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ギルド長との面会です

「お待たせしました。ギルド長は執務室におりますので」

「ありがとうございます。おい、寝るな」


 蒼が寝かけた。緊張感無さすぎ。翔太さんはガッチガチだし。王族に会ったときより緊張してないか?あ、王族の立ち位置が良く分かってなかったのか。


 この二人、不安すぎる。


 執務室を軽く4回ノックしてみる。何で4回かって?一応ホテルとかでは4回のところが多いって言うか、4回が正式な数と言うか。ま、何でも良いけど。


「入れ」

「失礼します」

「失礼」

「し、失礼します……」


 蒼は堂々とし過ぎだし。翔太さんは声最後の方多分相手に聞こえてないぞ。


「君達が…………エレン様?」

「え?…………もしかして、クア?」


 なんか見たことある。この人、ハイエルフだ……って思ったときに真っ先に浮かんだ人。


「何でエレン様が……?いや、あれは90年以上も前のことで、今はもう人間族ならお亡くなりに……あれ?」

「い、一旦落ち着きましょう!」


 翔太さん。あんたも落ち着こう。


「あー、やっぱりクア?」

「僕の事をそう言うのはエレン様ぐらいですよね……本当にエレン様なのですか?」

「まあね……」


 もうこの際隠しても無駄だ。正直に言おう。


「エレン様は人間族じゃないのですか?」

「ああ。精霊に近いかな」


 人間ではない。それを先に確かめたかったのだろう。そりゃそうだよな。人間が生きていたとしてもここまで若々しければ俺も疑う。


「……エレン様なら問題はないですね。少しお話しさせて頂いても?」

「ああ、構わない」


 ソファーを勧められたので座る。蒼が俺の膝の上に座ろうとしたので首根っこ掴んで引き摺り下ろした。


「お久し振りです。エレン様」

「ああ、久々だな。クア」

「そちらの方は?」

「こっちの固まってるのが翔太さん。勇者だ」


 ぎょっとした顔でこっちをみる翔太さん。前の城での事がよぎったのかな。


「勇者様ですか。なぜ身分を隠して?」

「人間国の方で勇者奴隷にされそうになってな……トラウマになったらしい」

「そう言えばエレン様もそうなりかけてましたね……ご自分で返り討ちにしていましたが」

「そんなことあったな………」


 あんまり思い出したくない。


「そちらの女性は?」

「蒼鈴じゃ」

「………成る程。此れはかなりの珍客ですね」

「ああ。冒険者登録はしていないが、した方がこの際は得策か」

「はい。僕が秘匿します。登録した方がいいでしょう」


 まさかクアがギルド長になっていたとは。


「あ、翔太さん、蒼。このハイエルフはクリステア。俺は長いからクアって呼んでるけど」

「いや、そこはクリスだろ」


 突っ込めるくらいには回復したか。


「エレン。クリステア殿とはどういう付き合いじゃ?」

「俺が勇者騒ぎされたときに一緒に旅してたんだ。90年位前の話だけどな」

「そういうことか」


 俺の近くにいたやつの中でも特に変わり者だ。


「クアは変わり者だからな」

「どの辺りがじゃ?」

「綺麗だからって用途のわからない石を買うし、それから魔法バカだ」


 新しい魔法ができたら俺に使わせようとしてくる。魔力の問題かも知れんけど。


「エレン様に変わり者だとは言われたくないのですが」

「いやいやいや」


 俺もお前も十分変わり者だろ。


「話は戻りますが、何故ここに?」

「魔王を退治するんだってさ」

「成る程。それで勇者様が」


 魔王は何百年かに一度産まれてくる魔族の突然変異みたいなやつの事だ。


 その都度倒しにいかないと魔物が増産される。


「俺が勇者騒ぎされたときはただ単に増えただけだったからだけど、本格的に増えると色々不味いからな」

「そうですね。此方もサポートします。これを」


 紋章の入ったブローチを渡されたので確認してからストレージにしまう。このブローチはギルド長の方からの使いだとか、ギルド長との繋がりがある人が持つことを許される物だ。


