ゼリオとの出会い
「Kランクは伊達じゃない‥‥‥か」
そこにいる男・天の天敵の自称頭は隙が見えない。
いや、完全に見えないほどじゃないんだけど、見出しづらい。
相手は何を使ってくるのか、それさえもまだ不明だ。
武器特化したやつなのか、魔法使いなのか、それとも魔法戦士なのか。
一番厄介なのは魔法戦士なんだが‥‥‥‥‥‥。
魔法使いそうだな、こいつ。
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こいつは相当強い。
武器も構えてないのに何か圧力を感じる。
俺がほんのちょっと動こうとしただけで気付く。
体の動きを見て判断している訳じゃなくて呼吸を見て判断しているようだ。
ならば、先手必勝!
俺は無詠唱で上級魔術を叩き込むがあっさりと見破られ横に避けて回避される。
これぐらいは当たり前だ。
避けた直後、俺様はマジックボックスに入れていたバトルアックスを取り出して魔力を充填し、振るときに開放する。
俺の振った軌道から斬撃が出来、そいつに襲いかかる。
そいつは慌てることなく背に背負った大剣を抜き、受け流す。
「なんだ、その剣は」
俺様が気になったのは受け流した事ではなく、引き抜かれた剣にあった。
刀身は赤透明に淡く光り、芯には美しい装飾の施された金色の金属が入っており、柄や鍔にはこれでもかと大量の魔石や宝石がついていた。
しかもそれは装飾ではなく、すべて戦闘に使える物だった。
「そんなもの‥‥‥‥‥‥どこで手に入れた?」
「造った」
造っただと?
「お前は鍛冶師なのか?」
「鍛冶の経験があるだけだよ」
何て奴だ。ここまで美しいものを造り出せるなど、この世界中の鍛冶師を集めて最高の逸品を作れといっても無理だ。
「お前をここで殺すのは惜しいな。俺様の部下にならないか?」
「なるかよ。俺は神様を信じてるんだ」
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神様を信じてるんだとはいったけど、あのおネエの神様を敬うつもりはない。
感謝はしてるし、恩義もある。
が、なんとなく敬いたくはない。
尊敬はしてるけど。
「それは残念だ」
互いに踏み込む。俺の方が多分圧倒的に強いが油断はできない。
俺の聖十刀と相手のバトルアックスがぶつかり合う。
俺は聖十刀についている魔石の1つを発動。
聖十刀に雷電がまとわりつく。
この雷電は触れた武器を酸化させる効果がある。
人には害はない。
「電撃‥‥‥‥‥‥?感電するつもりか?」
「さあね」
また共に切りあう。
しかし、何度か切りあっているとバトルアックスが突然刃こぼれしだした。
酸化が効いてきたな。
殺そうと思えば簡単に殺せる相手だけど、殺してもこちらに得はないし、天の天敵のやつらが俺に敵意を剥き出しにされてこの世界に居られなくなる可能性が高い。
だから殺すのは本当に最終手段だ。
パキ、
と音がしたので最後に思いっきり魔力を充填させて真っ二つにする。
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途中からバトルアックスが突然刃こぼれしだした。
このバトルアックスは相当なマジックアイテムなので刃こぼれなんて滅多にないはずの武器なのに。
まさか、この雷電が原因なのか!?
見たことないぞ、こんな武器!
