迷宮探索ですよ!その3
「本当に普通の地面ですね……」
「面白いです!下にモンスターが泳いでるのが良く見えます!」
『マーメイドがいますね』
マーメイドってね。人魚って言うけどほとんど魚だよ。人面魚だろ!って初めて見た時は叫んだ。あと弱い。ちょっと電撃を浴びただけで倒れる。
「離すと効果はなくなるから気を付けろよ。まぁもしそうなったら空飛べば良いだけなんだけど」
高位魔法に入るからあんまり使わない方がいいんだよな。
「何か来る。気をつけろ!」
俺がいった瞬間、下から何かが飛び出してきた。
「フライフィッシュ!」
フライフィッシュは飛べないのにフライフィッシュ。鮪みたいな体に羽が付いている。のに飛べない。ただ、鮪なだけに身は美味しい。
「この!」
殴ったら直ぐにダウンした。こんな弱かったっけ?
「それ鮪ですよね?」
「ああ。刺身にはできないから焼いて食べようか」
レイラと話していると、
「ピイ!」
「いって!」
またラテに噛まれた。嘴って結構痛いんだよ?
「先にいこうか」
たまに出てくるフライフィッシュ……もう鮪でいいや。鮪を殴りながら先に進む。開けた場所だし、かなりショートカットしてるから今までの階層の半分くらいの時間で付いた。
「鮪が3匹」
『私が行きましょう』
クラセントがハイフライフィッシュを一撃で倒す。
「こんなに弱いものなのか?」
「ご主人様が強すぎるんですよ……このパーティも大概ですが」
こうしてどんどん進む。13、14、15階層のは普通のダンジョンだったので割愛。16階層に進むと、人間が何人か居た。いや、今までだって遭遇してないだけで居たのだが。なるべくあわないように動いてたから。
言っちゃ悪いがこのメンバーはスッゴい貧弱に見えるだろう。俺も鍛えてはいても何故か筋肉はあんまりつかないし、レイラとソルトは男なのに可愛い。クラセントは性別不明だけど、多分女だし、ラテは戦力外。
このパーティは弱そうに見える。実際はこう。
・俺 レベル不明
・レイラ レベル85
・ソルト レベル57
・クラセント レベル76
・ラテ レベル8
だ。戦士が良くて10だ。過剰戦力過ぎて恐い。俺も今初めて確認したけど、非戦力のラテでさえレベルで言ったら戦士になれる。
「人と合いそうだ。何があっても大丈夫なようにしておけ」
一応注意を入れる。
ざっ、ざっ、と足音がする。5人パーティだな。リーダーが剣士、前衛がもう一人。戦士。中衛に槍使い、後衛に魔法使いが二人か。バランスが良い。なかなか強いのだろうか。まぁ強いかこの階層は未だ攻略されていない。そこの最前列にいるんだから。
「む……人か」
「あっと、こんにちは」
あっちも気が付いたようだ。
「初めましてだな……このパーティは『桜』だ。そちらは?」
「えっと……あ、名前決めてない」
『今更だな』
「決めてない……?最近組んだばかりなのか?」
「はい。先日」
「それで良くここまでこられたな……」
「元々面識があったメンバーですので」
それにしてもこの剣士さん声ひっくいな。バリトンボイス。あと、喋るの苦手らしい。
「初めましてにゃ!アタッカーとして戦闘をお願いしたいにゃ!」
良く顔が見えなかったけど猫獣人だった。って言うかなんで戦闘の話になる?
