ワイバーンってそんなに強くないんですよね?
貴方が‥‥‥ってことは知ってたの?こいつのこと。
『はい。我が主の魔力が途切れそうになったとき、全ての魔力を下さいました』
ほう‥‥‥。おい、邪神。全て、だと?
『良いじゃん‼面白くなりそうだったんだもん‼』
勝手に魔力を譲渡してんじゃねー!
俺は魔力を塊にして精神世界にいる邪神に思いっきりぶつけた。
『ぐぼっ!』
ふ‥‥‥俺の勝ちだ。
『何をなされているのです、我が主?』
そんな感じで適当に暇を潰してたらグラスさんが戻ってきた。
「ここに名前と‥‥‥」
言われた通りに書く。間違いがないか確認してグラスさんに返す。
「それにしても、字が綺麗だね」
「そうですか?」
自分の字を見てみる。
印刷されたような見事な字体が‥‥‥ってこれアウトやん‼
「字っぽく書き直します」
「お、おお‥‥‥」
この人最近何があっても驚く感じがないな。いや、ただ放心状態になっているだけか。
「それじゃあここにギルドカードを」
ギルドカードにテイムモンスター、Zランク、ヒポグリフ
と追加されていた。
「そう言えば、ソルトって登録してないですよね?」
「あ、言うの忘れてた‥‥‥」
もはや心ここにあらず。大丈夫ですか。
結局その場でソルトの登録も済ませた。
「このアクセサリーを体の見える位置につけてもらえば大丈夫です‥‥‥」
まじで死んでないか?グラスさーん!
取り敢えずアクセサリーをクラセントの首に設置。羽毛で見えないことはないよね?
「これでいいですか?」
「はい、だいじょうぶだと‥‥‥」
大丈夫かこっちが心配になるわ‼
「今日もうすぐに依頼を受けたいんですが大丈夫ですか?」
「大丈夫です‥‥‥いってらっしゃい‥‥‥」
物凄いこの人が心配だ!
因みに、冒険者にはテイムモンスターを連れているのはたまにいる。
だからギルド内にはテイムモンスターは入っても良いらしい。その代わり、モンスターが何かしでかしたらその人は永久に冒険者権利を剥奪されるので余程なついているのしか入れないらしい。
そりゃそうだよな。
でも‥‥‥このアクセサリー着けてても大混乱になりそうなんだが。
ギルドの7階の受付のギルド嬢に確認をとる。
「テイムモンスターって登録さえしてあればここに入れて良いんですよね?」
「はい。どんなモンスターでも大丈夫です」
「どんなモンスターでも?」
「?はい」
「ありがとうございました」
俺が去ったあとには受付で首をかしげるギルド嬢が残された。
「‥‥‥なにをあの人は聞きに来たのでしょうか?」
その言葉はその後、直ぐに撤回されることになる。
俺はクラセントを連れて一階まで降りる。
クラセントにはテイムモンスターのアクセサリーを付けてあるし、何があっても人間や他のモンスターに危害を加えないと約束してあるが‥‥‥。
本当は転移で家の中に帰れば問題はないんだが、邪神がやらかしたせいで転移の魔力も残ってない。
全く‥‥‥。
『まさかこうなるとは思ってなかったの!』
可愛い子ぶるな‼邪神の癖に‼
「クラセント‥‥‥行くぞ」
『はい。我が主』
階段から普通を装って降りる。そこまでは周りの冒険者も全く気にしなかった。多分、上の酒場から降りてきた奴だとでも思ったのだろう。
クラセントの姿を見た冒険者は最初は誰も何も言わなかった。
本当なら隠蔽の能力を掛けたかったのだが、神力を魔力に回していたので神力も残っていなかったのが不味かったのだろう。
「ああああぁぁぁ‼ヒポグリフだ‼」
誰かがそう言ったとたん、周りが叫びだした。主に、女子。
‥‥‥やっぱり駄目じゃん。
『我が主。これはどうすればよろしいのでしょうか』
俺にもわからん。
「おい‥‥‥あのヒポグリフ、テイムのアクセサリー付けてるぞ?」
お‼誰かが気づいてくれた!
「えーっと‥‥‥こいつは俺のテイムモンスターのクラセントって言います‥‥‥。危害は加えないので安心してください」
一応言ってみた。
「おい‼そいつはちゃんとお前の言うことを聞くのか!?」
「聞きますよ?最早執事みたいに」
絶対だな‼とか聞こえたので堂々と危害は絶対に加えませんし、もしもの事があったら、俺がこいつを始末します!
