迷宮探索ですよ!その2
「レイラさんのご兄弟の。そうでしたか」
なんとか誤解を解けた。何をとは言わない。言うつもりはない。
「ソルト達の分もあるんだ」
「本当ですか?じゃあ皆さんを呼んできますね」
「クルトア姉からですか?」
「ああ、送ってくれてな。はいこれ」
俺以外のみんなのは、
レイラはローブ。何故か俺の普段着と色違いの青。
ソルトとクラセントは変身しても大丈夫な薄目の上着。ソルトは白い。クラセントは薄い緑。
隼人は動きやすい軽いローブ。
どれもこれもデザインも良いし可愛い。俺のドレスはもう考えないことにする。
『かっわいいドレス!』
消滅させるぞ!
「今日も行こうか」
「ですね」
「で、みんな着てくんだ」
全員クルトアの服を着込んでいる。
「極星様もじゃないですか」
「いや、俺のは破れたからだし」
まぁ、いいけど。
「ピリュウ!」
「お前は人間化できたらな。今のまんまじゃ服どころかアクセサリーも危ういぞ?」
「ピリュウ!」
足につけたミサンガを見せてくる。
「はいはい。可愛いな」
頭を撫でると目を閉じて喜んだ。チョロい。
転移で直行。8階に。
『んと。サンダーバード、電気ナギだ』
「サンダーバードと電気ナギ……あれか」
サンダーバードはわかると思う。電気纏ってるカラス。電気ナギは。ほぼ電気ウナギだ。じゃあ何で電気ウナギって言わないか。簡単だ。ウナギというが、カエルみたいな足が生えてやがんの。キッショイ。って言うかもうこの世界のモンスターキッショイもん。
角ウサギはまだ良い。っていっても。可愛いげは全くないからね?狂暴な顔で突っ込んでくるからね?
『宝箱の部屋あるじゃん』
マッピングしたら出てきた。
「モンスターボックスか」
モンスターボックスは小部屋にモンスターが大量発生するやつだ。しかもそいつら結構強いらしい。ただ、そこには宝箱があることが多い。
「モンスターボックスがあるのですか?」
「ああ、行ってみていいか?俺の斬撃がどこまで届くのか試してみたい」
「はい。構いません」
そんなにあっさりしてて大丈夫か。まぁこのパーティなら問題はないけど。
「そんじゃ、いくぞ」
部屋を開けてなかにはいる。宝箱がある。と、扉から大量のモンスターが出てくる。どこにいたんだよ。
あっという間に部屋全体に広がる。
モンスターボックスに全部収まったと気付いた俺は聖十刀に魔力を充填し、振りながら解き放つ。
ビイイイィィン!
わー。斬撃の音じゃねえ。音波砲とかそっちの音がする。斬撃の波が部屋全体に広がった瞬間、俺の近くのモンスターが身体を真っ二つにして崩れ落ちる。俺から遠いところに行けば行くほど血を吹き出すやつが多い。
結果。全部一撃で終わったが、俺の周辺以外は血の海になった。
「入っても良いぞ」
「極星様……ってスッゴいことになってますね」
「血が……」
『1振りですか。流石は我が主』
「ピリュウ」
宝箱には珍しいものが入っていた。
「お。身代わり装備じゃん」
身代わり装備はその名の通り、1度だけ攻撃を肩代わりしてくれる装備の総称だ。俺なら作れるけど。
「売ろっか」
「そうですね」
珍しいものだけど、作れるから売った方が利益になる。これ1個売ったら身代わり装備3つ作れるし。
「あ。なんか来る」
『電気ナギ6だ』
「電気ナギ6だってさ」
『私が行きます』
矢を6本つがえて電気ナギを待つ。
「来たぁ」
キッモ!絶対触りたくないやつ来た。なんかテカってるし、何故か黄色いし。鰻なら鰻らしく黒色でいろよ!
