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俺は料理人でも学者でもありませんよ?

我が主(マイ・マスター)。また人を増やしたんですか』

「いや、俺の意思ではない。少なくとも俺は蒼から離れたい」

「エレン。それは酷くはないかの?」

「知るか。自業自得だ」


 翔太さんがめっちゃ見てくる。なんだよ。


「……ド変態」

「……死にたいんですか?」

「いや、な、なんでもない!俺は何も言ってない!」


 もう。色々辛いよ俺は。そろそろ隠居しても良い頃だと思うんだ。800億年くらい毎日働きづめなんだよ?なのに給料入らないとかふざけてるのなんのって。


「ちょっと来てくれ。翔太さんも。蒼と貴女方はここに居てください」


 レイラ達の二人部屋にいく。


「極星様。蒼鈴様の事ですか?」

「勘が良いな。そうだよ。蒼を俺がつれてきた理由はこれだ」


 マフラーをはずして首輪を見せる。


「これ……相当な魔力の塊ですね。しかも極星様の力を吸い上げてる」

「よく判るな」

「ご主人様の魔力が流れ込んでいますね。常人なら1時間で枯渇する量ですが」

「そうだ。俺は回復が早いからなんとかなってる。で、これをつけたのが蒼なんだよ」


 俺はみんなに首輪とつけられた経緯を話した。


「「「…………」」」

「ってことだ。黄鈴が外す方法見つけない限りこのままだ」

「ソルトさん達。行きましょうか」

「「「はい」」」

「ちょっと待てよ!」


 このままじゃ最悪レイラ達VS蒼になりかねない。本気でそうなった場合ヤマト公国を巻き込むくらいじゃ止まらないだろう。





「もう大分遅いし直ぐに作るから待っててくれ」

「て、手伝います」

「別にいいよ。疲れてるだろうし休んでくれ」


 なんとかレイラ達をなだめて夕飯作りに取りかかる。この宿は珍しいことにキッチンがついていて好きに使えるらしい。人数多いから一気に作っちゃおう。


 ストレージから包丁を4本出す。それを見て女の子達が唖然とする。


「く、空間魔法……?学者の方ですか?」

「これはちょっと違うんだけどね。俺はただの旅行者だよ」


 調理器具をどんどん出す。出てくる度に女の子達は俺の行動に目を見張る。なんか恥ずかしいんだけど。


「えっと、休んでていいよ?」

「奴隷は休んではいけないと言われました」

「あー……うちはそんな決まりないよ。奴隷だろうが鳥だろうが神様だろうが悪魔だろうが皆同じだ。誰が先とか後とかない」

「貴方は変なのです」


 一番小さい子に言われた。


「にしし。俺が一番わかってるよ?」


 取り合えずソルトが買い足して来た野菜の皮を一番小さい包丁で剥き、二番目に大きい包丁で乱切りにする。この量面倒だな。今魔法使えないから時間短縮も出来ないし。


 あ、2本でやろう。


 先に全部皮を剥いて、三番目に大きい包丁と二番目に大きい包丁で乱切りにする。それはもう、適当に。


「2本で包丁を……」

「危ないから真似しないでね?」


 これ本当に危険だから。俺も危険だって?問題ないよ?包丁を喉元に突き立てても傷ひとつ付かないから。ついても数秒でなおるから。それなりに痛いけども。


「よっと。魔法使えないと不便だな……」

「妾が手伝おうか?」

「結構だ。そう思うならこれ外せ」

「嫌じゃ」

「………はぁ」


 もういいや。適当に大きいフライパンに野菜をぶちこむ。我ながら適当すぎるな。時間ないし仕方無いか。


 ほんの少しだけ油をひいて炒める。火力が弱いな。魔法……は使えないんだった。


「仕方無いか……」


 手のひらを広げてその上にフライパンをのせる。体に力を少し込めるとジューっと音がしてきた。いい感じに調節できるな。


『あんまり固有能力使うなよ……』


 だって魔法使えないんだもん。こうするしかないわさ。


『全く』


 これは魔法じゃない。俺の不死鳥フェニックスとしての固有能力。体の熱を自在に操れる。これを高温にすると火とか出る。俺が出す火の仕組みはこう言うことだ。簡単に言えばただ体温が高いだけ。


 いい感じに焼けた。鍋に移して水を入れる。


 あくを取りながら野菜が柔らかくなるまで待つ。この間も手を動かして適当にサラダを作る。

 あ、食後に果物でも食べるか。折角だから飾り切りにしようかな。


 リンゴを手に持ち、高速で回転させてから包丁の刃を当てると、綺麗に皮が剥けていく。手に当たる危険とかあるから真似は絶対にしないように。一枚の長い皮を飾りとして使うから、果物用の皿に敷き詰めてリンゴ自体に細工をする。


