼男でえーやろ。
そんな狼男の前掛けは酒屋っぽいなー。異世界感ないなー。
積み荷も酒屋っぽい。異世界感ないなー。
でもまあ、亀なのはすごく異世界感あるなー。
亀がゆっくり歩き出したのも異世界感あるなー。
のろまな亀じゃ日が暮れるのに異世界感あるなー。
って亀早っ!あっという間に小さくなったわ。
しかも亀が空をとんどる。
「どうした、ぼさっとして」
犬が睨んどる、いらちな犬や。
「逃げようと思ってもこの町なら見通せるんだぞ」
忘れるところやったが、犬を満足させな、ワシの命は無い。
「お、おう、すぐにええもん仕入れてくるで。待っといてやー」
ほな、仕入れに行きまひょ。
犬には駐車場で待っといてもらおう。
おっと、駐車場なんて、東京訛りがひどいやん。
ネイティブな発音を見せたる。
「motor pool」
どや。発音良すぎて横文字が見えたやろ。
問題は「ネイティブって英語の方かい」ってツッコミがおらん事や。
まずは、情報集めからやな。
情報が集まる場所と言えば酒場や
目の前にそれらしい店があった。
異世界らしくないウェスタンなドアを開けた。
客は一組。少なっ。
二人組で、少し年の離れた同僚で昼食に来ている感じやな。
異世界らしい、空中に投影されたモニターを見とる。
話しやすそうな客はおらへんし、ちょっと時間が悪いみたいやな。
「何にいたしましょう」
さすが異世界や。空中にメニューが投影されよった。
・コーヒー アイス
これでええやろ。まだ酒を飲むような時間やないしな。
メニューに触ろうとしたらすり抜けよった。
タッチパネルちゃうんかい。店員のハゲ。
しゃーないネイティブな発音で頼んだろ。
「ホット」
「はい、ホットで」
100万あるし、もっと派手にたのんでもよかったやろか。
「ごちそうさま。ここに置いとくよ」
さっきの客がテーブルに日本円と違う硬貨を置いて帰った。
やってもうた、こっちの貨幣はちゃうヤツや。
「すいませーん。ビールお願いします」
丁度やって来た客が席に着くなり注文した。
店員が注文で目を離した今がチャンスや。
こっちを向いとる客もおらん。
この硬貨、表面をざっと見た感じ番号のようなものはない。
これなら複製しても問題は無さそうやな。
テーブルの下でバレへんように。
「ちょっと、なにしてんの」
あかんバレた。
「お金、盗まないでよ」
テーブルに一枚戻す。
「盗んでないよ」
「1、2、3……丁度あるか」
席に戻って一息。
危なっ、バレとらん。
さっき増やした片割れを手に持っとる。
とりあえず10枚ほどに増やしとこか。
それにしても通貨が違うのはアカンな。
店をでたら金策せな。
「ごちそうさん。ここらに質屋ってある?」
「店を出て右の方にあります。真っ直ぐ行けばわかりますよ」
質屋があって助かったわ。
「おおきに」
商店街みたいなとこを通って町の端まで歩いたら質屋があった。
金目の物は□レックス位しかあらへん。
パチもんやし、たいした値段にならんやろ。
「これは、異世界のブランド品!こんな珍しい物、質に入れて良いのか?」
たいした値段になるんかーい。
「そうか、わかった。だが、一万Gだ」
高いか安いかわからへん。
まあ、増やしゃええか。
「もちろん、言いたいことはわかる」
いやいやいや、なんのこっちゃわからん。
「だがな、高値つけたら流れちまうぞ」
別にええけど。
「こんな珍しい物だし、さぞかし思い入れがあるだろ」
最近酔った勢いで買ったヤツや。思い入れなんかあらへん。
「悪いことはいわない、その金額で我慢しな」
増やすからええけど。
「……は、はあ」
「ちゃんと取っとくから。必ず返しにこいよ」
外で増やして、すぐ返したった。
「おう、早かったな。思い直したか」
□レックスはほかしたら良かったな。
あの犬におみあげを買うたらな。
犬へのおみあげ言うたら……。
「マタタビやな」
商店街を通った感じ、ペットショップはあらへんかった。
薬局にマタタビはあるやろか?
