聖十刀と方天画戟とミョルニルと梓弓
「今度はどうする?」
「あ、僕やってみていいですか?」
お、ソルトか。ん?そういや、
「モンスター戦闘って初めて?」
「はい」
あー。ほとんど役割執事になってたから全然してないもんな。
「大丈夫か?」
「全く問題ありません。ご主人様に鍛えてもらっているので」
「『確かに』」
そこ二人はなんでそこでハモるんだ!
「スライムは核を潰せ。ゴブリンは適当でいい」
「はい」
ソルトの武器。ミョルニルだ。スッゴい有名な武器でしょ?稲妻って意味の言葉らしいんだけど、簡単に言えば槌。でっかいハンマー。誰が作ったって?俺だよ。
この武器は使わないときは小さくなって腰につけれる。ソルトはドラゴンだからかなり力が強い。頑張れば俺の聖十刀も持てる。扱えはしないけど。刀形態でしか持てないけど。
「ふっ!」
魔力を込めるとただのトンカチ位のハンマーが数十倍に大きくなる。ソルトはそれを肩に担いだ。カッケー。絵になる。それから、中心には魔石が嵌まっている。あれは電撃の魔石って言われるものでそのまんまだけど叩くと落雷と同じくらいの威力の電気が発生する。
「行きます!」
ハイスライムが2匹ともソルトに襲いかかる。因みに、ハイスライムはスライムより少し大きくて核が小さい。それから、黄色い。え?可愛くはないわー。だってスライムだよ。理科の実験とかで作るやつがそのまんま動くんだよ?想像してみ?
「遅い!」
ソルトがハイスライムにミョルニルを叩き込む。よし、正確に核へ‥‥‥
ズドォォン!
‥‥‥わぁ。下の階崩れてなきゃいいけど。凄い威力だ。核が粉砕どころじゃない。風で飛んでった。しかも2匹とも一緒に潰した。
「ギギ!?」
摩擦音のような声でハイゴブリンが驚く。因みに、ハイゴブリンは1メートル20センチくらいで、皮膚が青い。赤いのは稀少種って呼ばれてる。
「油断するんじゃありません!」
振り返ったときにはもう既にミョルニルが頭部を破壊し、電流が迸る。ははは‥‥‥もうちょっと武器の質下げればよかった。
「ご主人様!スライムの方はどっか行っちゃいましたけど、ゴブリンは残しました!」
あ、だから途中で止めたんだね。血がスッゴい出でてそうだけど、電流が流れたせいで焦げて溢れ出ない。
「ああ、うん。えらいな‥‥‥」
真っ白な髪を撫でる。
「えへへ」
「むう」
『むう』
「ピリュウ」
そこ3人はなに拗ねてるんだ?
「地下二階は」
『んー。コボルト、角ウサギ、後隠れキャラでミニドラゴン』
「コボルト、角ウサギ、後もしかしたらミニドラゴンが出てくるかも」
隠れキャラは簡単に言えば裏ボスのこと。ミニドラゴンはワイバーンみたいにドラゴンの亜種だ。ミニドラゴンが成長してもミニドラゴンだ。ちょっと可哀想な種だな。
「ミニドラゴンですか」
「お、知ってるか?」
「いえ、そういうのが居る。とまでしか」
ドラゴンからしたらそんな認識なのだろうか。可哀想に。ん。何か気配が。
『来る。コボルト2、角ウサギ5』
「コボルトが2匹、角ウサギが5匹来る。どうする?」
「じゃあ私が」
方天画戟を装備したレイラが前に出る。
「コボルトも角ウサギも弱点は特にない。普通に斬ってくれればいい」
「了解です」
出てきた。狭い迷宮の中ではあれだけ角ウサギが密集してると何か怖い。角ウサギは茶色いウサギにめっちゃ凶悪な角が生えている。たまに二本。普通は一本だ。それを突き刺してくる。俺は別に刺さりもしないけど。
コボルトは青っぽい色の犬が二足歩行してるって考えてもらえばいい。可愛い?全く!だって顔がスッゴい不細工だもん。角ウサギの方が100倍可愛い。
「行きます!」
レイラが音速位で移動し、流れ作業のように方天画戟の刃の部分でスパッと首を綺麗に切断。ソルトもだけど返り血もない。
「歯応えが全くないですね」
おお。なんと頼もしい。
「ピリュ!ピ!」
「お前も戦いたいの?」
「ピリュ!」
さっき飛んだばっかだろ。初飛び後は疲れるから止めといた方がいいと思う。なんで判るかって?経験者です。飛んだぁ!って調子のってはしゃいでたら大気圏くらいから疲れて落ちたんだよ。死ぬかと思った。傷1つ付かなかったけど。
「もっと飛べてからな」
「ピリュ!」
「いって!」
耳を噛むな、耳を!