 そんなことをしながら待っていると野菜が柔らかくなった。本当だったらスパイスを使いたいところだけど、残念ながら時間もないので日本で売ってるカレールウを入れる。


 クミンでも入れとくか。これはハーブの一種で胃腸の……まぁ、いいや。とにかく、これを入れると香りも良くなるわけで。


「出来たぞ。全員手を洗ってさっさと食べろ」


 一時期あまりにも五月蝿かったものだから全員追い出していた。その間に風呂に行ってたみたいだけど。


「「「わぁー」」」

「……すご」


 カレーとかサラダとかカットフルーツを見て皆が歓声をあげる。量足りるかな。大丈夫だろう……多分。


「カレーライス……炊飯器とかないのにどうやって米を炊いたんだよ」

「それは企業秘密だ。はい、皆食べろよ」


「「「頂きます」」」


 奴隷の子達以外直ぐに食べ始める。


「なんで食べないんだ?」

「だって、ご飯は最後の残り物だから……」

「なに言ってるんだよ。もう皿についだから食べてもらわないと困る。さ、遠慮なく食べろ。蒼に全部食われるぞ」


 蒼がかなりがっついている。あんた仮にも神様だろう。もう少し我慢を覚えて欲しい。後この首輪を外して欲しい。


「いいの……?でも……」

「うん……そんなことをしたら直ぐに殺されるって……」


 誰から聞いたんだそんなこと。危険すぎる飼い主だな。


「殺さない殺さない。さ、食べろ。食べる前には頂きます、だ」


「「「い、頂きます……」」」


 恐る恐る食べ始めた。別になにも入ってはいないぞ?あ、クミンは入れたけど。


「どうだ?結構適当に作ったからそんなに……ってぇえ!?」


 泣いてる!皆泣いてる!辛かったのか!?甘口の方が良かったか!?判んないから真ん中を取って中辛にしたんだけど。


「うううぅぅ………」

「え?あ、え?これはどうすればいいの?」


 奴隷の子達皆泣いてるし。やっぱりクミンはいれない方が良かったかな……結構好き嫌い分かれるし。


「美味しい……」

「はぇ!?」


 漫画みたいにガクッとしたよ!この手抜き料理が美味しくて泣くとかどんだけ不味い物食べてきたんだこの子達は。





「なんで誰も果物に手をつけないんだ?」

「いや、勿体無くて……」

「食べない方が勿体無いだろ」


 今回結構綺麗に作れたからな。リンゴの桜切り。花弁のかたちにカットして端の余ったところを中に使った。皮で白い皿に模様をつけて、色合いを良くするためにオレンジとかも花の形に切って添えた。


「結構それなりに出来てるだろ?」

「いや、これはもう職人技だ……女子力高すぎるだろ」

「はいはい。味が悪くなるから早く食べてくれ」

「皮は?」

「食べたいのか?」

「いや、飾りなのか食べる用なのかと」

「飾りだ。食べたきゃ食べろ。それ用に切った訳じゃないから味は保証しない」


 翔太さんは俺がりんごの皮でも料理にかえるやつだと思ってるのか?





「食器は僕たちが洗いますので」

「サンキュ。ちょっと魔力が心許ないから10分寝る」

「もっと寝ても大丈夫ですけど」

「仕事もあるしな。お休み」


 正直ちょっとヤバイ。この首輪どんだけ魔力吸うんだよ。肩凝るし。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「エレンは多才じゃのう。わかってはおったが」

「なんで極星様の事をエレンと?」

「エレンがこの世界に居た頃は皆そう呼んでいたからのう。やっと帰ってきたと思ったら男を連れておるし」

「蒼鈴様は男性ですか?女性ですか?」

「どちらでもないのう」


 クラセントさんと似た感じでしょうか?


「あ、そのお皿ください」


 今は皆で洗い物をしています。極星様のお料理はとても美味しいのでいつも食べすぎてしまいますね。少々体重が心配です。


「あの……」

「どうされましたか?」

「今寝ている人って何者なんですか?」


 かなり直球な質問を奴隷の方々からされました。極星様が何者なのか、ですか。


「私にも判りません。肩書きとしては冒険者ですけど」


 この世界の基準がいまいち不明なのでどうとも言えませんね。


「冒険者ですか……皆さんそうなんですか?」

「はい」

「私達も入れていただけませんか?」

「どうでしょう。極星様に聞いてみないと、なにも」


 これは私たちが決めることではないので。

「飾り付けが苦労した」

「飯に気合い入れてくれ……って言うか女子力の塊かよ」

「器用貧乏なんだよ」

「器用の域は完全に超えてる」

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