と堂々と宣言した。
それで納得するのは流石冒険者って感じだな。
俺はクラセントを撫でながら掲示板の前へ。
何かあったら困るから、予見眼と遠見眼を開眼させる。発動はするが、何故かクラセントが写らない。
まぁ、これは卵(?)の時もそうだったので、深く追求しないでおく。
あとで調べりゃ良いし。
掲示板の高ランク討伐依頼の方を見る。もうランク隠しても意味無いよね。極力隠すけど。
お‼これ良いじゃん‼
「すいません」
「っ‼何でしょうか!」
緊張しすぎでしょ。
「Kランク討伐依頼を受けたいんですが大丈夫ですか?」
「も、勿論‼これですね!りょ、了解しました!お、お気をつけて下さい!」
「あ、はい」
何か居たたまれなくて直ぐにギルドから出た。
『私はそんなに怖いでしょうか‥‥‥』
「クラセントが怖いんじゃなくてクラセントの種族がね‥‥‥」
可哀想なのは人間だけじゃないんだよな。
中央門まで歩くが、その度に喚かれる。クラセントが少ししょんぼりしていた。
だが、この町は冒険者の町だ。
いずれ、噂が広がっていくので大丈夫だとは思うが‥‥‥。
中央門に辿り着いたので身分証明書、というかギルドカードを見せる。
俺の対応をしたのは超ベテランっぽい人だった。新兵には、無理だろうな。
「その‥‥‥本当にこいつは大丈夫か?」
「大丈夫です」
訝しげにクラセントを見る。
「触っても良いか?」
おお、勇者だ。
「どうぞ」
ちょっと躊躇ってからクラセントの背に触れる。クラセントはくすぐったいのかほんのちょっと身をよじった。
「本当に大丈夫なんだな。こいつはどこで手に入れた?」
「召喚術で」
間違ってないと思う。造り上げちゃったんだけどな、本当は。
「これ程のモンスターを召喚するとは‥‥‥」
その後門兵さんとちょっとだけ話して別れた。この人は俺の楽器を聴きに来てくれていたらしい。
ちょっと嬉しいね。
10分位歩いて草原に出る。
さてと‥‥‥。
「クラセント。お前、飛べるか?」
『勿論です。我が主』
クラセントに乗ってみた。驚きの乗り心地‼ふわっふわの毛並みにがっしりした筋肉。
馬なんかよりずっと快適だろうね。
「鞍がないと落ちそうだな」
我慢するしかないかー。創造の能力は意外に神力を使うんだよなー。
もう大分回復したけど。
『大丈夫ですか?』
「ああ、問題ない。頼む」
そう言った瞬間、クラセントが助走をしだした。翼を広げてふわりと浮く。
いやー、スッゴい風圧。
それにしてもヒポグリフってもっこもこサラッサラの毛なんだな。俺も似たようなものだけど。
クラセントの飛ぶスピードは滅茶苦茶速い。俺じゃなかったら振り落とされてそう。
目的の森に到着!
この森は、《迷いの森》と言われていて、全て同じ木が等間隔に生えている。こりゃ中に入ったら迷うわけだよ。
全部一緒に見えるから余計に。でも、この森は俺とクラセントにとっては造作もない。
俺はマップがあるし、最悪クラセントに乗って空飛んでけばいいし。転移もあるしな。
俺たちが受けたのは、ワイバーン退治。
亜竜と呼ばれる奴だな。亜竜だからドラゴンの数倍弱い。
ソルトよりも弱いって事だから問題ないだろう。クラセントとの連携も練習できるし。
マップを見ながらずんずん進む。
『我が主。どんどん進んでいきますが大丈夫でしょうか?』
「問題ないよ。特殊能力使ってるし」
『流石は神‥‥‥』
そんなに凄くないけどね。俺もマップがなかったらレイラ以上の方向音痴だし。
お、いたいた。あれ?ワイバーンってあんなに大きいっけ?ソルトと同じくらいの大きさだぞ?
「なぁ、クラセント。ワイバーンってあんなに大きかったっけ?」
『私の知識からはもう少し小さかったと思われます』
そっか‥‥‥。
あれは何だろうか?
「クラセントって思ってたより小さかったな」
『サイズ変えましょうか?』
「変えなくていいよ。って言うか変えれるんだ」




