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やっぱりご飯はおいしくないと!

「起きる気配がありませんね……」

「余程魔力が限界値まで下がっておったのじゃろうな」


 こうしてみるとやっぱり整っておるのう。これで恋人の類いがいないのは本人の性格か、周りが避けているか。


「エレンは少し変わってしまったのう」

「神格が上がってしまったからですか?」

「そちらではない。内面じゃ」

「どの辺りがですか?」

「暗い。ほんの少し以前より自分本意で動かなくなった」


 最初の頃はやりたい放題だと聞いているが。


「笑顔も、何処か本気ではない」

「そうなんですか?」

「これはずっと一緒にいると判らないだろう。本気で感情を表に出せなくなっておる」

「自分の中で止めてしまっていると言うことでしょうか?」

「あっているし、間違ってもいる。感じられない、と言った方が近いかのう」


 感情の起伏が殆どない。それどころか無意識にそれを周囲に隠そうとしている。


「感情を感じられない?」

「判らなくてもいい。ただ、全て本気ではないだけじゃ」


 エレンは死にかけたといっていた。いや、世間的には死んでいるのだったか。殺される辛さとはどれ程のものなのか。妾には到底考えが及ばぬ。


「だからエレンを妾が慰めて空いた心に滑り込んで妾一色にーーー」

「させませんから!」


 面白い娘じゃ。





ーーーーーーーーーーーーーーーー





「ふぅ」


 やっと回復した。もう大分暗いな。


「お、起きたか」

「翔太さん。会議終わったのか?」

「ああ。明日の内には港に着くってさ」

「他には?」

「後で話す。取り合えず飯にしないと」

「先に食べてりゃよかったのに」


 ストレージの中はレイラ達も共有できるようになっている。


「そろそろ食べようかって話だったんだ」

「ふーん。じゃあ出すわ」


 外に大きめのレジャーシートをひいて、そんでもって食器に入ったままのスープとかを全員分そのまんま取り出す。


「おおー」

「どこに感心してるんだよ」


 ファンタジーっぽいところか?


「「「頂きます」」」


 皆が食べ始める。因みに食べ物の匂いで魔物が寄ってこないようにここ周辺に結界張ってる。人間には効果ないけどな!


 そのせいか他のパーティは干し肉とか硬いパンとかかじってるのに此方は豚のしょうが焼きに、スープ、デザートなんかもあるぜ。やっぱ野営でも良いもの食べたいじゃない!


 物凄い見られてるけど、無視。量は結構、いや、かなりあるけど材料費が嵩みまくって相等な値段になってる。それでも大分安いけどね!


 だからあげない!食器洗いとかも面倒だし。


「こんな野営地であまり料理の匂いをさせないでほしいんだが」

「あ、それは問題ないです。ここ周辺に色々仕込みましたから」

「仕込む?」

「魔物とか動物とかにはこの匂いは届かないように魔法掛けたんで問題ないですよ」


 この世界にそれ系統の魔法あるかどうか知らんがな!


「そんなことが……」

「問題ないでしょう?」

「た、確かに無いな」


 他の冒険者達の食欲を刺激する?そんなの知らん。空間魔法覚えろ。


「極星様。スープ追加していただけませんか?」

「ああ。これで良いか?」


 ストレージ便利だわー。って言うか総ての理超便利だわ。もう手放せませんね!




「で、見張りは?」

「なんか各々がやれって」

「なにそれ。まぁ、俺一人がずっとやってれば問題ないけど」

「いいのか?」

「いつも寝てないだろ?」


『さっき寝てたじゃん』


 あれはノーカンなの。




 夜中になりましたー。寒いらしい。クルトアの最強ローブ着てるから全然わかんない。これ売ったらいくらになるんだろ?


