クラーケンの習性は?
「ありがとうございました」
「いえ。どうか氷夏を使ってやってください」
俺のストレージの肥やしより百倍良いだろう。良かったな氷夏!もう二度と会わないかもしれないけど!
あの後俺はその後も何人かの冒険者の模擬線とレクチャーをした。俺の評価はガラリと変わったようだ。
多分。
近くの人気のないところで一瞬でお湯を作って服の上から一気にかぶって一気に乾かして。結構魔力使って汗を流した。
夜が明けてきた。レイラ達が起き出してくる。
「おはよう」
「おはようございます」
出てきた人から朝食を渡していく。この前作ってもらった大量のパンだ。出来立てを直ぐにストレージに入れたからまだあっついけど。
俺も食べとこう。魔力回復できるし。
他の冒険者達が羨ましそうに此方を見てくる。知らんぞ。食べたきゃ金払え。夜営で良いもの食べたいなら空間魔法覚えろ。
「ご主人様。結構魔力使ってませんか?」
「あ、やっぱり判るか?」
「判り易過ぎますよ」
「そうなんだよね。結構カツカツだな」
「今日は僕が御者やるので着くまでは寝ててください」
「いや、別に……」
ソルトの方から圧力を感じる。
「寝ててください?」
「……うす」
もうこう言うしかないだろ?
『よっわいご主人様だな!』
そうですね!どうせ家では底辺ですよ!
「妾の膝で寝るのじゃ!」
「はい、結構でーす」
背が無駄に高いから足伸ばすとかなり場所とるな。どうしょうか?
「妾が……」
「却下」
「なにも言っておらぬわ!」
蒼の言うことなんて聞いてたらろくでもないことになる。
「あー、どうすっかな……」
「変化を使えば良いじゃろう!」
「人前であんまり使いたくないんだけど」
「問題ないわい!さ!妾の膝にーーー」
「おやすみなさーい」
仕方無いから場所を取らないようにラテ位の大きさに縮小を使って元の不死鳥に戻ってやったぜ。結構魔力使うわ。寝ればいいけど。
「ご主人様。着きましたよ」
「ん?ああ、寝過ぎたな」
ぐっと伸びをすると、ドアップで蒼の顔があった。
「なぁ!」
「エレンー。ちっこくなったのう」
「大きさ変えてるだけだ!って言うかなんでお前に抱かれなきゃいけないんだよ!」
「良いじゃろう?」
「良くない!離せ!」
「ステイ!」
「なぁ!?」
またこれ使ったな!?変な体制のままってのは今は良いけど後が辛いんだよ!
「離せや!」
「フフフ。離さんぞ!」
もうやだこの人。
『諦めろ』
他人事だと思いやがって!
「可愛い!」
「レイラ……何とかしようとしてくれよ」
「エレン。お主暖かいのう」
「どうでも良いわ!」
何とか解除させて人間に変身する。どっかから残念そうな声が聞こえた。お前ら俺のこと何だと思ってんの?
「ここから先は船での移動となる!各自、いつ戦闘になっても問題ないように準備を整えておけ!」
変な状態で固まってたから首が痛い。
「少しいいか?」
「え、はい」
「あの鳥を貸してくれないか?」
「えっと、あの鳥は俺のペットじゃ無いんですけど」
翔太さんに話し掛けているのはギルドの職員の人だ。
「極星!」
あ、呼ばれた。
「なんです?ラテがどうとかって聞こえましたけど」
「ああ、君があの鳥を?」
「ええ、まぁ。それで?」
「クラーケンがどこにいるのか移動していないかどうか見に行ってもらいたいんだが」
「それって襲われる可能性は?」
「あるな」
どうしょう。ラテが行くのは正直危険だな。あいつビビリだし、何かあったら大変だ。
「それならお貸しはできません。ビビリで役に立たないと思いますので」
「そうか。どうすれば……」
「調べる方法なら有りますよ?」
「なんだい?」
「魔眼ですよ」
「は?」
何か問題ある?