「こんなあっさり渡して良いのか?」

「本当は申請やらしないといけないんですけど、エレン様なら問題ありませんし」

「そう言うもんかね」


 まぁ、これがあれば中級貴族と同じくらいの扱いになるわけだし、ラッキーだったな。





 何だかんだあって、もう遅くなったので帰ることにする。ソルトの相手するって言ったのに時間なくなっちゃったな。


「もう帰るな。色々ありがとう」

「いえ、当然の事をしたまでです。お気を付けて」


 露店を少し見ながら帰る。


「極星」

「どうした?」

「俺、本当に勇者?」

「何を今更」

「だって極星達よりずっと弱いし」

「ふーん。じゃあ明日訓練場に行ってみたら?」

「ギルドの?」


 俺は頷く。


「あそこなら戦いたいって冒険者居ると思うし」

「負けるに決まってるだろ……」

「かもね。試しだよ、試し」





 それで次の日。再びギルドへ来た。


「負けるに決まってるだろ……」

「試しだっての。あ、剣はこれ使え」

「え?いつものじゃ駄目なのか?」

「試合に勝ったら寄越せとか言われるかもしれないからな。数打ちのやつの方が目立たないし」


 不安げに俺の差し出した剣を二本腰に挿す。


「おう、兄ちゃん。力くらべしようぜ?」

「ごっつい……」


 翔太さんに物凄く人相の悪い冒険者が話し掛けてきた。


「えっと、あの」

「この人お願いしまーす!」


 無理矢理前に押し出した。顔で無理だと訴えてきているが無視する。翔太さんの為なのだ。




「勝者、ショウタ!」


 翔太さんは最初の人を一瞬で倒した。本人が一番ビビっていた。自分の強さを知らなかったからかな。


 理由はもうひとつ。実は二刀流剣術が4になっている。俺との鍛練では普通に戦うより数十倍経験値が貯まりやすい。


 まず、勇者補正で経験値獲得が10倍、俺達のような神の力を持った人が近くにいるだけで人数×3倍、計90倍他人よりも成長可能なんだよ。


 それで、かなり強くなっている翔太さん。


「何でこんなに……?」

「にしし。大丈夫だと言っただろう?」


 翔太さんは実は化け物レベルになりつつある。ってことだ。召喚から一週間も経ってないけどな!





「なんか途中で有り得ないほど体が軽くなって、物凄い楽になったんだけど」

「うん。二刀流レベル最大になってるし」

「へ?」

「もう魔王の方に出発しても道中で鍛えれば問題ないよ」


 翔太さんは唖然としている。何かおかしいこといった?


「どんだけレベル上がりやすいんだよ……」

「勇者補正が効いてるんだよ」

「補正って……ゲームかよ」

「システムとしては似てるかも」


 昔やったことあるんだよね。その時に判ったんだけど、俺ゲーム音痴なんだわ。へったくそだったもん。自分でやってて下手だって理解できるほどだったからかなりの音痴だろうな。


「さてと、翔太さんのレベリングも終わったし、皆のところに行きますかね!」

「それが狙いで訓練場に来させたのか……」


 悪いかよ。いいじゃん。






「今日はどうするー?」

「そうですね」


 字を読める人が俺とトーユちゃんとイムちゃんだけだった。今度勉強会開こう。


 依頼ボードの前で決めかねていると、ギルドの職員室から男性職員が紙を持って走ってきた。


「リオン港でクラーケンが出た!力量が十分だと判断した者は受けてくれると助かる!報酬は前金で15万テリ、依頼達成で30万テリだ!尚、急ぎのためランクは不問とする!」


 クラーケンか。どうしようかな。報酬は正直何でも良い。金ならある。ここで上手い具合に奴隷娘達のレベリングを出来れば良いけど、下手に目立つのも不味い。


 まぁ、もう大分遅い気もするがな!


「どうする?」

「クラーケンは伝説の魔物です。見に行きたいですね」

「いや、参加するかどうかって話なんだが」

「参加ですか?どうでしょう。報酬も中々良いですが」


 皆のところへ戻る。


「さっきの聞いてた?」

「俺クラーケン見てみたい!」

「ただのタコだぞ?」

「見たことあるのかよ」


 そりゃ勿論。倒したけど。


『何だったっけ?あ、水を全部凍らせたんだっけ』


 そうだよ。かなり目立ったからあの討伐方法は試す気無いけど。


「どうする?」

「僕やってみたいです」

「ラテもやる!」


 一人ずつ聞いていったら行きたい派が多かったので行くことにする。受付の方に行こうかと思ったら奥からクアが出てきた。


「お願い出来ますか?」

「どうせ受けるつもりだったし良いよ」

「ありがとうございます」


 直接行ってくれないかと言われた。

「そう言えばクラーケンってタコだけど墨吐かないんだよな」

「吐かないんだ」

「あ?あれ?どうだったっけ?前は……一瞬で倒したっけか?」

「怖……」

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