色々と罪悪感がします
今日俺は独りで隼人の学園寮に行かなければならない。自分で決めたこととはいえ、罪悪感が凄い。隼人はここに残ってくれと言うだろうか。言うか。言ってくれなかったら俺塞ぎこんじゃうかもしれない。
やべぇ。胃が痛い……。
『回復かけておこうか』
ちょっとくらい俺の心を心配してくれ。
『お前は良いだろ。身体は乗り移ったときに暴れられないのは困るから心配するけど』
本当に自分中心だな!
「あの、極星と言うんですが」
「学園長から聞いております。こちらへどうぞ」
グラスさんがもう既に隼人と会うように面会の申し込みをしておいてくれたらしい。グラスさん、俺が出ていくって事、どう思ってるのかな。
「ここで少々お待ちください」
客室っぽいところに残された。どうしよう。胃が……。
『回復……』
その心配は無用だ。
「極星!どうしたの?」
来ちゃったよ……って後ろに女の子が3人くらいくっついてる気がする。
「隼人。その後ろの……」
「あ、僕の友達なんだ!」
「へ、へぇー」
『ハーレムか』
隼人は確かに格好いいし、全属性使えるし、剣道はそれなりだし、ついでに教えておいた合気道とか……あれ?こう考えると何で今まで女の子が寄ってこなかったんだ?
『毎日お前が何かしら教えてたからだろ』
成る程。じゃあこれは必然的に作られたハーレムか。すげぇ。
「極星?」
「あ、いや。何でもない。大切な話だから席をはずしてもらっても宜しいですか?」
「「「あ、はい」」」
「ハヤト君。向こうで待ってるね」
「直ぐに終わらせていくから」
カレカノかよ。
「話って何?」
「そうだな。じゃあ……これでいいか」
取り敢えず防音を3重に、防視を3重。こんだけすれば大丈夫か。
「よし。いいか隼人。これから話すことは俺たち家族の秘密だ。ただ、グラスさんだけには言ってあるからグラスさんだけは話して良いからな」
「う、うん」
「それじゃあ早速。先ず俺とレイラの事だ。俺たちは人間じゃない」
「え?あ!ドラゴンなの?」
「ちょっと違う。似てはいるか……?そうでもないか」
っと、どうでも良いこと考えちゃうな。
「俺たちは、神って呼ばれる種族なんだ」
「かみ?お話の?」
「そうそう。絵本とかに出てくる神様なんだ。判るか?」
「んっと。わ、判る」
判ってないなこれは。まぁいいや。次いこう。
「それとさ、隼人。お前の外見ってちょっと珍しいだろ?」
「あ、うん。何で黒なのってよく言われる」
「それはお前がここの世界の生まれじゃないから。日本っていう所がお前の本当の故郷だ」
「ニホン?」
明らかに話が理解出来ていないが、取り敢えずガンガン進めよう。
「日本には魔法がない。ドラゴンもいない。って言うかモンスターがいない」
「魔法ないの……?」
「ああ。ない。精霊とかも居ないし、人間以外の種族がいない」
「わかんないや」
「だろうな。まぁ取り敢えず本題にいこう。お前は日本に行きたいか?ここに居たいか?」
隼人は理解できてないらしい。当たり前だよな。
「どうする?どちらかを選べば、もう二度とそっちの世界には行けなくなる」
「そんなの!僕ここにいるよ!」
「クククク。そうか。大体判ってたけどな」
即決だな。まぁ、そう来ると思ってたから全然構わんが。
「そんじゃ、もう1つ。俺はこの世界を離れる」
「……?」
「別の所に行く。レイラも。もしかたら、お前以外全員」
「ぼく以外!?なんで!?」
「簡単な話だ。人間のお前じゃ世界線に耐えられない」
「判んないよ!」
判んないか。判る筈がないよな。6歳の子供に大気圏に入るとなんで燃えるかとか説明しても判んないよな。ましてや大気圏じゃない。世界線っていう俺にもよく判ってないものなんだから。
「お前はもう1人でも問題ない。十分お前は強くなった」
「ぼく未だ弱いよ!極星にもソル兄にも勝ったこと無いもん」
「俺たちは文字通り人外だから比べられてもな……」
多分人間で当て嵌められないんじゃない?
