約束
この世界と一緒に産まれた。
‥‥‥俺だけは。
正確に言うと、俺は産まれるために無意識でこの世界を創った。
最初から独りだった。
なにもない世界でまずは仲間を創ろうと思った。
何でそう思ったのかはあんまり覚えていない。
とにかく、独りは嫌だった。
そして、魔神を創った。
土地を創った。
魂をプログラム化して神の力を持つものに、扱えるようにした。
何年も何年も掛けて魂を使える物にした。
その頃には魔神がプログラムの内容を理解し始めていて、2人で大量に魂を創った。
それを下界に放出したら、いい具合に定着して種族が産まれた。
そっからは下の奴ら任せだ。
勝手に子をつくり、どんどん進化していった。
最初に出来た種族を精霊族、次に出来た種族を魔族とした。
魔神と新しい神を創った。
創り出された順番は、
俺(精霊神)
魔神
獣神
太陽神
地神
海神
空神
月神
魂神
人間神
の10柱。
分かる人もいるかもしれないが、これはこのまんま俺達の力の差を表している。
何で地神が最初じゃないのとか、その辺は無視していただきたい。必要になったら創ってるから、最初は俺だけで全部管理していたんだが、流石に無理だっただけだ。
因みに、俺達のサポートをしてくれる天使達もいる。
さっきプログラムが違うとか騒いでた人達だ。
話は戻って、会議場へ。
待っていたというのは、俺が何年も下界にいて天界に上がってこなかったことだろう。
因みに、俺達の中で下界に降りた事がないのは、魔神と人間神だけだ。
ずっと下にいるのは俺だけだけど。
魔神はリーダーだからその分仕事が入ってきて下界に降りれないだけだが、人間神の場合幼くて危なっかしいので後50年は降りられない。
‥‥‥だからだろう。
この子がこんなに泣いているのは。
親が仕事に入り浸って全く帰ってこない。
会いに行くこともできなければ、自身の力が安定していないせいで、連絡魔法も使えない。
こんなに辛いことは無いだろう。
それどころか、親が自分の部下に殺されたと聞く。
俺だったらどう思うんだろう。
「‥‥‥後何年ここにいるの?」
ぽつり、と人間神が言う。
「バレない程度に仕事を一通り終わらせたらかな」
「‥‥‥どれくらい?」
「‥‥‥60年は掛かるかな」
「‥‥‥そっか」
一言そう言った。
「じゃあ、絶対に60年はここにいてね」
笑顔でそう言ってくる。
「わかった」
俺は絶対に約束は破らない。隠し事はするけどな。
久し振りに自分の部屋へ行く。
下界で過ごしてたからなぁ。物凄い埃かぶってるだろうな。
ん?
ドアが滅茶苦茶豪華になってる。
俺の部屋は必要最低限の物しか置いてないから、全部安物だし、ドアなんて開いて閉まれば良いや位としか考えないからただ木を切って、取っ手付けただけのような物だったと思うんだが。
物凄い美しい装飾の銀色の取っ手にどんだけ磨いたんだよって位ピッカピカの扉がある。
勿論、美しい装飾で。
‥‥‥部屋間違えたか?
ちょっと透見眼で視てみよう。
この透見眼は魔眼の一種で、名前の通りあらゆる物を透視できる。
‥‥‥俺の書類が山ほど置いてある。なんか凄いいつもより増えてないか?
「失礼しまーす‥‥‥」
誰も居ないのは透視で判ってるけど、念のため。
っていうか俺の部屋なんだけどな。
「ん?」
大量の書類の上にメモが置いてある。
なになに‥‥‥
レイラを泣かした罰です。
精々頑張ってください。 フェント
‥‥‥まじですか。
それにしては多くないですか?ちょっとした拷問だよ‼
因みに、レイラは人間神、フェントは魔神の名前だ。
あいつめ‥‥‥。親になんてことを!
とか、一番適当な俺が言えたもんじゃないけどさ‥‥‥。
はぁ‥‥‥。
やりますか‥‥‥。
こんな適当な俺だが、仕事はフェントの10倍出来る。分体を創ってそれぞれにやらせることも出来るし、まず情報処理力がかなり高い。‥‥‥らしい。
自覚はないんだが、書類の内容を一目見ただけで判断できるので、数百枚ある書類を30分位でなんとかできる。
で、今机の上に乗っている書類は1万枚はありそうだ。
しかも緊急性のあるやつばかりなので明後日までにこれを何とかしないといけないっぽい‥‥‥3徹確定だな。
フェントやレイラの名前はノリで決めました。