使役獣ってなんか字体は格好いい気がしませんか?
「ありがとうございました」
取り合えず何曲か適当に弾いてボケッとしていたら翔太さん達が帰ってきた。
「お、翔太さん」
「極星!?無事だったのか!?」
「無事で悪かったな。海の底に沈んでても生きてられる生命力だぞ、俺は」
実際当たってると思う。呼吸もできるし。あ!そう考えたらこれから先逃げるときは海の中に逃げれば良いじゃん!良いこと気づいた。
『それは良いことなのか?』
良いの。見つかる可能性はその分低いぜ!
『ぼっち』
ちゃうわ!
「それで、どうなったんだ?」
「ああ、クラーケン討伐の分はちゃんと全員分貰ってきた」
「ふーん」
素材はとれなかったのかな。仕方無いって言ったら仕方無いんだけど、その分の金は入らないからその分痛手だな。微々たるものだけど。
「っと、蒼。これからどうするんだ?というか、帰って欲しいんだが」
半分空気になっていた蒼に話し掛ける。
「勿論エレンについて行くのじゃ!」
「……はぁ」
全く……。
「あ、エレン様。今回の討伐で貴方達のパーティ、秋桜がランク上がって試験受けられるDになりました」
「はっや!俺の時もうちょいかかった気がする」
「今回はかなりの特例です。それと気になることが」
そう言った後、クアが全員を退出させた。なんだ?
「これを見てください」
一枚の薄い紙が出てくる。写し絵紙っていう反対側が透けて見えるやつ。
そこには魔方陣が書かれていた。
「見覚えありませんか?」
「………正確には違うけどあるな。クラーケンについていたのと良く似ている。これはダークウルフか?」
「良くわかりますね?僕には判らないんですが、これはダークウルフに付いていた魔方陣です」
羊皮紙を出すクア。さっと目を通す。
「同じ事例、か」
「あ、もう読んだんですね……」
あ、駄目だった?すまん。
「エレン様といると自分の存在意義がなくなる気がして……」
「なんでだ?」
「いえ……やっぱり自覚もしてないんですね……」
?まぁ、いいや。
「それで、これを見せたってことは俺に術者を探れと?」
「え?出来るんですか?」
「判らんけどな。紙くれ。あと書くもの。細い方がいいな」
万年筆と羊皮紙を渡されたのでクラーケンに付いていた魔方陣を正確に書き写す。こんなんだったかな。
「これがクラーケン」
「覚えてるんですね……」
「で、これがダークウルフだろ?」
「?どういうことです?」
一旦また紙に書き出す。それとは似ているが、違う魔方陣を。
「これはゴブリン」
「へ?見たんですか?」
「いいや?で、これがスライム」
「なんで書けるんですか?」
「魔物を従わせる魔方陣には幾つか制約と規則がある」
なんか授業してる気分だな。
「魔物印、術者印、術者、そして従わせる魔物。これが絶対条件っていうのは判るだろ?」
「はい」
「それでだ。普通なら全てを一度に揃えないと普通無理だろ?」
「何を当たり前のことを」
「俺でもできるんだがな。魔物がその場にいなくても使役する方法がある」
「は?」
しかたない。全部説明するか。
「魔物印はその魔物にあった物を打ち込まないと効果はない。だから絶対にその場に揃えないと無理と言われている」
「魔物によって使役印違いますもんね」
「そうだ。その魔物に適合するように合わせる必用がある」
普通なら。
「だが、ある方法だと魔物を手当たり次第使役できるんだ」
「聞いたことないです」
「そりゃそうだろ。俺も自分で見付けたんだし」
「え?エレン様が伝えたんですか?」
「そんなわけないだろ」
なんのメリットがあるんだよ。
「誰かが法則を見付けたんだろうな。そう難しくはない」
「僕には全然わかりません」
「魔物印勉強してみろ。難しいけどな」
俺も結構時間かかったし。さて。
「で、本題だ。ここを良く見ろ」
俺はさっき書いたクラーケン、ゴブリン、スライム、それと写し絵紙のダークウルフの魔方陣を並べる。
「えっと。ここが違いますかね?」
「もう少し良く見ろ」
「えーと。あ!なんか細かく数字がふってある!」
「それだ。簡単に言えば個体識別番号だな」
個体識別番号。ながったらしいな。
「それで、だ。この番号が肝だ」
「周りの魔方陣の形ではなく?」
「そっちはダミーに近い。こっちの方が大事だ」
「これの意味は?」
「言葉にすれば、ダークウルフ1、1339」
「ダークウルフ1?」
「1番最初の使役獣なんだろ」
そんなのは知らん。本人に聞け。
「ここから逆算できる」
「出来るんですか!?」
「可能である、としか言えないけどな。ここまでヒントが入っているならもしかしたら判るかも」
「本当ですか!是非ともお願いします!」
「大体予想はついてるけどな」
あれだけの魔力、俺の詩魔法を突破できる魔物印、魔力の匂い。多分、でしかないけど大体わかる。
取り合えず色々と魔方陣を解いていく。面倒くさいなー。
「できた」
「え?」
「なんだよ。俺だって仕事しますよ」
「いや、そんなことではないんですけど」
「まぁいいや。魔族。それも魔王だな。予想くらいはしていただろう?」
「大体は」
普通に考えるなら一番に出てくる可能性だ。
「魔力の質をみても魔族だとわかるしな」
「判るんですか?」
「俺の目をなめるなよー?鼻も大概だけど」
「やっぱり規格外ですねー」
そんなやり取りをしながら翔太さんが魔王討伐するってことで良いよね!ってなって話は終わった。
『全部投げたな』
んなこたぁ良いんだよ!
