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王子様ご一行が登場しました。後、隼人が学校に行きました

「忘れ物はありませんね?」

「うん」

「服は?」

「2日分あるよ!」

「魔法具は?」

「ちゃんとあるから」


「じゃあ‥‥‥」

「心配しすぎだソルト」


 今日から隼人がオーグラス学園に行くことになっている。ソルトは心配しすぎだと思う。


「でも今日から隼人が居なくなるんですよ?」

「いや、そうだけど」

「ソル兄心配しないで!僕もう立派な冒険者になるんだから!」


 まだはやいぞ?




「行ってきまーす」

「「「行ってらっしゃーい」」」


 無事に見送りが終わった。隼人は寮暮らしになるからあんまり会えなくなるな。


「それにしてももう春だったか。大分時間軸が狂ってるな」

「雪のせいで家にずっと居ましたもんね」



「よっし!行ってくるわ!」

「「「行ってらっしゃーい」」」


 俺も行く。学校じゃなくて、カフェに。




「こんにちはー」

「あらキョクセイ君。隼人くんはもう行ったのかしら?」

「ええ。意気揚々と出掛けていきましたよ」

「私の子も学校に通わせないとね‥‥‥」

「7歳でしたっけ?」

「そうなのよー。学校なんてお金掛かるじゃない?でもこのカフェが出来てからそのお給料で行けそうなのよ」

「それはよかったですね」


 いつも通り世間話をしてから舞台裏へ。今日はユーフォニアムにしようかな。

 ユーフォニアムは金管楽器の1つでトロンボーンと音はよく似ている。結構大きめの楽器で持って吹くのはちょっとやりづらい。できない訳じゃないけど。


「ちょっとキョクセイ君!」

「え?あ、どうしました?」

「なんかお店にスッゴい身なりのいい人が来てるのよ!知り合い?」


 チューニング室から観客席の方をチラッと見る。ん?どっかで見たような?ぁぁああああ!


「嘘だろ‥‥‥」

「知り合いだったかしら?」

「相手からしたら因縁の仲ですかね‥‥‥‥」


 そこには、身なりのいい子供が3人、執事っぽい人が同じく3人、ガードマンっぽい厳つい人が2人‥‥‥いや、外にもいるから4人。それと、王宮専属家庭教師フィム・スタイラー

 覚えてる?家買ったときに襲ってきた人ですよ。


「無理だろぉぉぉ」

「そんなに怖いの?」

「怖くはないんですが‥‥‥社会的抹殺されそうです」

「そんなに!?」


 いつでも出来るんだろうけど。何でしてこないのかな。


「い、いいわよ。キョクセイ君はあの人達が出ていくまで此処に居て良いわよ」

「すみません‥‥‥‥」


 あの人は無理。生理的に無理。



「ウェイター。注文だ」

「は、はい。只今」


 頑張ってくれおばちゃん!


「これと、これ。あとこれは3つほしい」


 一番偉そうな多分王子が注文する。


「は、はい。カプチーノが3つ、キャラメルラテがお1つ、ブラックコーヒーがお1つですね。以上で宜しかったでしょうか」

「ああ。頼む」


 ああー。怖い。良かったぁ。ここで楽器弾ける奴を出せって言われなくて。


「後、ここでは珍しい楽器を弾く男がいると聞いてきたのだが?」


 フラグ立てちまった‥‥‥。


「きょ、今日はお休みでして!彼、時間があるときにしか演奏しないので完全に運なんですよ!」


 お、おばちゃん!ありがとぉぉ。後で給料上げとこ。


「今日呼んでくれたら、金を5倍出すといったら?」

「5、5倍!?」


 まじか‥‥‥この世界じゃコーヒーがあんまり有名じゃないからちょっと高いんだけど、それを5倍とな!?どんだけ聴きたいんだよ。そんなに良いもんじゃないよ?


「オ、オーナーに取り合ってみます‥‥‥」


 ‥‥‥‥うん。よく頑張ったよおばちゃん。金に負けたけど。




「キョクセイ君。その‥‥‥えっと」

「判ってますよ。出ますよ。ただ‥‥‥顔は隠したい」

「まぁ、今回は仕方無いわね‥‥‥‥」

「ふぅ‥‥‥‥」


 もうやだぁ。折角気持ちよく吹けると思ったのにぃ。




「ウェイター。どうだったか?」

「オーナーが取り次いでくれるそうです。今こちらに向かっておりますので」

「それは大義であった」

「それと、ご注文の品です」

「うむ」


「これ旨いな。コックには頼めないのか」

「コックに頼んでみましょう」


 もうやだぁ。色々やだ。とは言っても着替えないとな‥‥‥。

 俺は上着を脱いで真っ黒な何処にでも売っているコートを取り出す。そして緑色のウィッグで頭を隠す。コートのフードを被るけどこれは念のためだ。それから創造の特殊能力でオペラマスクを造り、顔につける。


 鏡の前に楽器持って立ってみた。うん。不審者にしか見えないね。


「キョクセイ君、そろそろ‥‥‥って誰!?」

「俺です!」


 やっぱり不審者にしか見えないね。


「そ、そう‥‥‥もう行けるかしら?」

「ええまぁ‥‥‥チューニングも終わりましたし」


 ああーぁぁぁ。やりたくない。




「ウェイター!まだか!?」

「い、今すぐに!はい、キョクセイ君!頑張ってね!」


 丸投げかよ!もう、覚悟を決めよう。バレたらどうしようとかは今は考えない!よし、よし!



