海水浴です。あんまり嬉しくないけど
夏真っ盛りですね!特になにも意味はないけどさ。現在隼人は一旦家に帰ってきている。
「極星!この魔法のやり方ってこう?」
「それでもいいけど。ここの魔力を圧縮して……」
なんか最近隼人が妙に色々聞いてくる。俺がここにいる時間で精一杯聞けることは聞いておきたいのかな。
「ご主人様!海に行きましょうよ!」
「なんで今?」
「夏ですよ。夏と言えば海だろって言ったのご主人様ですよ」
確かに昔そんなこと言った気がする。
「でも確かに暇だし、皆で行っても良いかもな」
海水浴か。そう言えば100年くらい行ってないな。
『240年だ』
そんなに行って無かったっけ?まぁ、いいや。
「転移で行けるところで良い感じの砂浜……この辺りか」
全員準備をしたので転移で海に行く。あっちの様子は魔眼で確認済みだ。
「行くぞ。転移」
海についた。所要時間3秒。楽だな。ラッキーなことに周囲に人影はない。ただし、
「モンスターの巣窟だなぁ」
現実逃避したくなるくらいモンスターが居た。
「キシャアアア!」
「気持ち悪いわ!」
ウォークカープが来た。気持ち悪い。あ。ウォークカープは前に迷宮に居た足のある鯉な。
「このやろ!」
範囲魔法でモンスターを全滅させた。おっし。これでよし。
「砂浜が血で真っ赤に……」
すまん。浄化します。
「キャッホー!」
「モンスターには近付くなよー」
隼人とラテが率先して海に直行した。楽しそうで何よりだな。この辺のモンスターを全滅させた甲斐あったかもな。
「ご主人様。泳がないのですか?」
「い、いやー。俺はいいかなー」
別に泳げない訳じゃない。その、ちょっとな。
『水着を見せたくないからっていつまでも服着てつったってんじゃねーよ』
仕方無いだろ!俺のここが入る水着はこれしかなかったんだし!
「もしかして、ご主人様カナヅチ……」
「泳げるから!」
なんでこんな水着を送ってきたんだ、クルトア。
「じゃあ行きましょうよ」
「モンスターを殲滅させて疲れた」
「もう回復したでしょ。さぁ、行きますよ」
なぬぅ!?ソルトが言い返しただと!?
「むりむりむり!恥ずかしくて無理!」
「やっぱりカナヅチ……」
「断じて違う!」
どうやって切り抜ければ!
「あ、俺モンスターを倒しに……」
「この周辺のはさっきので全部やられましたよ」
「解体を……」
「能力で出来ますよね?」
「………」
言い訳が出てこない。
「さぁ!ゴーですよ!」
「ふぁあ!?」
投げ飛ばされたあああぁぁ!
「ソルトぉ!無理矢理にも程があるぞ!」
結局ベタベタだ!
「さっさと服脱ぎましょう」
『我が主。覚悟を決めましょう』
「ちょ!ちょっと待てぇぇ!」
海辺で鬼ごっこが始まったんだけど!むりむりむり!ってあれ?レイラが居ない。
「連れてきましたよー」
え?何を?
「パパ!こんなに綺麗な海初めてだよ!」
「そうだな。モンスターが何故か居ないけど」
可愛らしい女の子の後ろに完全に親バカ丸出しの父親が……
「グラスさん!?」
「おー。極星君お邪魔させてもらうよ」
「冒険者のお兄ちゃん、こんにちは!」
なんでグラスさんが!?
「レイラ。説明求む」
「いえ。グラスさんも行きたいと仰っていたので」
「ああ、うん。良いと思うよ……」
良いけど。別に良いけども!せめて一言ぐらい……
「捕まえましたぁ!」
「ぐへぇ!」
やべぇ!脱がされる!
『観念してください』
「できるかぁ!」
おいおいおいおい!なにナチュラルに服の裾掴んでやがる!
「むりむりむり!まじでいやだぁ!」
全速力で飛行する。もうこの際良い‼
「全員飛べることをお忘れですか?」
ぎゃあああぁ!飛んできたぁ!仕方ねぇ!魔法で吹き飛ばしてやる!
「ぐあああぁぁぁ……」
「さ!観念しましょう!水着になりましょう!」
あの後魔法の打ち合いになってたのをレイラが俺専用の弱体化魔道具使ってきて呆気なく撃ち落とされた。弱体化魔道具は俺の家族全員に配ってある。これは邪神が暴走した際に使うものなんだけどここで持ち出してくるとは……
「いやだぁ……」
「駄々こねてないで脱いでください!」
弱体化魔道具のせいで力が入らないんだよ。
「さぁ!極星様を脱がしましょう!」
「「「おー!」」」
「おー!じゃねぇ!いや、止めてくれえええぇぇぇ!」
「可愛いですよ!」
「ふざけるなぁ……」
上に羽織っていた服やらサラシやらが脱がされて物凄い恥ずかしい感じになってるんですけど……。グラスさん!見ないでくれ!
