武器と訓練
何だかんだで丸め込まれた気がする。
あの後すぐに解散になり、洗い物をしようとしたら、魔神たちに
「こちらはやっておくので部屋でお休みになってください」
と言われた。
ニヤニヤしながら。
畜生。
とは言っても久し振りに寝る時間ができたので風呂入って寝よう。
‥‥‥だれも居ないよな。
いや、別に居ようが居まいが関係無いのだが、何か未だに人と一緒に風呂にはいるのには抵抗がある。
透視で念入りに確認する。
よし、いない。
まるで覗きをしようとしている男子みたいに《女湯》に入る。
そう、俺はれっきとした女なのだ。
‥‥‥誰に言ってるんだろうな。
因みに、レイラは‥‥‥男だ。
俺はともかく、あいつは産まれる性別を間違えてる気がする。
サラシを取って急いで体を洗ってから風呂につかる。
ああ、気持ちいい。
ズバーン‼とものっすごい効果音で扉が開いて心臓が飛び出るかと思った。
「せっいれっいしんさまー‼」
弾むようなリズムで呼ばれた。
海神クルトアだ。
「があああぁぁ!???!!!」
本気で叫んじまった‼
「相変わらず可愛くない悲鳴ね」
『全くだ』
てめぇはすっこんでろ‼邪神が‼
「‥‥‥可愛さは求めていないんでね」
「相変わらず凄い胸ねー」
「なにいってんだ‼」
『‥‥‥本当に勿体ない。もっと活用すればいいのにな』
なんにだ‼って言うかだまれ‼
「‥‥‥出る」
「お話しましょうよー」
「断る‼って言うかどうやって結界を抜けてきたんだ‼」
「精霊神様なら張ると思って結界避けを設置しといたのよ」
‥‥‥まんまと引っ掛かったって訳ね。
確かに、結界張るときに何か違和感あったわ。
『バーカバーカ』
だまれ‼ゲス野郎‼
『最近俺の扱いひどくね?』
自業自得だ‼
‥‥‥はぁ。ひどい目に遭った。
もう嫌だ。
早く寝よう。
朝起きたらレイラが部屋の前にたっていました。
‥‥‥いつから?
「稽古!稽古しましょう‼」
「え‼」
寝起きが一番辛いんですけどおおおおぉぉぉ。
引っ張られて‥‥‥というか引き摺られて訓練場へ。
体のあちこちが痛いです。
「なにしましょう‼」
仕方ない。やるか。
「まずは準備体操」
準備体操をしながら体を念入りに確認する。
修復中なのでそんなに速く動いたり出来ないが、軽い模擬戦なら大丈夫だろう。
準備体操がおわったので一番気になることを聞いてみる。
「今まで剣術とか格闘術を少しでもやったことあるか?」
「無いです」
まじか。
「じゃあ何がやりたいか教えてくれ」
「何‥‥‥とは?」
‥‥‥そっからか。
「格闘術とか、剣術とか、どういう武器を使いたいか、ってこと」
「精霊神様と同じが良いです‼」
‥‥‥できるかなぁ。
『無理だろ』
「‥‥‥俺の闘い方知ってる?」
「知りません‼」
うぉう。笑顔で答えられた。
「‥‥‥じゃあ武器を持ってくるから待ってて」
「はい‼」
‥‥‥やっぱり無理だったか。
まず、持ち上がらない。
俺の武器は簡単に言えば刀だ。
知っている人もいるかもしれないが、刀は叩き切る物じゃなく、素早さを重視した斬撃でスパッと斬るものだ。だから、そんなに重くない‥‥‥普通は。
俺の武器は神様しか扱えない特殊なものだ。
神力を流すとその形が変わっていく。俺の武器は本当に俺しか使えない。フェントたちも使えない。
どのくらいの神力を流せばどんなかたちに変化するとか誰も判らんらしい。
だから、刀って言ってるけど、槌とか槍とか盾とかに変形可能だ。変化させたときに重さがちょっと変わる。
500~1000キロくらい。
今レイラが持上げようとしているのは刀タイプ。変形させて使うタイプの中で一番軽いタイプだ。
まぁ、無理か。
一番軽いって言っても、3000キロくらいは余裕で越えている。
これを身体強化無しで片手で振り回せないと話にならない。
因みに、この武器は全体的にデカイ。
どの武器にしても元のモデルの武器より大きさが3倍以上になる。
何でかは判らないが、この大きさは楽なので重宝している。
何て言ったらわかるかな‥‥‥
あ、ほら海賊の王を目指している男の子の国民的アニメの中に出てくる最強の剣士が背負っているでっかい刀‼あれに近い感じになる。
「‥‥‥無理です」
レイラが肩を落としてとぼとぼと歩いてくる。
うん、持ち上がらないもんね。
「どうする?」
「おすすめの武器ってありますか?」