 軽く数百万はいきそうなんだけど。


 寒さと眠気と戦いながら頑張って見張りをしている人たち。寒さも眠気も感じない俺。この辺でもう既にチートだわ。自分で言うのもなんだけど。


 暇だなー。鍛練でもしよう。念のために4つほどゴーレム配置。誰か近づいたら俺がわかるけどね。


 因みに。このゴーレム4体。これがいればクラセントとも十分相手取れる。レイラはちょっときついかもしれんけど。魔王位だったら全滅覚悟だったらいけるかも。


 戦闘技術が半端ではないのだ。凄いでしょ?作るの相等面倒だけど。


 ストレージから聖十刀を取り出して少し離れたところで素振り開始。あ、鞘に入ったまんまですよ。


 一人素振りしてるのもおかしな光景かと思ったけど向こうの方でもやってる人居るからいいや。


「あー。暇だ」


 こんなところじゃ仕事もできないし、相手がいないから素振りもなんか寂しいし。どうでも良いけどお腹空いた。食べれば良いんですけどねー。


「あの。私と手合わせしてくれませんか?」

「え?あ、構いませんけど」


 突然話しかけられた。居るのは気付いてたけどそんな要求されるとは思っていなかった。


 聖十刀を軽く前に構える。全く。こう言うときにやる気は出さないでくれよ。


『良いじゃん良いじゃん』


 俺の中から本体へ邪神が移った。俺が触れていれば本体に戻れるらしいからな。手、離したら無理矢理此方に戻されるようだけど。


「いつでもどうぞ」

「よ、よし!たぁ!」


 この人の武器は鞭。珍しいよな。これ結構扱い難しいのにそんなに殺傷力ないからあんまり人気がない。使う人は使うけど。


「もう少し捻りがあった方がいいですよ」


 ほんの少し首を傾けて避ける。そしてそのまま突っ込む。長物武器だろうが何だろうが俺の戦闘法は基本的に突っ込むのが多い。


「間合いなんて実はあまり関係ないんです」


 そのまま剣の腹で真横に一閃。鞭使いが吹き飛んだ。そんなに力いれてないけどな。


「おっと。すみません。大丈夫ですか?」

「いつつ……はい。問題ないです」


 ちょっと内出血おこしてるな。


「こういうの放っておくとあとでガタが来ますよ」


 ちょちょっと治す。


「え?神官の方ですか?」

「違いますよ。ただ使えるだけです」


 ただ使えるだけ。それをどうやら深読みしてしまったらしい。特に意味はないのに。


「もう一度、お願いできますか?」

「構いませんよ。少しその鞭を貸していただけますか?」


 ちゃんと相手に確認してから鞭の状態を見る。あまり良いものではないな。所々ささくれてるし。


「これ、大分古いものですね」

「そうなんですよ。中々お金がたまらなくって」

「と。これ使ってみますか?」


 この人なら正しく使ってくれるかもしれない。手合わせしただけで判るなんて大層なもんじゃないけど、俺は大抵剣を交えれば相手が此方をどう思っているか判ったりする。


 長年の勘だ。この人はかなり純粋で見るものを疑わない。そんな感じがした。俺の半分死蔵されてた武器が役に立つかも。


「凄い……レア物じゃないですか」

「そうですか?」


 大分前に練習用として作った鞭。練習用だろうが俺は基本性能に拘るから実戦でもかなり使える。


「差し上げます」

「え?でも……」

「上手く使ってくれる人が居た方が武器も幸せですので」

「そうですか……では、有り難く使わせてもらいます」


 そう言えば名前決めてなかった。


「そうですね……氷夏(ひょうか)なんてどうでしょう?」

「え?わっ!」


 一瞬鞭が光り、直ぐに戻る。


「あれ?なんか変わった……?」

「良く気づきましたね。名前付けをしました。これで貴女に鞭の効果は定着しました」

「え?えっと?」

「分かりづらいですね。貴女の物になったということです」


 その後、俺は鞭の使い方をレクチャーし、序でに鞭を腰に取り付ける金具もあげた。正直使ってなかったから。氷夏もこれで満足だろう。多分。

「何で皆空間魔法使えないの?」


『最初の頃に使えない、意味分かんないって言ってたの誰だっけ?』


 さ、さぁ?誰だっけ?

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