勇者様にご同行です
勇者来ないな……
あれから二時間程経った。ここで待っていてくれと言われていたので待って居るんだけど。一向に人影がない。レイラ達は探検に行ってしまった。必然的に俺が一人で待つことになる。暇だ。
「ちょっとくらい良いかな……」
もう俺は寝ることにした。
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「なんだこいつ……」
男が草にまみれて寝ていた。こいつが最強の仲間?大剣を振り回す?こんな細い腕で?想像もつかないんだけど。
まず大剣がないし。
「あのー」
「うう……レイラ……あと二時間……」
いやあと二時間ってなんだよ!せめて五分だろ!
「あの!」
「はい!今すぐやります!」
なんだこいつ。
「ああ、勇者さんね……おはようございます」
「え、あ、おはようございます……?」
なんか突然挨拶された意外と礼儀正しいのか?って言うかこいつイケメン過ぎるだろ。髪の毛真っ赤ってどこのマフィアだよ。
「あんたが『最強の仲間』ってやつか?」
「え、なに?トーラそうやって俺のこと紹介したの?」
「そんなこと言ってましたよ?」
「ふーん。まぁいいや」
いいのかよ!って言うか敬語どこ行った。
「えー、この度勇者の補佐として来ました。名前は……あー。極星です」
「違うよね!?」
名前言わないって何なんだよ。
「下手に名乗らない方がいいですよ?名前知っただけで相手の情報見る魔法だってありますし」
「え。偽名使った方が良いのか?」
「いえ?全部ばれなきゃ良いだけですし。下の名前だけで大丈夫ですよ。まぁとは言ってもそんな古い魔法使える人って殆ど居ませんけどねー」
なんだよそれ!
「じゃあ俺のことは翔太って呼んでください」
「判りました。っと。そろそろ仲間が来るようです」
「仲間?」
「家族ですけどね」
家族連れ!?じゃあ三匹ってのはペットか!?ペットなのか!?
「あ、来た来た」
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眠くて寝てたら勇者が来ていたらしい。てっきりレイラかと思っていた。
自己紹介をしている内にレイラたちが帰ってきた。
「極星様ー!こんなの拾いましたよー!」
全員狸みたいな魔物を担いでいる。なんだあれ。って言うか狩ったんだろ。拾ったんじゃなくて。
『狸だろ。巨大なだけの』
ふーん。
「あれ?そちらが勇者様ですか?」
「そうだ。全員挨拶してくれ」
翔太が少し引いている。そりゃ引くわな。
「私はレイラです。武器は槍です」
「僕はソルトです。これでもドラゴンですよ。あ、武器は鎚です」
『クラセントです。ヒポグリフと言う種です。以後、お見知りおきを。武器は弓です』
「ラテ!朱雀!武器無いよ!」
うーん。怪物のオンパレード感は拭えないな。
「えっと、ドラゴンとヒポグリフ?と、朱雀?」
「そんなとこですね!」
あれ?思ったより嬉しそう。ファンタジーの定番っぽい存在が出てきて興奮してるのかな。
「っと、俺は翔太。武器は剣かな」
「「「よろしくお願いします」」」
よし。顔合わせも終わった。
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凄いメンバーだった。ドラゴンってファンタジーの定番だし、ヒポグリフって確か上半身は鷲で下半身は馬っていうやつか。朱雀は中国の四神の一匹だよな。ここまで凄そうなメンバーが揃うとは思ってなかった。
しかも全員可愛い!(鳥とこの男は除く)
この男いなきゃハーレムじゃん!半分魔物だけどさ。
「可愛い……」
つい口から出てしまった。すると自称極星がこっちを見て、
「レイラはやめとけ。虚しくなるぞ」
と、ボソッと言った。もしかしてこいつの女なのか?さっき家族って言ってたしそうなのかもしれない。
恋愛は障害があるほど燃えるって言うけどそれだったら俺が奪ってやりたくなるな。
「それじゃあ、いつまでもここに居られないし、どっか町でも行こうか」
そう言って男が立ち上がった。ええええ!?スタイル良いにも程があるだろ!?9頭身だよこの人!しかも身長は180いってるんじゃないか?
