レイラの心情1
今回は、レイラ目線からのお話です。
私は産まれたとき、とても弱い存在でした。
精霊神様は、お仕事のために滅多に帰ってきませんでした。
私には宝物がありました。
精霊神様に幼い頃頂いた小さな丸い魔石をあしらった髪止めです。
この髪止めには魔法が使われており、危険を察知して1度だけ私を護ってくれる効果がありました。
小さい頃に下界に行ってはならないと言われ続けてうんざりした私は、こっそり下界に降りてしまいました。
お分かりのかたもいらっしゃるでしょうが、この時にこの髪止めが助けてくれました。
下界は楽しいところだと思い込んでいた私は、戦場へ入り込んでしまったのです。
そこには、精霊神様が血だらけになりながら敵と戦っているのが見えました。
幼い私は精霊神様が怖くてたまらなくなりました。
なぜあんなことをしているのか、私には全く理解できなかったのです。
唖然として見ていたら、たまたま矢が私のところに降ってきました。
私の目の前の岩に突き刺さり、私は怖くなって逃げようとしました。
しかし、恐怖で足が動きません。
転んでしまった私はしばらく泣いていました。
その声を聞き付けた魔物が目の前に現れました。
もうここで死ぬんだ。と子供ながらに思いました。
すると、襲いかかってきた魔物が吹き飛んでいきました。
私は最初はなにが起きたのか、全くわからなかったのですが、結んでいたはずの髪の毛が解かれているのを見て、ようやく気がつきました。
精霊神様が、守ってくださったのだ。と。
なんとか天界に帰ったあとは姉様や兄様達にこっぴどく叱られました。
けれど、その中には精霊神様は居ません。
少しもなんとも思っていなかった自分が恥ずかしくなりました。
血まみれになりながらたった独りで戦地で敵に向かっていく様は、恐ろしく、そして美しいことにその時気が付きました。
そんなこんなで何年かたった頃、突然精霊神様が亡くなったと聞きました。
ショックで身体が動きませんでした。
まさか、あんなに強い人が亡くなったなんて、信じられませんでした。
気づかない内に、涙が溢れていました。
フェント兄様は涙を堪えながら数日後、皆を会議場に呼び出しました。
そして何時までも悲しんでいるんじゃない、と叱り始めました。
その目には涙が溜まっていました。
フェント兄様は精霊神様と過ごした時間が私たちよりずっとずっと永かったので一番辛いはずなのに、皆を纏めようと必死な様子でした。
そんな状態が少なくとも1時間は過ぎた頃、会議場の中央に精霊神様が現れました。
私たちは意味が判らなくて暫く見つめあっていました。
精霊神様はご自分でも忘れていた分体があったらしく、それに何とかくっついていると笑いながら説明しました。
あのときは少し混乱して言葉使いが不躾になったのを覚えています。
その時に聞いたのが、なんでそんなに小さいの?でした。
なんでそんなどうでもいいこと聞いたのか今ではさっぱり覚えていません。
とにかく、身長が大人の等身のまま小さくなってたのが気になったんだと思います。
因みに、我々神様たちはかなり美人な傾向にあります。
精霊神様はご自分ではお気付きになっていないのですが、私たちのなかでもとびきり整った顔立ちなのです。
女性らしくしているのを見たことがないですが、絶世の美人にしか見えないとフェント兄様が言っていました。
私は誕生日プレゼントに精霊神様の異世界渡航についていく権利を求めました。
精霊神様はとても用心深いのでなかなか良いとは言ってくださりませんでした。
そして、条件が出されました。
精霊神様の修行に耐えきり、その力で精霊神様の模擬戦で勝つこと。
これが条件でした。
まず、私は精霊神様と同じように戦いたかったので同じがいいと言ったのですが、全く持ち上がらなかったので出来ませんでした。
精霊神様は私が走っているところを見て、癖からみた最適な武器を1振り作り上げられました。
実は、神様たちはみんなそれぞれ違う武器を持っていますが、全て精霊神様の手作りなんだそうです。
本当に出来ないことは無いんじゃないでしょうか。
精霊神様は方天画戟と言う名の槍を作ってくださいました。
真っ白な槍でした。
美しく、軽く、滑らかなさわり心地でした。
槍の精霊は、私を護ってくれる。
そして、いまも、精霊神様は槍の精霊と共に、私を護ってくれる存在なのです。




