貧乏クジなんて引きたくはないんですが
座りこんで立てん。
と思っていたら、槍の神様がお社の中に頑張って引き摺っていれてくれた。
別にいいって言ったんだけど、槍の神様が有り得ないほどもてなしてくれた。
前に来たときも思ったけど、日本の神様って優しい。
そうこうしているうちに邪神が帰ってきた。
『何やってんの?』
「神力使ったんだよ」
『?あれくらい魔力でいいじゃん』
「この世界には無いから極力使いたくない」
今は外に出ているので槍の神様にも見えている。
「え?えっと‥‥‥?」
「ああ、すみません」
『こいつの守護精霊だ』
そう。こいつの正体は力を持ちすぎた守護精霊だ。
あまりにも危険なので俺の魂に縛り付けて逃がさないようにしている。
ついでに言えば、邪神って言うのも間違っていない。
力を持ちすぎた精霊はごく稀に神様になってしまう。
俺が縛り付けていなかったら、今頃こいつが軍隊引っ張って全面戦争起こしていそうだ。
「しゅ、守護精霊‼?!??」
あ、そういやこの世界って力が弱かったら精霊の方が神様より上なんだっけ。
「こいつ無視して頂いて構いませんので」
『えー』
「早く戻れ‼」
『はいはい』
槍の神様、余計に震えてるよ。
精霊を取り込めるやつってかなり力が強くないといけないからなぁ。
「精霊神様‼」
レイラが帰ってきた。
「お帰り。どうだった?」
「いやー。弱すぎてちょっと‥‥‥」
お前が規格外なんだろうけどな。
「‥‥‥そちらの方は‥‥‥?」
槍の神様、かなりびびってる。
「あ、申し遅れました‼異世界の人間神です!」
俺もさっきこうやって自己紹介したが、異世界の名前を出しても分からない神様が大半なので、異世界の~神です。って言った方がこっちの人は分かりやすい。
「ひ、ひええええぇぇぇ!?!?人間神様?!?」
なんで俺より驚いてんの?
あ、そういやこの世界に精霊族は居ないから、精霊神の位置付けが分かってないのか。
まぁ、黙っといた方がいいかな。
可哀想だし。
「なんでそんな高位の方が‥‥‥?」
「?精霊神様の方が高位ですよ?何てったって母神なんですから‼」
言っちゃった‼
言っちゃったよ‼
この人大丈夫か‥‥‥?
チラッと横を見る。
目を開けたまま気絶していましたとさ。
どうすんの?この人。
『放っておけば?』
いや、それじゃあこの人に悪いでしょ。
『だが、ここにいるとこいつストレスで最悪死ぬぞ?』
確かに‥‥‥
どうしたもんかな‥‥‥
「あの‥‥‥私、なにかやらかしました?」
「たぶん大丈夫」
今のところは。
「騒ぎを起こした連中は?」
「警察隊が来るから大丈夫だって‥‥‥」
そっか。
でも念のため確認しよう。
遠視使って‥‥‥問題なし。
予知で‥‥‥問題なし。
大丈夫だな。
そんなことより、この人どうしよう。
『神格上げて放っとけば問題にもならんだろう?』
なるほど‼
その手があった‼
神格上げて逃げよう。
この世界の神格っていうのはかなり重要だ。
信仰心により上がるし、下がりもする。
最悪下がりすぎて、消滅してしまう神も少なくない。
この世界の神も神格って簡単に上がるんだよなー。
ちょっと力を込めるだけで上がります‼
中級神位にしておこう‼
とんずらしました。
その後、意識を取り戻した槍の神様は上がっていた神格にビックリ仰天。
再び気絶してしまったんですって。
ほんと、すいません‥‥‥。
燃えている村を偶然救ったのは良いものの、予定がちょっと狂った。
「ごめん‥‥‥勝手に動いて」
「仕方ないですよ。私も賛同しましたし、人間の命をより多く救えたんですから。むしろこっちの方がお礼を言いたいレベルです」
実質的に村人救ったのはレイラなんだけどな。
ってな感じで野宿です。
俺はレイラより下界にいた時間が長いから野宿は慣れている。
遠征中はずっと野宿だったし。
テントを張ってたらレイラが兎と鳥を何羽か狩ってきた。
俺よりも野宿生活に順応しそうで怖い。
小さいかまどを作り、捌いた兎やらなんやらを焼く。
綺麗に焼けました。
ご飯を食べて、一休み。
この世界のこの時代はまだ科学技術が発達していないせいで星が綺麗に見える。
今は春から夏の時期なので夜は涼しい。
こうしてみると、違う世界なんだなって改めて思う。
『なんだ、帰りたいのか?』
別に?ただ、まだ1日も経っていないのにもうなんか巻き込まれたし?
『お前は喜んで貧乏クジ引くタイプだからな』
喜んでねえよ‼
「そもそも俺はそんなに運は悪く無い‼」
「そうでしょうか?」
レイラまで・・・




