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勇者エレン?俺ですけど

「こんにちはー」

「誰だ?この通路を知っているならば王直結の貴族の方か?」

「ちょっと違います。これを拝見願えますか?」


 トーラ直々の手紙だ。こう言うときに役立つと思ってこっちに来る前に書いてもらったんだよね。


「……良いだろう。これの確認はさせて貰っても?」

「勿論。ちゃんと本物ですけどね」





「王が謁見に応じるそうだ。勇者殿とそのお付きの方々。ご同行願おう」


 お付きの方々ですかー。まぁ良いけど。




「でか……」

「懐かしいな……黒歴史の思い出しかないけど」


 翔太さんは謁見の場の扉の大きさに驚いているようだ。確か巨人族でも入れる位の大きさにしてあるんだっけ?

 鈴を鳴らす。


「入り方を知ってるのか?」

「以前来たことがあるんです」


「入れ」


 この声の人か。100年近く経ってるもんな。そりゃ統治する人も変わるよな……。


「失礼いたします」


 中に入るが、お付きの人は端による決まりだ。なので右側にレイラ達を連れて膝をつく。このポジションは初めてだな。いつも真ん中に立って、それで横の……思い出すのやめよう。


「トーラ様に使わされた勇者殿。名を申せ」

「翔太です」

「ショウタ殿か。お付きの者共。面をあげ、名を名乗れ」


 あ。どうしよう。極星って言おうかこの世界で名乗ってたのにしようか。極星でいいや。


「極星です」

「レイラです」

「ソルトです」

『クラセントです』

「ラテです!」


 王様が俺の顔をスッゴい見てきてる気がする。会ったこと無いよ!俺がここに来たのは92年前だし!記憶に無いよ!


「キョクセイ……と言ったか。顔をよく見せてくれぬか?」


 げぇ!バレたくないなぁ……その時はその時だけども。仕方ない。顔をあげる。


「ふむ……もし、聞いても良いか?」

「どうぞ」

「お主、勇者エレンの末裔ではないか?」


 ぬぁー!核心付いてきたぞ!


「違いますよ?末裔とかそんな大層な者ではないです。どこにでもいる平民です」

「む……そうか。すまぬ。先々代が言っていた容姿とよく似ていたものでな……良かろう。下がれ」

「はっ」


 あ、あぶねー!


「勇者殿。よく参った。そなたは魔王と戦うらしいな」

「は、はい」

「出来る限りこちらがサポートしよう」

「あ、ありがとうございます」




 で、謁見が終わり、一先ず俺たち御付きの奴等はここで待っていてくれと小さな客室に放り込まれた。


「ふぅー」

「極星様。エレンって?」

「んー?俺の偽名その4」

「幾つ在るんですか!?」

「極星で丁度7個目」


 いやまぁ、偽名って言うか本名に近い感じの偽名だけどな。それは今言うべきでもないか。


「翔太さん大丈夫かなー」

「どういう事ですか?」

「いや、たまーに在るんだけどさ。気付かない内に奴隷化の術式かけられるってこともあったりするんだよねー」

「は?」


 それを知っておきながら俺は放置したんだけどさ。


「それ大丈夫じゃないですよ!」

「ん。大丈夫。対策は万全です」


 ニヤリと笑ってみせる。そう。もう問題ない。何があっても。





ーーーーーーーーーーーーーーーーー





「えっと、何であの人達を離したんですか?」

「それは勿論、君に大切な話をするためさ」


 なんだこの雰囲気は。


「周りの人は何ですか?」

「契約呪文を扱える人達だよ。ああ、気にしないでくれ。痛くはしない」


 不味い!これはちょっと嫌な予感がする。逃げないと!

 俺は扉に手をかけるが全く動く気配はない。どうなってるんだ!


「勇者を奴隷化して使い潰せばよっぽど生産的だ。そう思わないかね?」

「ひっ……!」


 不味い!ここに入るとき武器も預けちゃったし、戦える手段もない!


「きょ、極星!」

「無駄だよ。彼等も後で奴隷化するけどね。今は誰も来ない。君を傷つけたくないんだ。大人しくしてくーーーー」

『それが1国の王のセリフか?情けないねー』


 ……?誰だ?


『極星に言われて残ってみれば、まぁ。予想通りの展開だな』

「誰だ!出てこい!」


『出てこいって言われてもねー。敵に居場所を教えるほど俺は馬鹿じゃないなー』


 誰だ?極星の名が出てきたってことは俺の知り合いか?