『ふっ!』
鰻の串刺し。刺さった瞬間燃え上がった。丸焦げ。良い感じにこんがり。でもね。
「綺麗に焼けたね」
「素材……」
そう。焦げたら素材が……いや、取れるかも。ストレージに収納し、アイコンを押す。あ。できた。
「素材とれた」
「焼けてましたよね!?」
「取れたぞ」
取れちゃったものは仕方がない。……と、完全に忘れてたけどこの服普段着用じゃん。
「こっちだった」
やっぱ長いなー。袖が。
「袖が長いですね」
着た。やっぱ腕の部分がぷらぷらするな。って言うか短剣がいつでもとれる位置にあるって結構怖いな。装備としては一級品だけど。
「あ、でも聖十刀このまま持っても滑らない。すげー」
もうその言葉しか出ない。
「ん?今度はサンダーバード……23?」
多すぎだよ。そんなに一気に出てくるものなのか。
「ちょっと試したい魔法がある。俺がやって良い?」
了承を取り、聖十刀を杖に変形させる。
「無詠唱だけど……風切刃」
イメージを練り上げ、放ってみる。真下から風が吹き、天井に叩きつけられるサンダーバード達。そこに風の刃が襲い掛かり、ズタズタに引き裂く。ち、血の雨が降ってきた。やっぱり無詠唱だとそんなに威力はないか。
「僕、ご主人様の前で飛ばないようにします」
「なんで!?」
取り敢えず回収。あんなにボロボロだったのにちゃんと総ての理はサンダーバードと認識して解体してくれた。俺の持ってる能力でもかなり使いやすいチートだ。便利さで言ったらコピーの方が上だけど。
「ボスだ。ハイサンダーバード2匹、電気マズ1匹」
電気マズ?鯰だよ。鰻の次は鯰でしたよ。
「それでは私が」
レイラが前に出る。方天画戟を構えるポーズは相変わらず神々しいというかなんと言うか。神様っぽい。この前買ったブレスレットが袖から少しだけ見える。
お、サンダーバードを狙ったな。一撃で2匹とも仕留めた。
「はぁ!」
残撃が放たれるも、電気マズは這って逃げる。その間もレイラは止まらない。電気マズに突進するように走り、腰のナイフを思いっきりぶん投げた。電気マズ。ブッツリど真ん中から切れた。
「ナイフで攻撃か。考えたな」
「はい。思ったより動きがよかったので早めに仕留めました」
うわー。近付きたくないぞ、これ……。
「気持ち悪!」
ここの世界の生き物気色悪すぎるんですけど。
そっから先も完全無双。全部のモンスターは1発で沈む。って言うか。何故か9階からまたゴブリンとかスライムとかが出てきて。特に戦闘に面白みは無かったから割愛するけど。
で、12階。飛ばしすぎ?そう言われてもねえ。グッチャグチャのオークの話とかしたくないし。キモいだけだし。
「なんで森なんだよ」
「森ですねー」
12階は木々が生い茂る森だった。明るい。そして何故か明るい。太陽っぽいのも見える。ここ地下だよな?
『フォレストエリアですね』
「クラセント。知ってるのか?」
『はい。ダンジョンには良く有ることで、強いモンスターが出てくる現れだと聞いたことがあります』
こっから先のモンスターが一気に強くなるから注意しろよ、って教えてんのか。
『親切だよな』
だな。
「ん。あっちに……いやだ。ねぇ。逃げない?」
「突然どうしましたか?魔眼に何か見えましたか?」
「ものっすごくみたくないもの」
「「「?」」」
ガサガサ音がしやがる。もうやだ。見たくない!マジでキッショイ!
「フォレストクローラーだよ……」
3メートル以上は有りそうな超巨大芋虫。キモイ!マジでキモイ!生理的に無理だぁああ!
「極星様が逃げた!?」
「ああー……ご主人様、こう言うの駄目ですよね……」
『我が主。恐れることはありませんよ?』
「ピリュウ!」
なんでみんな普通なのぉ!?家の男子陣女の子みたいな性格なのにその辺は問題ないのか!?
想像してくれよ。芋虫……揚羽蝶の幼虫にしておこう。あれが巨大になって襲いかかってくるんだぜ?ドラゴン数百匹相手にしてたほうがよっぽど良い!精神的に!