魔石や宝石は俺がよく知る分野だがこいつの武器についている魔石や宝石は知っているのもあるが見たこともないようなものが多い。
どこで手に入れたのか。
途中からそれしか考えられなかった。
それに、この使い手も相当な力量を持っている。
俺様はかなり本気で打ち合っているのにも拘わらず、こいつはどうやら先程から欠伸を堪えている。
どれだけバカにされているのか。
いや、俺様の力がないのだ。
パキ、
なっ!砕ける‼
「きたか」
ボソッとそいつが呟いたと思ったら、今までとは比べ物にならないほどの魔力が迸り、俺様のバトルアックスが真っ二つになった。
‥‥‥これでわかった。こいつは、相当手加減していた。
こいつはきっと目隠しされようが、魔法を封じられようが、俺様ごときには負けないだろう。
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「よし!俺の勝ちだな‼」
俺は聖十刀の雷電を消して、そいつに手を出す。
そいつは拒むことなく俺の手を握った。
「‥‥‥こんなに強いとはね。想像以上だった」
「くく‥‥‥俺は殆ど負けたことないしな」
互いに笑いあう。さっきまでの雰囲気とは大違いだ。
「‥‥‥俺は井の中の蛙だったんだな。今回のお前との戦闘で思い知ったぜ」
「そりゃよかった。自分の強さを判れば判るほど強くなれるってもんさ」
「お前は負けたことがあるから強いのか?」
「負けたって言うか‥‥‥裏切られてね」
「色々とあったのか」
「まあ、そんなとこだ」
俺の顔をそいつがじっと見る。‥‥‥?
「何かついてるか?」
「お前‥‥‥何でそんな悲しそうに笑う?」
「悲しそう?自覚はないな」
「その裏切りとやらが関係あるのか?」
「‥‥‥かもしれない」
悲しそうに笑う、か。
‥‥‥何時からだろうな。
昔はちゃんと笑えてたかもしれないし、最初っからこうなのかもな。
そういや東が
「極星って本心じゃないように笑うときがあるんすよね」
っていってたけど‥‥‥。
気付いてたのかな。
「お、時間だ。今回のことはお前を取り逃がしたと報告しておくさ」
「良いのか?契約違反では?」
「俺が受けた依頼は、子供を助けるってやつだったからな。もう逃がしたし」
「‥‥‥?仲間が居たのか」
「仲間というか‥‥‥人災に近いかな」
「次にあうときには絶対に負けねえよ」
「くく‥‥‥。楽しみにしているよ」
「そういや名前を聞いてなかったな。俺様は天の天敵若頭領、《ゼリオ・ユーイ》」
「そうか。俺は音楽家、極星」
「楽器もなしにか?」
「楽器なんていつも持ち歩けんよ」
俺は転移門を作り上げる。
「じゃあな。ゼリオ」
「おう、また遊ぼうぜ。極星」
帰ったら、邪神が怒っていた。
『遅すぎる‼俺我慢して待ってたのに‼』
はいはい。すまん。
色々やってたら夜中になってたな。
「極星君!本当にありがとう‼お陰様でうちの娘も無事だよ‼」
「そうでしたか」
邪神サンクス。
『ははは!俺をもっと敬うがよい‼』
ゼリオに似てること言うな‼
「それで報酬の件なんだが‥‥‥」
あ、完全に忘れてたけどこれ依頼だった。
「白金貨10枚でどうだろうか?」
白金貨10枚か‥‥‥。
え!?一千万円!?
「足りないだろうか?」
「いや、多すぎるくらいですよ‼」
「しかし今回は私の我が儘だろう?君もはっきりとは了承していなかったし」
いやまぁ、確かに引き摺られて速攻だったけどさ。
「だから、これぐらいで許してくれ」
「許すも何も、金貨2枚くらいで良いんですけど」
はぁ?という顔でこっちを見てきた。
「今回のってかなり命懸けだからこれくらいはむしろ少ない方なんだよ?」
そうなのか?
「そうなんだ‥‥‥こんなに楽なことでこんなに稼げるんだ」
こんなに簡単なら、副収入にもってこいかも。
来年には隼人も学校に通わせるし、お金はあって困るものじゃない。
それに、この世界に来た一番の目的である、俺の能力の確認も自然と出来るな。
「こっちを副業にしてみるのも、良いかもな」
「金がガンガン貯まる」
『闘いたい!』
なにが言いたいんだ?俺。




