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なんか疲労度が半端じゃないんですが

 チリリン


 可愛らしい音でベルがなる。

 打ち合わせ通り、泉のお嬢さんが出てくる。


「お招きに預かり誠に光栄でございます」


 貴族のお辞儀が通じるのか分からないが、取り敢えず、

お辞儀。

 後ろで東が極星ってこんなやつだったか‥‥‥?

 とかなんとかほざいていたのでヒールで踏んづけてやった。


「この度は私、精霊が此処で演奏させていただけること、誠に嬉しく思います」


 今日は楽器ケースをいくつか持ってきた。

 リュックだと悪目立ちしそうだし。


 それを持ってくる体で後ろの二人を通してもらえた。

 流石に何個も大量の楽器ケース担いでくるのは女性らしくは無いからな。


「客間にご案内いたしますわ」


 泉のお嬢さんに連れられて客間へ。





 ふー。

 第一段階、成功。

 正直どうなるかは分からなかったけど、うまくいって良かった。


 レイラには此処に残ってもらって、楽器を見ていてもらう。

 東は当初の目的を果たすらしい。


 一旦鍵をかけて大広間へ。

 そこに行くと、大きなグランドピアノがあった。


「弾かせていただいても?」


 近くに居る泉のお嬢さんに一応確認。


「勿論ですわ。そのためにお呼びしたんですもの」


 その言葉を確認してピアノの椅子に座る。



 これはあとで知ったことだが、ここの屋敷の持ち主、つまり泉のお嬢さんのお父さんは外国の珍しいものが大好きらしく、ピアノを買ったはいいが弾ける人が誰もいない事に後で気づいて大事に死蔵されていたらしい。

 なんてもったいない。



 ピアノの椅子を調節し全部の音を弾いて調律をチェックする。

 死蔵されていたので状態はいい。




 弾く曲は、《子犬のワルツ》

 かなり有名な曲だが、最初と最後がかなり早く 、弾きにくいのが特徴の曲だ。

 因みに、作曲者はショパンだ。


 弾くうちに周りがおしゃべりをやめてこっちの音を聞くようになってきた。

 だが、俺は内心後悔していた。

 なんでこんな弾きにくいの選んだんだ‥‥‥?

 俺はどんな楽器でも基本的に弾けるが、やはり得意不得意はある。

 ピアノは一番苦手なのだ。

 一番基本となる楽器が一番苦手と言うのもおかしな話だが、俺としては、なんでこんなに指が違う動きするのに早い曲が多いんだ‼

 って言うところだ。


 まぁ、そんなのはおいといて。





 この曲自体は短い。1分半位しかない。


 ‥‥‥それで十分だ。


 幾つかの楽器を弾き続ける。たまにピアノに戻ったり、ヴァイオリンを弾いたりしながら時間を稼ぐ。

 二時間位してやっと東の用事が終わったらしい。


 おっしゃ‼帰れる‼


 周りがもっと弾いてくれと言ってきたが、全部やんわりと断っておいた。

 もう無理。疲れた。主に精神的に。


「ありがとうございました」


 自分のなかで一番きれいに見えると思っているお辞儀をする。


 なんかたまたま近くに居た男が美しい‥‥‥とかなんとか言ってたけど知らん‼

 俺は寝る‼


 つけられたくないのでレイラたちを先に帰す。

 楽器?ストレージに入れたわ。


 茂みに入る。

 レーダーやらなんやらを駆使して人が居ないことを確認して、速攻で着替えに入る。

 このドレス、借り物だしな。


 誰かに会うとか言うハプニングはなく、すぐに帰れた。


 俺はやっと寝れたのだ‼






 次の日。

 東が妙によそよそしかった。

 借りてきた猫みたいなよそよそしさ。


「どうした?泉のお嬢さんと何かあったか?」

「‥‥‥極星が女装までしてくれたのになんもなかったんすよ」


 ‥‥‥ん?

 女装?寧ろあっちが正しいんじゃ‥‥‥?


「なに言ってんの?」

「いや、女装ってやっぱり誰しも抵抗あるじゃないすか。そこまで体張ってくれたのに‥‥‥俺は‥‥‥」


 え?‥‥‥もしかして。


「俺は‥‥‥女だぞ?」

「‥‥‥は?お、女‥‥‥?‥‥‥え?」


 うわー‼もしかした人だったわ‼


「え?知らなかったのか?」

「う、嘘ぉ‥‥‥」


 呆然としている。御愁傷様です。


「え?じゃあ俺は女に裸を見られたのか‥‥‥?」


 あー。そんなこともあったねー。

 川があったから涼みに行ったら突然東がポンポン服脱ぎ始めたんだよな。俺はその辺耐性あるけどレイラがキツそうだったから水着を貸したんだっけ。


「う、うわあああぁぁぁぁ‼」


 叫びだした。こんなこともあるだろうと防音壁張っといて良かった‼結界様様だな。






「‥‥‥すまなかったっす」

「もういいよ、防音壁張ってあったし。‥‥‥無かったらヤバかったけど」


 はぁ、疲れた。昨日から良いことがあんまりない気がする。


「じゃあ、もう行くか‥‥‥」

「‥‥‥そうっすね」


 ちなみに、レイラはこの件については終始無言だった。


 色々波乱だらけだった女村から疲れた体を持ち上げるようにして去り、俺たちは旅を続けた。


 因みに、東と泉のお嬢さんはその後進展があったとかなかったとか。この時には既に俺とレイラはこの世界を離れていたからよく知らない。








 このときの女村を出るときの疲労感は半端なかった。

 ‥‥‥精神的な疲れもあるが、それだけではないことを俺はそのとき全く気づいていなかった。

「ところで精霊ってなんですか?」

「即興で考えた」

「そのまんまですね」


 俺はネーミングセンス無いからな!

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