「お前は6歳だろ?学校にも入って勉強たくさんして、誰よりも強くなったじゃねーか」
「弱いもん!」
「隼人……」
「ぼく、子供だよ?」
「自分でいう台詞か。未だすぐ出ていくって訳じゃないさ。次の秋にここから発つ。それまでにグラスさんたちにお前を頼まないとな」
「嫌だ!極星たち一緒じゃないと嫌だ!」
やべぇ。泣き出した。どうする!俺、どうすりゃいいんだ!?
『…………』
ここぞとばかりに無視しやがってー!
「お前は学校に入ってるんだ。友達もできたんだろ?じゃあ俺はここに残る意味がないってことだ」
俺は隼人を拾った時の事を全部話した。何故ここに来たのかとかも全部。
「本当に行っちゃうの……?」
「話聞いてただろ?お前なら問題ないと思ったから俺はお前を置いていくんだ」
「……」
「まだ嫌だって言うか?」
「……もう言わないよ……」
ふふ。流石は隼人だ。
「クククク。もっとお前が強くなってクラセントとタイマン張れるくらいになったらもしかしたら気紛れでここに戻ってくるかもな?」
「え?」
「保証は全くない。お前の事が噂になってあの情報魔の神様が俺に伝えてきたら、もしかしたら寄るかもしれんってことだ。ま、どうなるかは判らんがな!」
壁を全部取っ払う。
「これで話は終わり。じゃあな。時間とらせた」
さってと。買い物しがてら散歩に……
「極星!」
「んー?」
「ぼく、やるよ!神様でも噂するぐらい強くなる!」
「にしししし。おう!がんば!」
ははは。面白い。やってみろよ隼人。お前の噂がこっちまで届くかは判らんがな。
『……相変わらず性悪』
うっせ。
「これとこれ。後その籠のやつも買うから銀貨一枚にしてくれません?」
「はぁ。あんたには敵わないよ。銀貨一枚にしてやる」
「やった!ありがとうございます。あ、このクッキーよかったらどうぞ」
値切りながら夕飯の買い物だ。今日の朝焼いたクッキーをたまに周囲に配りながら町を歩く。荷物はその都度マジックボックスに入れる。持つのは面倒だし。
門の近くを歩いてたら門兵のヨアンさんがいた
「キョクセイ。この前感謝状貰ったんだって?」
「恥ずかしいからやめてくださいよ……ちょっと歩いてたらモンスターが出てきたんでちょっと体動かしたら勢い余って殲滅しちゃって……ああ。恥ずかしい」
だって弱いんだもん!倒してさっさと退散するつもりだったのに人がこっち見てたんだもん!
『反応が気持ち悪い』
五月蝿い。黙れ。泥沼に沈めるぞ。
『…………』
やっと静かになった……。
「それで、俺と手合わせしてくれないか?」
「前そんなこと言ってましたね」
「ほら!あっちで」
「仕事は良いんですか?」
「これから休憩なんだよ!」
ならいいか。
「ここまで移動する必要有りました?」
「広い方がいいだろ。やろうぜ!」
斧……バトルアックスを担ぐヨアンさん。やろうぜ!が、殺ろうぜ!にしか聞こえないんですけど。
「始めます?」
聖十刀を取り出して刃の無いところに手をあてて構える。この構えは無双武具流独自の構え。どんな方向からも対応できる機能性に長けた構えだ。
「おらっ!」
こうやって振りかぶるのを見ると誰かと被るな。あ。ゼリオか。
「剣筋……じゃなくて斧筋はなかなか」
「なんで受け流せるんだ?」
結構隙がない攻撃をどんどん繰り出してくるヨアンさん。聖十刀に添えた左手で刃のない部分を持ち、動かして衝撃を抑えながら受け流し続ける。
「左での打ちがほんの少し弱いですね?」
「気付けるのか」
「そりゃ勿論。で、こうすると!」
飛び越えるようにジャンプする。死角に入る技の1つだ。
「え?」
「ほい!」
真上から押し倒すようにしてのし掛かり、ヨアンさんの首にピタリと刃を当てる。……別にやらしいことをしているわけではない。
「俺の敗けかぁ。強すぎだろ?って言うか最後のあれ何やったんだ?」
「ジャンプしただけですよ?」
「そんな簡単な事なのか?」
「こうやって」
5メートルほど跳ぶ。
「あー……。俺には不可能だ」
「そうですか?練習すればできますよ、多分」
『人間の限界を判ってるのか』
どういうことだ?
『あー。なんでもない』
『弱い‼』
それは言ったらいけないぞ?
「なんか言ったか?」
「へ?いえ?」
『勘が良すぎだろ!』