「ん?どうしました?兎に角今日泊まれるところを捜しますよ?」
勝ち目ないわー。これじゃあもし性格悪くてもモテるわー。性格しらんけど。
「お、おう」
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レイラをずっと見てる。不憫だなー。女じゃないって知ったらどう思うかな。今のところ面白そうだから観察しよう。
「ご主人様。どちらに向かわれますか?」
「ご主人様!?」
「「「え?」」」
何に驚いてるんだ?
「あんたご主人様って呼ばせてんのか!?」
「?好きに呼べって言ったらこうなってますが」
日本とは価値観違うからなー。ご主人様とかメイドカフェくらいじゃないと聞けないもんな。あと二次元。
「?まぁいいや」
遠視を発動。5方向に視線を飛ばして近くにあるところを探す。
「んー。近くはないかな……」
「飛びます?」
「いや、転移にしよう」
そっちの方が楽だし。
「だったら王都らへんの良いとこが良いよな」
見つけた。
「おし。見つけた。行こうか」
「見つけたってどうやって?」
「ん?魔眼で」
「魔眼があるのか!?」
えらく食い付いてくるな。
「あ、はい」
「千里眼か?」
「万理眼」
「千里じゃないのか?」
「最初は千里だったけど。つい最近万理になりました」
「最近?」
「6、7年前」
「それ最近って言わないような」
よし。レッツゴー。
「ふぁ!?」
「あ、すみません。転移しました」
なにも説明せずに移動したら翔太さんが驚いてるわ。
「あー。これからどうします?」
「どうって?」
「貴方の存在世間に公表しますか?別にどっちでも構いませんけど」
自分のことを知られたくないって人も少なからずいるわけだし。
「公表したときのメリットは?」
「かなり援助してもらえる」
「デメリットは?」
「監視される」
「じゃあしなかったときのメリットは?」
「比較的自由」
「デメリットは?」
「援助がない」
こんなもんか?あとまぁ、色々面倒なことだらけだけども。
「この世界って冒険者いるのか?」
「いますよ?この中では俺が一応入ってますね」
何十年か前の話になるけど。
「あー。でも権利剥奪されてるかも」
「なんかやらかしたのか!?」
「戦争止めたくらい」
「「「え!?」」」
ん?なんか問題あった?
「戦争止めた!?」
「ええまぁ。結構簡単でしたよ?」
「流石はご主人様……」
レイラたちには何にも言ってないからなー。
「おっと。そろそろ着くかな。で、勇者さん。公表します?止めておきます?」
「俺の力は今のところ無いも同然だし……公表しようかな」
「了解。じゃあ公表することにしましょうか」
確かに援助を受けられるなら受けた方がいいしな。
「そこの者、止まれ」
「はい」
記憶を見せてもらう。というかコピーさせてもらう。
「通行証ってこれでも大丈夫ですか?」
「あ、ああ。問題ない」
昔持ってた貴族用の通行証をみせる。今でも使われてるみたいだし、大丈夫だろ。多分。
「後ろの方々にも通行証を発行していただいても?あ、平民用の。私の分もお願い出来ますか?お忍び用に1つ欲しくて」
「は、はい!貴族様!」
直ぐに話が進んだ。ラッキー。
「極星様。何で通行証を?」
「昔ちょっとねー」
「ご主人様貴族なんですね!」
「当代貴族だっただけだよ」
ちょっと色々ありまして。黒歴史に近いけど。
『あれだろ?あのグランドタートルの………』
言うなよ?黒歴史に近いって俺が言ってんだから。
『はいはい』
「当代貴族ってなんか凄いことした人がその代だけなれる貴族だろ?」
「おー。知ってましたか。サブカルチャー好きなんですね」
「そうそう……って、え?日本を知ってるのか?」
「知ってますよ?行ったことありますし?」
