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巨大土竜です

「あっちゃー、何個か馬車壊れたなー」


 真下から突き上げるように出てきたから丁度上にあった馬車は無惨な姿になっている。あれ冒険者が弁償するんだよね。レンタルだし。


 俺達の?そんなの直ぐにストレージインしてますとも。弁償嫌だし。


「行くぞ!」


 さすが冒険者。切り替えが早い。俺は馬上斧を取り出す。ハルバートだな。もうちょっと馬用に調節してあるけど。


「俺が行く!レイラと翔太さんは一緒に、クラセント、イムちゃんは援護を頼む!ソルト達や魔法が使える人は魔力を温存しておけ!各自頼むぞ!」


 馬に直接念話で話しかけると、確りと応えてくれる。ハルバートを握り、モグラの腕に斬りかかると、ぱっくりと裂けた。


 やった俺が一番驚いてるって。こんなに斬れる武器だったか?


「まぁ、いいや。頼むぞ!」


 念話で伝え続ける。たまに貫通するほどの威力の矢が後ろから放たれる。クラセントだな。レイラもスパスパと斬っていく。翔太さんは少し苦戦気味だが、そこらの冒険者とは比べ物になら無いほどの強さだ。


「!皆下がれ!」


 その言葉通りに全員下がってくれる。するとそこに落雷が落ちた。あっぶな!なんと無く気付いて助かった。その証拠に俺にすぐ従わなかった奴は感電している。


 あれは麻痺が中々取れないだろうな。痛そう。幸い死人は出ていないようだ。


「誰だ!こんな危ない事するのは!」


 冒険者たちかなり怒ってるな。


「お前じゃないだろうな!」

「全然?あちらの方では?」

「なんでそう思う?」

「魔力の波長が同じですね」


 これぐらい魔眼で見なくても判る。俺達は関係無いからな。って言うかあんな魔法少女達には使えないし、他の面々も同じくだ。使えるけど、使わないって感じだし。


 それに、真犯人そこにいるしね!


「なんで無茶な魔法使ったんです?」

「…………」


 無視ですかー。別にいいけど。


「馬車壊れたから移動できないぞ、これ」


 そこなんですよねー。幸い馬は全員連れて下がってるから足はあるけど。あと、残念ながら大破した人たちの荷物も綺麗に大破した。どうすんねん。


「被害を受けた奴は?」


 2パーティ、あわせて5人か。


「これからどうする?」

「どこかのパーティに入れて貰うしかないだろ」


 あ、これ言ってるの俺じゃないよ。


 どこかのパーティに秋桜は含まれない。馬車の人数ギリギリなんだよね。馬が疲れちゃう。





「全員乗ったな!出発して夜営地に向かうぞ!」


 段々日が傾いてきた。馬車って結構足が遅いから移動に時間がかかる。転移で移動したい。駄目か。


『なぁなぁ、さっきのモグラなんだと思う?』


 何を聞きたいんだ?


『あまりにもタイミングが良すぎたし、あんなのが街道に出てくると思う?』


 確かにそれは気になっていた。あのモグラかなり知能高いと思う。けど、人が沢山通る道をわざわざ選んできた。


『やっぱり従魔線が強いだろ?』


 誰かが連れてきたんだろうな。恐らくは、あの雷落とした魔術師かな。


『だろうな。一応警戒しておけ。パーティ名は業火の水、ランクはC、あの魔術師はリンドウって名前らしい』


 判った。警戒はする。そっちも探知しておいてくれ。


『任せろ』





「本日はここで夜営とする!各自テントを準備し、夕食を取れ!見張りの話をする!パーティリーダーはテントを建て終えた後、こちらに集合するように!」


 さてと。テントを建てますかね。


「ここで、こう引っ張る」


 建て方を知らない子達にレクチャーしながらテントを建てる。なんかキャンプ場でインストラクターしてるみたいだ。昔それっぽいことやったことあるけどな。


「なるほどー」

「私やってみる!」


 魔法少女筆頭に各々テントを建て始める。初めてにしては中々手際がいい。


「ここに杭を打ち込むんだ」

「はーい」


 たまに間違えているのを見ながら焚き火をおこす。魔法だけどね!ん?なんかくらっとした。


『MPあと600しかないぞ』


 うっそ!回復しないからか!って言うか全体的に首輪が吸ってんのか!


