猛禽類に鉛玉って中毒起きるんですよね
あー。疲れた。只今不眠不休でお仕事中。別に不眠不休でも全然問題はないんだけどね?その、休みって欲しいじゃない!
『仕事人間のお前が言うか』
うるさい。
ソルトが部屋に入ってきた。
「ご主人様。グラス様から連絡が来ましたよ」
「なんて?」
「ご主人様に会いたいと言う人が居ると」
「王族?」
「平民なんですが、武器商人らしいです」
武器商人?繋がりなんて無いと思うけど。
「なんで?」
「来てくれとしか書いてないです」
?なんで?流石にグラスさんが俺に宛てた手紙でも理由ぐらいは書くだろ。その辺きっちりしてるし。
「ちょっと見せてくれ」
メモ用紙を受け取る。いつもグラスさんが使っているやつだ。
『君に会いたいと言う人が来ている。王族ではなく武器商人だ。12時過ぎに執務室に来てくれ。 グラス』
筆跡は完全にグラスさんだ。だけど、文面が違和感あるな。なんでだ?グラスさんなら私の部屋っていつも言うだろう。執務室に来てくれなんて具体的に言われたことがない。って言うかメモを送ってくる時点で何かおかしい。あの人あんまりそんなことしない。自分で赴くタイプだし。
「おかしくないか?」
「僕もちょっと不思議に思いました」
考えすぎなのかもしれないがもしかしたらグラスさんに何かあったのだろうか。そうだったら仕掛けてくるのは王族、天の天敵、それとスタンガンの奴等。多分このどれかだ。
王族ならこんな回りくどい事しないだろう。しててもカフェの方を狙うだろう。天の天敵の奴等は?いや、それこそゼリオが俺のとこに殴り込みに来そうだし。
やっぱりスタンガンの奴等かな。スタンガンを製造してるんだ。武器商人でもおかしくはない。
「いくよ。ソルトとレイラはこの家を守ってくれ」
「判りました」
クラセントを部屋で見つけ、
「行くぞ。念のため戦闘準備だ」
『了解しました』
さて行くか。時刻は丁度12時。昼食取ってないけど大丈夫かな。軽く食べておくか。
「これ食べとけ」
俺が出したパンをかじるクラセント。もうヒポグリフスタイルなので食べづらそうだ。俺も直ぐに食べ終わり、取り敢えず出発。何かあってもレイラとソルトが居れば大丈夫だろう。
「いいか」
『はい』
執務室に行く。クラセントも一緒だ。軽くノックする。
「入れ」
そう言われたので戸を開けて入る。
「話しとは?」
「そこの彼だ」
なぜ来た、とでも言うような顔で話し掛けてくる。なるべく反応せずに斜め前にいる男に顔を向ける。フードを深く被っていて顔がよく見えない。
「極星です。ご用件は?」
「1ヶ月以上前にある物をてに入れたでしょう?それを売っていただけないかと思いまして」
「何故ですか?」
「わが社の新製品でしてね。盗まれて困っていたんですよ。そうしたらそいつらが捕まったと聞きまして、返していただきたいのですが」
「‥‥‥グラスさん。席を外して頂けますか?」
グラスさんの安全が先だ。
「わ、判った」
「クラセント」
『了解いたしました』
「喋るのですか?」
「Zランクモンスターですから」
クラセント達は直ぐに出ていった。
「これですか?」
「おお、それです」
ストレージからスタンガンを取り出して見せる。
「この箱の使い方さっぱりわからなくて」
「そうですかそうですか」
どこかに目配せしたのを俺は見逃さない。
「じゃあ、死んでいただきましょう?」
後ろの方から弾丸がとんできたのでわざと当たる。痛っ!