 ユーフォニアムを持ったまま舞台へあがる。やべぇ。汗が。


「おお、あれが楽器弾きか」

「なんか怪しくないでしょうか?」


 ああ、もう!怪しいのはこっちが十分判ってるよ!お辞儀をしてから早速マウスピースを口にあてて吹く。曲は『イーナの歌』だ。ユーフォニアム奏者なら1度は吹いたことのある、有名な曲。ユーフォニアム奏者なら、だけど。魔力は勿論流す。『浸透』だ。


「なんと美しい‥‥‥」

「こんな綺麗な音があれから出ているなんて不思議だ」


 ユーフォニアム独特の柔らかい音が俺結構好きなんだよね。


「あの人は何者なんだ?」

「後で聞いてみましょうか」


 やめて!それはまじでやめて!あのおばちゃんが対応しきれなくて俺とご対面とかまじで嫌だよ!?




 もう3曲で切り上げた。無理。あんな重圧で何曲も吹くなんて俺には無理だ。今すぐ帰ろ‥‥‥転移使っちゃおうかな。


「ウェイター!」


 ああ、もう!おばちゃんが気になって帰れないじゃん!


「は、はい!」

「あの男は連れてこれるか?それと、オーナーにも会いたい」


 まさかの同時指名かよ!やだよ!俺やだよ!謎の音楽家は速攻で帰りましたって言えば問題はないかも知れんけど、オーナーに取り合ってみますってさっき言っちゃったからオーナーは此処にいるって分かっちゃってるし。


「えっと、それは‥‥‥‥」

「何故言い淀む?」


 頑張れおばちゃん。


「オ、オーナーに取り合ってみます‥‥‥」


 うっわー!これ出なきゃ駄目じゃん!駄目な雰囲気じゃん!って言うかオーナーに取り合ってみますをもう一回使っちゃったから帰ったって言えない!オワタ‥‥‥。





「ごめんなさい、キョクセイ君!ああ言うしかなくて‥‥‥」

「はは‥‥‥もう出るしかないですよね‥‥‥‥‥」

「本当にごめんなさい!」


 どうしよう。オーナーが顔隠して登場って明かにヤバイでしょ。素で出るしかないのか?どうしよう。もう見つかっても良いから素で出るか?でも、な。


 他人に変身しても良いんだろうけど、それやってもし2度目のご来店とかなったら誤魔化しは訊かない。それどころか嘘をついたって言いふらされるかも。


 俺は様々なパターンから答えを出し、最も安全な路を弾き出す。


「素で行くか‥‥‥」


 それがなんだかんだ言って一番安全だった。





「えっと、オーナーの極星と申します」


 なるべく顔を見えないようにクルトア特製ローブのフードを深く被る。


「ああ。私は第一王子、アトラ」

「僕は第二王子、リーグ」

「私は第一王女、リャン」

「自分は王宮専属家庭教師のフィム・スタイラーと申します」


 しってる!知ってるから!覗き込まないでくれ!


「何故そんなに深く被る必要があるのだ?」

「ひ、人見知りでして‥‥‥」

「そうか。すまなかった」


 こ、怖い。めっちゃ怖い。亜竜の王(ワイバーン・キング)なんかの比じゃない!


「それで、これは何から出来ているのだ?」

「それはコーヒー豆を焙煎して作るのです」

「バイセン?」

「燻します」


 模範解答のみをつらつら述べる。


「それで、あの楽器弾きは?」

「とても気まぐれでして。たまに来ては好き勝手に楽器を吹いて帰っていく者ですので。その分売り上げには貢献してくれますが」

「ここの人間ではないのか?」

「無償ですね。ただ、あそこで吹くときには何時もは金を要求しますが」

「気に入ったら金を出すのか」

「はい。賭け事に近いですね」


 もう帰ってくれ。神経が持たない。


「そうか。それで、お主。私の家のコーヒー職人にならんか?」


 どんな求人だよ。


「お誘いは嬉しいですが、ここでやっていくのに慣れておりますので」

「そうか。旨かった。また来る。代金はこれで良いな?」


 そう言って袋を投げてくる。


「少し多い気がしますが?」

「あの楽器弾きに払ってやってくれ。また来る」


「「ありがとうございました」」






「ってことがあったんだよ」

「それは大変でしたね‥‥‥」

『威圧させればよろしかったのでは?』

「反逆罪で捕らえられるわ!」

「あー。もう二度と来ないでほしい」


『フラグが立ったな』


「怖いこと言わんでくれ!」

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