もう二度とこんな格好したくない
今日は楽器弾かなくてもいいかな‥‥‥。
あんまり人と会いたくないし。
「お金は沢山あるので大丈夫ですよ」
良かった‼
ギリギリなんでやってくださいって言われるかと思った。
『女なのに女に囲まれたくないって‥‥‥あはは‼』
笑うな‼
『ヘタレー‼』
黙れ‼
でも楽器の手入れは勿論するよ。
今日はチェロの手入れをするかな‼
ん?松脂がない。
出来ないじゃん‼そういえばこの前使いきったわ‼
‥‥‥仕事しますか。
書類をパッと見て内容が軽いものをレイラに回す。
最近俺の仕事のなかで楽なやつをレイラにやってもらってる。
本当に助かる。
気付いたら、もう夜中だった。
レイラの書類を確認して、俺のやつと一緒に送る。
と言うか、ストレージの終わりましたってフォルダに入れるだけなんだけどな。
久しぶりに寝れそうだ。
こんな村じゃ暗殺屋も戦闘屋も来ないしな。いい誤算だった。
でも、それを差し引いてももう此処には来ない。絶対に。
「レイラさん、極星‼助けてくださいっす‼」
東が突然帰ってきた。
「「は?」」
「ちょっとヤバイことになったっす‼来てくれっす‼」
そう言ってまた飛び出していった。
「‥‥‥これ、行かなきゃ駄目でしょうか」
「‥‥‥行くしかないような空気だろ」
‥‥‥はぁ。
二人同時にため息をつく。
行くか‥‥‥。
「こっちっす‼」
東が先導してくる。
物凄い細い裏道を通っていく。
どこに通じてる?マップを見てもいろんな方向に進んでいくので分からない。
「此処っす。お静かにお願いするっす」
豪邸の庭っぽいところに来た。
そんなことよりこれ、どっからどう見ても‥‥‥。
「不法侵入ですね」
不法侵入だな。大丈夫か?
いざとなったら東を盾にして転移で逃げよう。
「あら?さっきのお方。お早いですわね」
物凄いお嬢様の見本みたいな人が現れた‼
この時代にはほとんど無いはずのドレスを着ている。
真ピンクのフリッフリの‥‥‥。
うっわぁ‥‥‥。
「極星様あんな感じの洋服着ませんよね」
「誰が着るか!気色悪いのは絶対だろ」
『でも、みこふ‥‥‥』
黙れ‼思い出させるな‼吐き気がしてくる‼
『はいはい』
「あの‥‥‥貴方のお名前を教えていただけませんこと?」
え?あ、俺か。
「極星です」
本名じゃなくていいや。この世界では極星って名乗るつもりだし。
「そう‥‥‥極星様ですか」
「失礼ながら、貴女は?」
ああ、そうでしたわ!と呟き、
「高麗 泉(こうれ いずみ)と申します」
美しいお辞儀を見せてくれた。
俺がどうでもいいこと考えてたうちに東とレイラは自己紹介を終えていたらしい。
「で、俺たちをつれてきた理由は?」
東に聞くと、
「この人と堂々とお話しがしたいんすよ」
「それで、なんで俺たちが?」
「もしよければ囮になってこの周辺の用心‥‥‥」
「誰がやるかああぁぁ‼」
東にチョップし、
「そんなことに俺達を巻き込むな‼」
「良いじゃないすかー」
「良くない‼もし俺らが用心棒に捕まったらどうするきだ‼」
「極星なら問題ないっすよ‼」
「そこじゃないだろ!」
再びチョップを喰らわせる。
「なんでっすか‥‥‥」
「そんな面倒なことはしない‼以上‼」
レイラも同じことを考えていたようで、さっさと帰ろうとする。
「じゃあどうするべきっすか?」
「俺に聞くな」
どうにかできる手だてが無いわけじゃないが、しこたま面倒なので言うつもりはない。
「じゃあ今度戦闘屋のやつ手伝います‼」
なに!手伝うってのか!
これで、仕事に集中出来る‼
「‥‥‥絶対だぞ」
「勿論っす‼」
仕方ない‥‥‥絶対にやりたくなかったが。
「良かったのですか、極星様」
レイラが聞いてくる。
「策はあるさ」
そう。あるにはある。
‥‥‥やりたくないだけだ。
「レイラにも手伝って貰ってもいいか?」
「仕方ありませんね‥‥‥東に1つ貸しです」
「‥‥‥それで大丈夫なんすか?」
「判らんが、多分大丈夫だろ」
俺は泉のお嬢さんの方を向いて、
「どうですか?」
聞いてみる。
「大丈夫だと思いますわ‼その辺りの警備もそんなにキツくありませんし。策士なのですね」
「策士と呼べるほどではありませんよ。それより、あれは大丈夫ですか?」
「勿論ですわ」
準備は出来た‥‥‥か。
ああ、面倒だ。
俺は近くの茂みに隠れて着替える。
今回は俺が目立つのが重要だから特殊能力の《隠蔽》は使えない。あれは逆に人に印象づけないためのものだから。
うっわぁ‥‥‥。
いつ見ても似合わない。
ウィッグを被る。
黒髪さらっさらのやつ。
因みにこれは俺の作った特殊性で、引っ張られようが絶対に落ちない。神力を使うからあまりお披露目できない。
「さてと‥‥‥行くか‥‥‥」
東とレイラが唖然としている。
因みに、レイラは当たり前だが東も隠蔽の能力下においている。
この二人は目立たないようにするのが仕事だ。
「あの‥‥‥極星っすよね?」
「なんで疑問系?」
「いや‥‥‥なんと言うか‥‥‥ずっとそのままでも全然いいんじゃないすか‥‥‥?」
蹴り飛ばしてやった。
「凄い綺麗です‼美しいです‼」
「マジでやめて‼」
『お美しいですー』
お前‥‥‥消滅させるぞ?
『な、なんでもありません‼』
俺の今の格好は‥‥‥物凄い女性らしいドレスコードを着込んでいる。
や、やべえ‼
鳥肌半端ねえ‼今すぐ脱ぎたいいいぃぃぃ‼
「‥‥‥わかってるな?」
復活した東があり得ない速度で首を縦に動かしている。
訓練のときもそれぐらい動けたらなぁ。
そんじゃあまぁ‥‥‥成功するか判らんが、行くか‥‥‥。
「って言うかあの胸は一体‥‥‥?」
東が空気を読まないので再び吹き飛ばしてやった。