「ぐ!」
「ふふふふ。秘密を知られて生かしておけませんからね」
「何の‥‥‥魔法だ‥‥‥」
「ふふふふ!教えませんよ。そんなこと」
「知ってるけどね」
苦しがってた演技を止めたので相手が戸惑う。なんで止めたかだって?そりゃあ。
『これでいいか?』
撃った奴の始末をこいつに頼んだだけだから。
「何故!?当たった筈なのに!?」
「うん。当たった。ちょっと痛かったかな。避けてもよかったんだけど。自白とれるかと思ったのに、スタンガンの」
「何故それを!?」
「そりゃ、日本を知ってるからですよ?」
被っていたフードを捲らせる。黒目黒髪。日本人だ。俺は鑑定で見た名前を口にする。
「近藤亮太さん?」
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何だこいつ!僕の名前を知っていたのか!?いや、それよりもこいつは確実に日本と言った。転生者か?流石にこんな顔つきの日本人は居ない。
「転生者か?」
「残念」
「転移者か?」
「残念」
じゃあ、何なんだよ!
「何でしょう?俺が何者なのか俺も知らない。ただ、俺は世界を移動できるとだけ言っておこうかな」
世界を移動できる‥‥‥?
「この世界にそんな魔法があるのか」
「ないよ?俺ここの世界の奴じゃ無いし?」
世界を移動できるから当然か。
「僕に何のようだ」
「いや、呼び出したのそっちじゃん」
「それもそうか」
「あ、そうだ。君、日本に送り返すけど良いよね?」
「良くない!なんでそんなこと!」
冗談じゃない!この世界から地獄へ戻すつもりか!
「えー。でも君こんなもの作っちゃってこの世界の技術レベルがおかしくなっちゃってるよ?」
「そんなこと知ったことじゃない!」
「じゃあ送り返すよ?」
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駄目だなー。話が一向に進まない。
「嫌だ!僕はこの世界にいたいんだ」
「ふーん。じゃあまあ良いけどさ?俺の知り合いに手を出したらどうなるのか。覚えとけよ?」
もういいや。しらん。一応威圧はかけよう。
「俺の周囲の人を傷付けたら‥‥‥お前の大切なもの全部壊してやるから肝に命じとけ」
ガタガタと震え出した。
「ま、まて。お前は本当に日本を知っているのか」
さっきからそう言ってるじゃん。面倒だな。
「坂本龍馬と知り合いだ」
「は!?時代が合わない!」
「時間移動もできるんだよ」
龍馬元気かな。あとついでに東。
『扱いがひでぇ』
東なんて殺しても生きてそうじゃん。大丈夫だろ。
『あー。まぁ確かに』
「さ、坂本龍馬‥‥‥」
「分かったなら俺いくよ?手、出したらどうなるかは自分で考えるように。そんじゃあね」
これで終わる俺もどうかとも思うけど。これでいいんだよ。多分。
『お疲れ様です』
「大丈夫だったか?」
『はい。あれ?もしかして、血!?』
あ。撃たれたの忘れてた。
「ごめん。弾丸抜いてくれ」
手が届かん。
『今すぐあいつを‥‥‥』
「行かなくていいから!俺がやっといたから!抜いてくれ」
クラセントが人間形態になって取ってくれた。危なかった。猛禽類に鉛ぶちこみやがって。中毒になるんだぞ。こっちは。
『‥‥‥今すぐに』
「ステイ!クラセント!ステイ!」
なんとか宥めた。
「ご主人様大丈夫でしたか?」
「ああ。ただ服に穴が開いたんだよ。まぁそろそろこの服も限界だと思ってたからいいけど」
「服に穴!?僕ちょっと行ってきます」
『やっぱり私も』
「駄目だっての!」
「さてクラセント。お前にプレゼントだ」
『ごまかそうと話を濁さないでください』
「いいじゃん別に。これだよ」
ストレージから新しく作ったヴァイオリンを取り出す。
『それ!』
「やっと完成したんだ」
大分前から頼まれてたんだけど中々良い木がなかったり素材の調達が上手くいかなくてこんなに遅れてしまった。
「はい。落とさないように気を付けろよ?」
クラセントは頬擦りをしている。良かったね。そんなに喜んで貰えるとは思ってなかったわ。
「ソルトにもあるぞ?」
「本当ですか!」
全員分作ったからな。レイラ?実はもう持ってます。
「お前には今のところこれな」
「ピリュ!」
ラテには踏むと音が出るように子供用ピアノだ。早速遊んでいる。なんとも微笑ましい。
「あの人結局何者なんだろ」
『調べれば良いじゃん』
やだ、めんどくさい。