ストレージに回収してマップ頼りに行く。あ。
『来たな。コボルト3匹』
「コボルト3匹だ。どうする?」
『では私がいきましょう』
クラセントが前に出る。現在は人間形態だ。クラセントの武器は梓弓。これは日本の梓巫女が使ったとされる弓だ。ただの弓。でも、俺がただの弓にすると思う?
『よっ』
この弓は連続発動型の物で一度に最大で10本射ることが可能。まぁそれ以下だったら好きなように出来る。それとこの弓には属性が付いている。魔力を込めて居れば火、水、風、雷。これが矢に付く。もっと込めればもうちょい増える。この矢は、火の中でも燃え尽きることもなければ水の中に入っても減速することもない。
別にホーミングにしてもよかったんだけど、人の手にもし渡ったら確実にヤバイ品になりそうなんでその辺で。と。クラセントが3本矢を放った。音速を軽く越える矢は胸のど真ん中に命中するとコボルトが火を吹いて、体の中から水が破裂し、一瞬スパークが起きる。
あーうん。大体わかってましたよ。風だけで充分だって。
『流石は我が主の作った弓です。非常に射ちやすい上、かなりのスピードが出て、しかも当たった直後の付与魔法の威力もかなり高いです』
「あ、うん。偉いぞ」
もう頭を撫でるしかない。他の3人が拗ねる。なんでだ?
『ボス戦だ。ハイコボルトが1匹、牙ウサギが2匹』
何故角の上位が牙なのか。
「ハイコボルトが1匹、牙ウサギが2匹だそうだ。俺が行く」
「はい」
もう交代制になっている。いいか。別に今は目瞑ってても楽勝だからな。油断は禁物だが。
「そうだな。練習中だけど鎌にするか」
聖十刀を1振りして大鎌にかえる。
「『ええ!?』」
「ピリュ!?」
ん?
「それ、形変わるんですか!?」
「あれ?見せたことない?」
「初めて見ました」
『格好いいですね』
『格好いいって!格好いいですねだって!』
はいはい。判ったから。
大鎌形態のままボスの所へ。ハイコボルトは狼だ。ちょっと牙が大きくてコボルトなんかよりずっと威圧感がある。相変わらず不細工だけど。
で、牙ウサギだが。茶色いウサギで牙がめちゃめちゃデカイ。って言うかよくよく考えれば牙とか角とかって獲物をとるために有るんだよな?じゃあ肉しょ‥‥‥考えるの止めよ。
「よし。行くか」
今回は斬撃とかじゃなくて普通に斬る。
「よっと」
結構早いスピードで近付いて首をはねる。それをやった瞬間、モンスター達は俺が近付いたことも知らない。そのまま走って帰る。
「「「え?」」」
レイラ達全員がそう呟いた直後、首がごとりと落ちて首だけになる。のに血は出ない。そんだけ綺麗に斬れたんだな。
「え?え?」
「全然見えませんでした」
『我が主。説明を求みます』
「ピリュウ?」
え?そんなに早く動いてた?
「え?普通に走って斬っただけだよ?」
「血も出てないじゃないですか」
「ああ。結構いい感じに斬れると血も出さないんだ。思ったよりは上手く斬れてたんだな、多分」
ストレージに回収して先に進む。さっきの質問に俺がちゃんと答えられたかは謎だが。
「僕たちお荷物ですよね」
「なんでそうなる!?」
『そう思っちゃうよな』
え?なんで?
『自覚してないから余計にな』
???
「武器もうちょっとパワーが出ないやつにすればよかった……」
「何か言いましたか?」
「何でもない」
「最近ご主人様独り言多いですね?」
「突っ込まないでくれ……」