「た、助けてくれ!」

『えー。面倒だな。神力貰ったからにはそれなりに貢献するけどさー。やっぱり面倒なものは面倒だよ』


 何が言いたいんだ!?っていうか本当に誰だ?


『そんなに聞かれると照れちゃうなー』

「はぁ!?」

『冗談冗談』


 この状況で冗談!?なんだこいつ!?


『ふぁー。じゃあさっさと仕留めますんでー。歯ぁ食いしばれ』

「「「ギャアアアアァァァ!」」」


 !?

 周りのやつらが一瞬で倒れた!?足下から氷柱が突きだしている。これが魔法……。


『はーい、王様は蔦でグルグル巻きの刑ー!』

「ぐあああぁぁぁ!」


 能天気な声とは裏腹に王様が悲鳴をあげて巻き付く蔦を剥がそうと必死だ。


「おいおい。殺すなっての」

『あ、極星!いいじゃん!こんなの生きてるだけで害を振り撒く老害なんだし』

「トーラに迷惑かかるだろうが。せめて骨折にしておけ」

『ラジャー』


 開かなかった筈の扉を開けて極星が入ってきた。


「んーん。やっぱりこうなっちゃったかー。せめて回復させとこ」


 あの声の主と会話したあと、怪我したやつらを治していく。なんで?なんで治すの?


「治さなくていいじゃん」

「そうだけどな。やっぱり交渉事で人死にが出ると後々面倒だしな。ここで治して縛っといた方が良いんだよ」

「そう言うものなのか……って言うか!この声なんなの!?」

「俺の守護精霊。言うこと聞かないけどな」


 守護精霊?背後霊みたいなもんか?それを聞こうと口を開いた。だが、その言葉は話せなかった。


『よっす』


 幽霊だ。完全に幽霊だ。俺は硬直した。まさか幽霊が俺を助けてくれたのか?それ以前に極星って幽霊と知り合いなのか?


「全く……程々にしておけって言っただろ」

『良いじゃん。こいつら生きてる価値ないし』

「何て事言ってんだよ。さっさと戻れ」

『ちぇー』


 消えた。消えたぞ!?


「い、今のは……?」

「守護精霊だ。正確には武器精霊だけど」

「武器精霊……?」


 い、意味がわからん。


「まぁ、その話は後でな」


 なんなんだ、こいつは。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー




 全く……交渉手段が無くなったな。サクッと記憶を抜いて何もなかった事にしようかな……。ったく。なんでこんな面倒なことに。


「な、なぁ。1つ聞いて良いか?」

「はい?」

「どうやってここに入ってきたんだ?扉の前には兵がいただろう?それに頑丈に閉められてて開かなかったし」

「こう……つかんで」


 扉は金属だったし、魔法解錠タイプだったから右手でぐしゃっとつかんで放り投げた。後、護衛兵は寝てもらった。現在ストレージの中だ。


「ええええ」

「で、どうする?翔太さんはここの支援を受ける?」

「う、受けるわけないだろ!」

「ですよねー。じゃあ、記憶から抹殺しましょうか」


 蔦でグルグル巻きの王様の頭に手を置き、俺たちに関する記憶を抜きとる。


「ん。じゃあ全員これをやって来ますかー」





 終わったー。


「はい、さっさと逃げよう」


 先に逃げてもらっていたレイラ達との合流場所に翔太さんを担いで向かう。


「も、もっと優しく……!」

「すみませんー。流石に男をお姫さま抱っことか無理です」

「そこじゃないぃぁぁあああ!」


 屋根を跳び移りながらこれからどうしようかと考える。祭りの時期にこれたのはラッキーだった。翔太さんの悲鳴も聞こえないから。





「これからどうしますか?」

「そうだな。一応記憶を抜いておいたけど、いつ戻るかも判んないし。別の国の方がいいかもな」

「そうですね。情報収集はしておきますので」

「頼む」


 宿の一室でレイラと話し合う。翔太さんは途中で気絶したので現在翔太さんの部屋のベットに放り込んでおいた。


「あ、極星様。翔太様には言いますか?」

「俺たちの事か」

「はい」

「んー。未だ良いだろう。そのうちでも十分だ。今はとにかく別の国に渡る事だけを考えようか」

「はい。候補は?」

「そうだな。ここと、ここと、あとこっちかな」


 地図を指差しながら伝える。


「はい。ではそちらを優先的に」

「頼んだ」


 ふぅー。さて。仕事しますかね……。

「思い出しませんように!」


『自分でフラグ立てておいて何やってんだか……』


 そう言うことは思ってても言うなよ!

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