「えっと。何ででしょうか?」
「アタッカーなのだから当たり前にゃ!」
「当たり前なのか……?」
リーダーの剣士さんも知らないなら当たり前ではないらしい。
「やろうにゃあ!」
「何故に?」
「簡単にゃ!後ろの子にに惚れたからにゃ!」
「………はい?」
ソルトを指差して猫獣人は喋る。ニャンニャン言いながら。
「赤髪!」
あ、それ久しぶりに呼ばれた。
「はい?」
「お前がパーティリーダーならばこの子を守ってみせるにゃ!」
「なんでやねん!」
おっと、口調が。
「ごほん。なんでそうなるんです?」
「獣人の掟にゃ!人にアプローチするときは群れのボスを倒してからなのにゃ!」
「えっと」
「戦うにゃ!」
どうする?と後ろを向いたらソルトが出てきて、
「良いんじゃないでしょうか?」
「へ?まさか、満更でもなかった?」
「僕はご主人様以外は要りません!そうじゃなくて、ああいう掟はしっかり守った方が良いんですよ。後々面倒になります」
なんでそんなことを知っているのか。まぁ、受けるだけなら良いや。
「判りました。その勝負受けましょう」
って言うか剣士さん猫獣人が出てきてから一言も話さないぞ。後ろの人たちも静かだ。俺の後ろもだが。
近くに小部屋があったのでそれとなーく偶々見つけた小部屋ですって案内して入る。
「ふふん。絶対勝ってみせるにゃ!」
「お願いしますね」
「それでは良いですか?殺しは無し、魔法の使用も禁止です。それと本当に危なくなった場合以外、他の方の助言、攻撃、防御は無しです。己の力のみで戦ってください。反論は?」
「ない」
「無いにゃ!」
「それでは戦闘。開始!」
猫獣人がナイフを持って走ってくる。もうすでに俺の目は動視と未来視を使っている。動視の方では猫獣人の動きが、未来視では重なって未来が見える。
「ん」
ナイフを投げてくるのが見えたので聖十刀を前に構える。投げてきたので動視で確認しながら斬る。魔力を通したので抵抗なく斬れる。
「にゃに!?」
「俺からも。よっと」
聖十刀で斬撃を軽く飛ばす。
「ひにゃあ!」
避けたので走って背後に回る。
「そ、そんな長武器じゃ後ろをとっても……」
「はい。いかがです?」
「それまで!」
別に何をした訳じゃない。袖の短剣を取り出して突き付けただけ。
「にゃ!?そんなものどこにあったのにゃ!?」
「袖に」
結構使えるよな、この服。
「負けたにゃ……何者にゃ?」
「そうですね……音楽家です」
冒険者よりもこっちの方が俺は好きだな。音楽家極星。うん、昔の2つ名よりこっちの方が断然良い。なんか無害そうな感じで。
『死神の主とか暗殺者殺しとかより?』
そうそう。死神の主とか……って何暴露してんだお前!
『誰も聞いてないじゃん』
居ても居なくても俺には傷が残るんだから!
「その子は諦めるにゃ……」
何か判らんが諦めてくれたらしい。
「それじゃあ先を行きますので、これで」
「うむ……良い試合だった」
結局殆んど話さなかったなこの人。後ろの魔法使いさん達なんか声も聞いてないけど。
「さて、17階だ」
16階のボス?マッドドラゴンっていう土でできたドラゴンの形を模したゴーレムだったよ。
ソルトが1発叩いたら爆散したよ。普通なら物理は全然効かないんだけどそんなの関係ないね。ってかこのダンジョン攻略簡単すぎ。
「あれ?」
「どうしました?」
「もうここ最下層みたい。攻略する?」
『しましょう。簡単でしょうし』
もういっか。何がラスボスか知らんけど。
『スプリガンだ』
ん。なら大丈夫か。
「スプリガンだとよ」
「ご主人様。スプリガンってあのおっきくなるやつですか?」
「そうそう」
スプリガンっていうのは普段はゴブリン位の大きさで、ゴブリンにしか見えないんだけど、戦闘時に突然巨大化してくる。頭もモンスターにしては中々いい。
「確か、Pランクだったっけ?」
「なら大丈夫ですね」
あっさりしてんなー。良いけど。
「入るぞ」
中には1匹のゴブリン……いや、スプリガンがいた。このまま大きくならずに倒せたらなー。まぁいいや。先手必勝!
俺は斬撃を放った。すると、変化してないまんまお亡くなりになった。
「「「………へ?」」」
「弱くね?」
「ご主人様が強すぎるって線もあります!」
「死んだふりしてるかも?」
『生命活動は止まっています』
とりあえず収納。あ、ちゃんとスプリガンって出たし、解体アイコンも出た。解体できた。
「出来た」
「なんだったんでしょう?」
「「「さぁ……?」」」
核に触れると一瞬光って下に落ちる。
「はい。探索完了」
「あっさり過ぎてちょっと……」
「そうだな。今度ラテが戦えるようになったらまたどこか行こうか」
「「「はい!」」」
「ピイ!」
「スプリガンって大きくなる前はゴブリン並みに弱いのかな?」
『分かりません。大きくなる前に攻撃した例が有りませんので』
あ、さいですか。