「まさかそんなにあったとは……」
「なに言ってんですかぁああ!」
今の俺。完全ビキニ姿。仕方ないじゃん!クルトアが送ってきた水着のなかで唯一胸が入ったのこれだけなんだから!
『お似合いですよ。映像保存っと』
「やめろぉ……」
この人たち容赦ないにも程があるだろ……。
「冒険者のお兄ちゃん、お姉ちゃんだったんだね!」
「恥ずかしいから止めて……」
「さぁ!腹をくくって泳ぎましょう!」
「泳げない……こんな恥ずかしい格好で泳げない……」
「無理しなくても良いんじゃないかな?」
「グラスさんだけですよそんな優しいこと言ってくれるのぉ!」
普段のノリで抱き付く。
「うぁ!む、胸が!胸が当たってるよ!」
「え、あ」
サラシ巻いてないと本当に邪魔で仕方ないんだけどぉ!
「パパ……」
娘さんが呆れてる。呆れるわな。100%俺のせいだがな!
「極星様!これで遊びましょうよ!」
「うぶっ!」
ビーチボールが高速で叩きつけられた。地味に痛い。って言うか今日のレイラ達は容赦が無さすぎる。
「このっ!」
その数倍の速度で投げ返した。地面に突き刺さる。やりすぎた。
「やりましょ!」
「ご主人様ー!」
なんで皆そんなに俺と遊ぶこと執着してるんだ?
「全く……。グラスさんも行きます?ここまで来たら俺も腹くくりますよ」
「どう言うことか……?」
「恥ずかしさ捨てますよ」
もういいや……遊ばないとレイラたち結構うるさいし。
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極星君達が海水浴に行くらしい。この辺りでは海水浴といったらとんでもないお金が必要だ。要は、モンスターが海辺には大量にでる。それを何とかする戦力が居る。
庶民がお金を積んでやっと入れるのは、人が沢山で少々汚い海だ。モンスターをその都度駆除するので海が汚れてしまうのだ。
「海水浴場かい?」
「いえ、普通の砂浜です」
「モンスターはどうしたんだい?」
「極星様が殲滅されました」
相変わらず規格外だ。折角なので娘と一緒に参加した。迎えに来てくれたレイラ君の転移魔法でその海に到着。海水浴場とは比べ物にならないくらいの美しい海だった。
「パパ!こんなに綺麗な海初めてだよ!」
娘が喜んでいる。来てよかったな。ん?向こうの方でなにかの影が猛烈な速度で走り回っている。ほとんど見えない速度だ。と思ったら走り回っていた何かの1つが停止し、視認できるようになった。
いつものローブを着て、ベタベタになっている極星君だ。
「グラスさん!?」
私を呼ぶことを知らなかったらしい。一緒させてもらう旨を伝えた後、走り回っていたもう二つの影が極星君に飛び付いた。
どうやら水着姿が恥ずかしくて逃げ回っていたらしい。いつもポーカーフェイスでクールな極星君としては意外と可愛らしい一面だ。
「むりむりむり!」
そんなにも嫌だったのだろうか。かなりのスピードで空を飛んで逃げる。ソルト君達が追いかけて魔法の打ち合いになった。災害が起こるのではと心配していたらレイラ君が投げた何かに引っ掛かったと思ったら極星君が落ちた。
「えええ!だ、大丈夫なのかね!?」
「はい。多分」
レイラ君の言葉通り傷1つない極星君が海から救出された。あの道具の効果なのかぐったりしている。
「これは反則だろぉ……」
「こうでもしなければ捕まえられないんですから」
ぐったりしている本人を他所に、レイラ君達が服を脱がせ始める。途中でクラセント君のみで脱がせていたが、どこを脱がせているのかは考えないことにする。
『できましたよー』
「恥ずかしい……服寄越せぇ……」
「駄目ですよ。こう言うときぐらいこの服はしまいましょう」
…………!!?!?!
ど、どう言うことだ!?このサイズを服に隠していたのか!?鼻血を必死で堪える。
「冒険者のお兄ちゃん、お姉ちゃんだったんだね!」
娘が聞くが極星君は精神的ダメージが大きいのか止めて……と、力なく呟き続けるのみ。流石に可哀想になってきたので、無理しなくて良いよと声を掛ける。
極星君はいつものノリで抱き付いてきた。胸が!胸が当たっている!わ、私には娘と妻がいるんだ!気をしっかり持てぇ!揺らぐな!コンセ!
「バレーボール?」
「そうです。ビーチバレーやりましょう」
極星君の提案してきたバレーボールという遊び。これがなかなか面白い。
「ほっ!」
上にボールを上げると極星君がタイミングよくあっちのコートに入れてくれる。バシバシ音がなっているがそんなことより極星君の胸が気になる。動く度に大きく動くのだ。
「グラスさん!」
胸を気にしてしまって反応できなかった。私には娘と妻がいる。私には娘と妻がいる。私には娘と妻がいる……。
「グラスさん?何処をみてますか?」
「い、いや!ボールを打つのが上手いなと!」
「へー」
確実に俺の胸に目が行ってるんだが。