「やべ……ちょっと寝た方がいいかも」


 目眩キター。普通の人間とかだと600あるのは全然問題ないくらいなんだけど、俺の場合元がとんでもないお陰で1000を下回ると目眩とかし始める。


「レイラ。ごめん。魔力限界だからちょっと寝る」

「はい。火おこしはお任せを」


 一応火種は付けたけどねー。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「エレンが寝るとは珍しいのう」

「魔力が限界らしいですよ?」

「む」


 100%妾のせいじゃが、ここでは一旦それは無視するかの。決して妾は逃げたわけではないのじゃ!


「聞きそびれていたので今聞きますけど、極星様とはどういうご関係ですか?」

「妾とエレンの出逢いか?そうじゃのう」


「妾は未だ幼かった。今でこそ10尾という地位をなんとか維持できておるが、昔はそうもいかなくてのう。


 プライドの塊のような性格をしていたんじゃ。10尾という異端の存在、他とは一線を置いた相当な魔力。上からは期待されるものの、同種にはいじめられる毎日よ。


 そんなとき、たまたまエレンが妾の統べる山に冒険者としてやってきたのじゃ。


 妾はエレンが返り血を浴びながら笑っている姿を見て、心底怖くなった。確かに表情は笑顔だった。しかし、全く心が笑っておらんかった。


 見ていて、ゾッとする人間。それが妾のエレンに抱いた第一印象じゃよ」


 あの時のエレンの顔を妾は忘れる事は無いじゃろうな。


「エレンのその表情はどこか妾と似ていた。


 上からの期待と重圧、周りからの嫉妬、それを戦いで発散しているように見えたのじゃ。


 妾はエレンが怪物に見えていた。しかし、それを気付いてからは妾も怪物であると気づかされたんじゃよ。


 出る杭は打たれるとは良く言ったものじゃ。まさにその通りの世界だからのう。


 エレンは一通り周辺の魔物を片付けると、こちらを見もしないで妾に話し掛けてきた。


 あんたはこれを見てどう思うか。そう聞いてきたんじゃよ。


 怖いと思いながら、化け物だ。と言ったら感情のない目でこちらを見て、そうか。とただ一言そう言った。今でも鮮明に思い出せる。


 エレンは立ち去ろうとした。妾は何故か判らなかったがエレンに、妾も同じじゃ。と話しかけていた」


「同じ……ですか?」


「そうじゃよ。エレンと妾は良く似ている。境遇はエレンの方が断然酷いが、内容としては妾と良く似ている。


 妾はエレンに自分が狐神であること、10尾であるがゆえの悩みをすべて話した。


 エレンは最後まで聞いてくれた。


 エレンは妾の話を聞いてから、じゃあ、勝ってやれば良い。そう一言言ってきた。


 どんな逆境も跳ね返すくらいの力を持てば自然と人は不用意に近付かなくなってくる。と。


 良くわからないまま、エレンの指導が始まった。余りある魔力を効率的に循環させる方法、魔方陣の作り方、果ては剣術指南まで。何でも妾に教え込んできた。


 妾は食らい付くのに必死で周囲を見ていなかったが、気付けば世界一の魔術師と呼ばれるようになっておったわ。


 妾はエレンにいつの間にか好意を抱いておった。


 エレンは一通り戦いの基本や応用、日常生活で使える知識なんかを妾に伝えたあと、自分の正体を明かしてくれたんじゃ。


 元の姿は見られなかったがの。


 それからエレンは大発生したと言われる魔物退治に出掛けた。それから気付いたらエレンは勇者になっておった。


 と、言うわけじゃの」


「成る程。極星様の弟子のお一人だったんですね」

「そうじゃの。二ヶ月ほど、みっちりと教えられたわい」


 こう思い返してみると、エレンとの出逢いは運命かもしれないのう。

「俺文字読めない……」

「私が読みますので」

「ごめん……」


 翔太さん会議に出るのも一苦労だな。

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