「では、出発といきましょうか!」
「どこに?」
「魔王の所に決まってるじゃないかー」
「アホか!?あんたアホなのか!?」
「アホは認める」
翔太さんに妙な突っ込まれ方したがこの際気にしないぜ!
「翔太さんは魔王を討伐するためにここに来たのに時間かかりすぎだろ?さっさと終らせようぜ!」
「そんな簡単なのか!?」
「難しいかもね。俺達はあまり手助けしない方向でいった方が良いかもな。最悪バレるし」
「エレンは有名じゃからのう」
なんで蒼は誇らしげなんだ?
「取り合えず魔大陸に向かって歩くぞー」
「歩くんだな……」
「他になんかあるか?」
「いや、勇者なら勇者らしい行き方有るんじゃないかと」
「ほう?堂々と自分の存在アピールするのか?別に良いけど?」
「やっぱやめます。すんません」
やっぱり王都の事がトラウマになってるみたいだな。いつか治るだろ。多分!
それで、適当に夜営しながら数日。リンネベルデと呼ばれる街に到着。ここには伝説の剣がなんたらかんたらーっていう伝説があるらしい。え?適当すぎ?ほっとけ。
『我が主。教会のような物が見えます』
「あれか?初めて見たな。なんだ?」
「なんじゃ、知らんのか?」
珍しく蒼が前に出てきて説明を始める。
「あれは剣教と呼ばれる宗教でな、その名の通り剣の勇者……エレンを信仰する宗教なんじゃよ」
「へぇー………え?」
俺?
「自分が何をしたか覚えておるかの?」
「覚えてはいる。ここまでなことしたつもり無いんだけど」
「疎いのう」
「蒼には言われたくなかった!」
なんか屈辱だ!
「私達は剣の勇者、『光輝』エレン様に護られ、今をーーー」
俺、唖然。仕方無いだろ!剣教どんだけ信者いるんだよ!恥ずかしい!あり得ないほどの恥ずかしさ!
「極星にも恥じらいの心があったんだな……」
「もう一度言ってみろよ、翔太さん?」
「なんでもない!ナニモイッテナイ!」
……はぁ。色々疲れるな。この旅。
そんな俺とは真逆の元気さを見せたのは奴隷娘達だった。後ラテ。
「極星!ごはん」
「まだ時間じゃない」
「極星さんー。ごはんー」
「早いっての!」
「「「お腹すきましたー」」」
こんな感じだ。因にだが奴隷娘達は俺のことを極星さんっていう。なんでも良いけどな。エレンっていう名前は俺がこの世界を出てから急激に増えたらしい。恥ずかしいね!
「仕方無い……ワッフルやるから静かにしてろ」
「「「わーい!」」」
全員がワッフルにかじりつく。翔太さんまでなにやってるんだか。
適当に歩いていると吟遊詩人がいた。琵琶のような楽器をもって弾き語りをしている。懐かしい感じがするな。
「ーーーその時に現れしは大剣を背負い、仲間を背に隠して魔物を蹴散らす勇者なりーーーー」
もうやだ。なんでどこ行っても俺の話題しかないの!?飢えてんのか!話題がないのか!
「俺ってそんなに語り継がれるようなことしたか……?」
「自覚が無いのが恐ろしいのう」
「どういう事?」
「……はぁ」