隠してもいつかバレるのは確実だろうし。特に偽装の必要はない。
「行ったり帰ったりできるのか!?」
「どうでしょうねー。神様に頼み込んで送ってもらえば良いんじゃ無いでしょうか」
そう言っておこう。俺に懇願されるのは嫌だし。って言うか面倒だし。
「この用紙に記入を」
そう言って手渡された紙に目を通したら、俺以外の全員が困惑し始めた。
「「「読めない……」」」
「あ」
言語違うって言うの忘れてた……。俺の特殊能力の1つに異世界言語って言うのがあって、それをクラセントたちにも与えている。効果は完全翻訳。だから誰も言語が違うとか気付かないわけで。
「俺が書きます……」
レイラ達の分を受け取り、俺たち以外の人が見ていないのを確認して、右手に俺のやつ、左手にレイラの。空中に浮かせて左斜め前にクラセント、手前にソルト、右斜め前にラテ。全部を一気に書く。
「5つのやつを全部一編に書いてる……」
これぐらい出来ないとあの膨大な量の書類は捌けない。
「こいつ両利きなのか……?」
右利きです。左でも全然いけるけど。そう考えたら両利きか?
「よし、書けた」
これで大丈夫と思いたい。それで、翔太さんだが。
「貴方の分を書くので紙をいただけますか?」
「あ、ああ」
「聞いていくので答えてくださいねー」
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氏名 ショウタ
年齢 17
種族 人族
職業 ーーーーーー
備考 片手剣二刀流
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「これでいいですねー」
さっさと通行証を貰って王都に入る。
「「「わー!」」」
丁度良い時期に来たな。今は祭り時みたいだ。
「ひっ!」
巨大芋虫が積み荷を悠々と運んでいた。この世界だと何故か移動手段に芋虫を使うのが多い。ちなみにさっきの声は翔太さんだ。俺じゃないからな?俺も言いそうにはなったけど。
「極星。芋虫、おいしい?」
「俺は無理。でも食うなよ」
「うん!わかったー!」
鳥だから平気なのか。俺も鳥だけど。
「賑わってますねー」
『現在、この王国を救った勇者を称える祭りをしているそうです。この時期に勇者様がお越しになられたのは幸運でしょうね』
確かになー………。
「王国を救った勇者?」
『突然現れて魔物の大発生を基とした戦争を回避させて、魔物の大発生を完全に食い止めて見せた大剣使いだそうで』
「ご主人様と似てませんか?」
………。
「極星様。ですよね?」
「何で言うんだよぉ……」
そうですよ!それやったの俺だよ!魔物狩りだって調子に乗ってたらそうなってたんだよ!全部なり行きだよ!
「あんた勇者だったのか……?」
「あ、それは違うぞ?」
「え?でも勇者の祭りだろ?」
「冒険者の仕事の1つだったんだよ……。翔太さん見たいに呼ばれてここに来た訳じゃないし。どっかの誰かがあれは勇者だって勘違いしてきたんだよ……」
『で、訂正も面倒だから肯定しちゃったわけだな!』
そうですね!
「確か此方だったっけ?」
「王に挨拶にいくんだろ?門に行かなくて良いのか?」
「いや、そうすると観光客と間違えられて終わりだからな。謁見したことのある人用の通路があった筈なんだけど……もう無くなっててもおかしくないな……」
『ここに来たの何年前ですか?』
「……100?」
『92年前だ』
「92だってさ」
「92日前……そんなに早く通路って変えられるのか?」
「いや、92年前」
「は!?」
詮索されるのも面倒だから放っておこう。
「あ、あった!すげー。未だ残ってた!」
「残ってた。懐かしー」
「なぁ。92年って何なんだ?あんた何歳?」
「何歳でしょうね?」
「はぁ?」
だって俺も自分の年齢知らないし。