「誰が持ってるのかい?」
「俺持ってますよ?」
「え?でも目の色……?」
「隠す技があるんです。見せましょうか?」
魔眼を発動させる。多分あっちから見ていると俺の目の色が一瞬で鮮やかな色に変わっただろう。
「「わ!」」
「どうです?」
「そんなことできるのか。頼めるか?この辺りなんだが」
地図を見せられたのでその周辺に5つ分、飛ばせるだけ視界を飛ばす。
「あれ?いないなぁ……」
さらに周辺に視界を移す。
「あ、居た。けど、遠い」
「どの辺だ?」
「この辺ですね」
元々行く筈だった道が倍位に延びてしまった。
「こんなにか」
「クラーケンは臆病ですからね。危険を感じると遠くに逃げる習性があるんです」
「なんでそんなこと?」
「聞いたことがあるんですよ」
嘘だけど。聞いたことがあるってよりかは調べたことがある。
「そうか。どうするかな」
「おびきだす手なら在りますよ」
「どんな手だ?」
「血」
「血?」
クラーケンは非常に鼻がいい。特に血の臭いとか物凄い寄ってくる。
「上手く行けば水上で戦う必要ないんですけど、被害が港に及びかねないのでやっぱり水上に行った方が良いですね」
「そうか。どうやるんだ?」
「血を垂らして、うまい具合に海流をかき混ぜるんです」
「成る程。それで来るのか?」
「恐らく。まぁ、他の魔物も寄ってきますけどねー」
駄目じゃん、って感じの視線が向けられる。駄目じゃないぞ?
「まぁ、クラーケンが反応したら魔物も生物の格を感じ取ってさっさと逃げますのでその心配はないと思います」
「そんなもんなのか?」
「そんなもんです」
昔そうやって仕留めたしな!あ。問題発生。俺の血じゃないと寄ってこないかも。
「あー。かなり強い血じゃないと寄ってこないかも」
「どんなのだ?」
「吸血鬼とかドラゴンとか……ドラゴン?」
そう言えばあるわ。
「すいません。あてがあったので問題ないです」
「あて?」
「はい。それで行きますか?」
「寄ってくるなら良いが」
「多分問題ないです」
経験あるんで。
「そうか。それでは会議を行う。極星、だったか。あんたも来てくれ」
「はい」
面倒だけど仕方無いわ。俺が提案したんだもん。
「会議だ!パーティリーダーは集まってくれ!」
ゾロゾロと集まって来た。
「それではクラーケンを討伐する際の話だ!良く聞くように。極星。頼んだ」
あ、丸投げなんですねー。別にいいけどさ。
「えっと、今回、クラーケンは自分の危機を感じ取ったのかここからかなり遠いところに逃げてしまいました。なので、誘き寄せたいと思います」
周囲がざわつく。
「クラーケンの嗅覚はとんでもなく高いので血を少し海に垂らして海流をかき混ぜればそれが届きさえすればクラーケンは此方に来るでしょう」
「そんな簡単なのでいいのか?」
「多分問題ないです。クラーケンは縄張り意識は薄いですが、食欲が半端ではないので、少しでも獲物が弱っていると判断すれば襲いかかってきます」
「クラーケン討伐の場所はここから少し離れた、最初に目撃された場所にしましょう。港に被害が及びかねないので」
一旦全部言い切ったぜ。
「クラーケンに勝てる算段はあるのか?襲い掛かってくるってことは奇襲は使えないんだろ?」
「使えませんね。いざとなれば倒す方法は幾らでもありますけど下手に使うと海が蒸発しかねませんね」
「「「………は?」」」
やっべ。ついペラペラと喋ってしまった。
「そんなことできるのか?」
「やろうと思えば。危険だと判断したら使います」
「あんた魔法使えるのかい?」
「寧ろそっちの方が得意ですが」
剣よりも魔法の方が得意だ。何で使わないの?って聞かれたら、加減できないってだけなんですけどねー。
「こいつの異常さは放っておこう。で、どうする?」
あーらら。ひどい言われよう。別にいいけど。
「というか、血は誰が提供するんだ?」
そんな話が出たのでストレージから瓶を取り出して見せる。
「これは、ちょっと色々あって入手したエンシェントドラゴンの血です。これ程まで魔力が濃いならかなり離れていてもクラーケンなら直ぐに気付きますよ」
「そのちょっと色々の部分が知りたい……」
ふふふ。秘密だ。
『前とばっちりにあったエンシェントドラゴンの血だろ?』
言うなよ!
『お前あの時相当苛立ってたもんなー。交代できなかったけど』
別にいいだろ!ストレス発散随時していかないと過労で死んじゃうよ!?
『死なないから。問題ナッシング』
『魔道具用に取ってあった血なのにいいのか?』
この前使ってみたら抵抗大きくて武器が脆くなった。
『そんなんでクラーケン来るのか?』
俺の血で来たから来るんじゃない?質が大分違うけどさ。