「マタタビあります?」
「はい、200Gになります」
マタタビあったやん。
一万G金貨を出したる。
「一万Gお預かりします」
ええやん。使えるやん。
「お釣りの大きい方から五千Gと1、2、3、4千G、五百Gに1、2、3百Gのお返しです」
運良く小銭の金額もわかったやん。
犬の所に戻ろか。
その前に武器屋によっとこ。
「そこにあるのを貰おうか」
「ホネコンボウですね。1200Gです」
「おう、釣りは取っとけ」
1200Gピッタリ払う。
「武器は装備しないと効果が無いので注意してください」
ここにもツッコミはおらへん。
「遅い、何をしていた」
「すまんな、でもこれでどや」
マタタビを出したが反応がない。
「……マタタビは猫だろうが!」
こら、かなんなあ。
仕方なく武器をかまえる。
武器を右に左に動かして牽制。
犬の鋭い視線が武器に注がれる。
ヨダレをたらし、武器をじっと見とる。
……骨が欲しいんか?
「取ってこーい」
厳しい戦いに勝利した。
さすがワシ、天才やな。
「魔王城なら北の方角だな」
今、犬から情報をもらっとる。
「魔界はシガの形をしているのは知っているか?」
「滋賀県?」
「シュガードーナツだ」
地面にいがんだ◎が書かれる。
結局滋賀やん。
「魔王城は真ん中の海に浮いていて、攻めこむには四天王を倒す必要がある」
◎に均等に点を4つ。
「まずは西の寺に行くと良い。鉄道を使うのがオススメだな」
そういえば商店街で駅を見かけた。
「歩いても良いが、街道を外れないようにしないと底無し沼の森に迷い混むぞ」
「手伝ってくれへんの?」
「すまないが、これ以上は手を貸すわけにはいかない」
「しゃーない鉄道を使おう。途中で武器を買わな」
「四天王の寺駅に着くまでに、何度か途中下車するといい」
四天王寺?なんや聞き覚えのある駅やな。
「ほな、行ってみるわ」
駅にはICOCAみたいな便利なカードがあらへんかった。
しゃーないし、一番高い券を買うたった。
ほんで何度か途中下車して、その都度、酒場に寄って屈強な傭兵を雇った。
ごっつ高い武器と防具を揃え、回復薬も買い占めた。
傭兵達は最新の鎧でやつしとる。
背中には最新の剣と盾。
両肩に大量の回復薬を担いどる。
絵面が間抜けやな。
「ほな、皆さん四天王の寺前に現地集合でたのんます」
手付金を渡して解散。
四天王の寺前に傭兵部隊が集まるっちゅうすんぽうや。
四天王の寺の一つ前で最後の買い物。
それにしても、この駅はめっさ混んどるな。
あと一駅やのに、別の移動手段も考えないといけないやん。
駅の外にも行列が出来とる。
「なんやこの行列」
「今ある現金が使えなくなるんだってよ」
親切な兄ちゃんに教えてもろた。
それで混んでたんか。
まさか、偽造通貨がバレたんと違うか。
「なんでも、大規模な機械トラブルらしいよ」
バレてないよな。
「それでこの列に並べば、機械で使えるやつに交換してくれるらしいよ」
「さよかー」
逆に偽造通貨を交換出来るんちゃう。
ロンダリング出来るならそれに越したことはないなー。
「次の方、こちらにお出しください」
カウンターに有り金全部出した。
「この量ですと時間が掛かるのでこちらへ」
離れたとこのプレハブ小屋に案内されるままついてった。