昔1回モンスター狩りしたときに倒したことがあるんだけど、ぶよぶよしててマジできっもちわるい!1発聖十刀で斬ったらトラウマになった。それからは消し炭にしてる。なんにも残らないように一瞬でドーンって。
「私たちがやりますね」
頼もしい。頼もしすぎる。あ、クラセントの弓が当たって炎上した。
「たぁ!」
ソルトがミョルニルでぶっ叩く。お亡くなりになった。なったけど!お、俺が仕舞うのか?そりゃそうだよな……半径10メートルの物はストレージにしまえる。逆に言えば、半径10メートル以内に入らないといけない。
「キモい……マジでキモイ……なんか緑色の液体出てきてるし」
『体液ですね』
「うん。わかってるよ」
もうやだ。
「なんでフォレストクローラーしか出てこないんだよ!」
そっから先はフォレストクローラー尽くしだ。消し炭にしたいけど、みんなのレベルも上がるので見るだけにしておく。って言うかよくやれるよな……。俺絶対に無理。武器越しでも無理。
『俺だって嫌だ!あれマジでもちもちしてて……』
止めろ!想像しちゃう!って言うかお前!この階層のモンスター教えなかったのこれか!俺がビビるからか!
『聞いてこないお前が悪い』
ないわー。お前の本体突っ込んで解体してやろうか?
『触れもしないくせに』
ソルトにやってもらう。
『マジでやめて!』
フォレストクローラーの死体がボテボテと……いや、今は回収に専念しろ!気にしたら敗けだ!
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「良く戦えるな……」
「ドラゴンでは主食として有名ですから」
「食べるの!?」
『しかも踊り食いです』
クラセント!お前もか!お前も食べるのか!?
『あ、ヒポグリフは人肉です』
知ってたけど今聞きたくなかったわ……。
『私は人肉嫌いですけど。あんな筋張った肉……』
「え?食ったことあるの?」
『………は!何でもないです!』
ああー!クラセントが逃げた!人肉!?いつ!?
『夜中だろ』
後で問いただす必要有りだな。
「やっと抜けられた……」
フォレストエリア終わったぞ!イェイ!……テンション高いな、俺。
「……13階は、海ですか」
波打ち際だ!砂浜だ!あらゆるところにモンスターがいるぜ!全く気が抜けないんだけど。
「向こう側にボス部屋あるな」
「砂浜を行けって事でしょうか」
海が真ん中にあってぐるりと囲むように砂浜がある。モンスターも凄いけど。めっちゃ闊歩してるけど。
「海を渡れたら楽なんですけどね……」
「そうだな。渡れ……」
ん?海を渡る?歩いて?ああっ!
「渡れるかもしれん」
『凍らせるのですか?』
「ちょっと見ていてくれ」
水の能力者を発動し、海を歩く。
「「「ええええ!?」」」
「行ける行ける。やっぱこれ面白いな」
「そんな魔法有りましたっけ?」
「能力でな。何年か前に偶々見付けたんだ」
俺はクルトアが用意してくれたローブの内側を探る。あった。いつも入れといてくれるんだよな。
「全員これ持って」
「ワイヤーですよね?クルトア姉が良く使ってる」
「それ持ってれば歩けるから」
これは俺が作ったワイヤーだ。魔力を良く通す物で、光の反射でも見えにくい。罠に良く使う。クルトアはこれを辺り一面に巻き付けて戦うけど。あれ、知ってればそんなに驚異じゃないけど知らなかったら結構恐い。
気付いたら全く身動きが取れなくて、糸がどんどん体に食い込んで切れてくんだぜ?俺は引っ掛かったことないけど。
「3人は手首にでも巻いといてくれ」
手首に巻き付ける3人。俺も腰のリールに糸を付ける。クルトア。準備よすぎ。
「久しぶりに使ったな、この能力」
『忘れてただろ』
……そんなことない!俺はコピーのせいで記憶は消えないんだからな!
『はいはい』




