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俺の血は生き物を作り出せるんだ!期間限定で!

「こんなことをして……何が目的だ?」

「決まってるじゃないか!俺達は人間よりも働いているのに人間は願いを叶えても特に感謝しない上に叶えなかったら蔑まれる。その復讐だ」

「……馬鹿か。それが俺たちの仕事だろう」

「そんなのは綺麗事だ!」

「綺麗事でもそれを淡々とこなすのが使命だ。何のために神力を持っている?人間に復讐するためか?違うだろ!人間の……下界の者に恩恵を与えるためだろうが!」


 ついカッとなってしまう。あ、貧血……。


「極星様!」

「問題ない………血を出し過ぎただけだ」


 あの感じだと仲間とか呼んでそうだな。


「どうしようか……簡単な拘束じゃすぐにとかれるだろうし、下手に大きいのは周囲が危険だ」


『俺を使ってくれよ!』


 はぁ!?お前神格低いから拘束術ド下手だろうが!


『ああ、だから神格上げてくれ』


 あれ無茶苦茶疲れるんだよ!もうやらないって5000年位前に言っただろうが!


『俺の魔法は役に立つけどいいのか?』


 ………範囲固定か。


『ソルトの回復も止まっていないと一時的な物だろう?下手するとお前が失血症で死ぬぞ?』


 ………。


『なぁ、今ならその腕の血だけで多分具現化出来るから』


 ………。


『ここで渋ってどうする?お前一人じゃ周りを巻き込むぞ?』


 ……。チッ。


『おっし。じゃあ準備頼むわ』


 何も言ってねーよ!………全く。




 腕から流れてくる血を指に集める。


「極星さん……?」

「問題ない。こいつなら君達に負担もないだろう」

「……?」


 汗がポタポタと地面に落ちる。因みに汗でも傷は治ったりする。汚いからやるつもり無いけど。


 手に集めた血で魔方陣を書く。血文字みたいなんだけど光ってるからあんまりグロくは見えない。多分。


 魔方陣を書き終わった。………もう行けるぞ。


『こっちも行ける。時間は?』


 取り合えず一日だ。延ばす気はないからそのつもりで。


『わかった。触れ』


 血の魔方陣に触れる。俺の中から大量の魔力と神力、それと体の一部が抜けるような感覚がした。


 貧血気味だったのもあってちょっと倒れそうになった。持ちこたえたけど。


「極星様、それは………!」

「レイラ。全員を戸の近くに。アイツが出る」

「………!判りました」


 レイラが水を飲み終わった人から順に戸の前に行くように促す。無風の筈の倉庫に風が纏まり始めた。


「これは………生命魔法!?」

「へぇ、知ってるのか?」

「大物が出てきたな、こりゃあ」

「これでも最高神代表なんでね」


 俺の横にある魔方陣の紅い光が風に溶け込んで段々と人の形をとる。


「暴れるなよ」

『久し振りの身体だからなぁー。手加減は難しいぞ?』







ーーーーーーーーーーーーーーーー







 夜、何処からか声が聞こえてきました。深夜です。ご主人様は珍しくベットで寝息をたてていました。なんでも休まないと仕事を倍にするとレイラさんに脅されたそうで。


 それでもレイラさんの判断は正しい物だったと思います。ご主人様は休んでいるところを見たことがないぐらいずっと働いています。


 朝、僕が起きる頃には朝食を作って置いてくれていて書類の確認、昼は冒険者か、それがなかったら書類の確認をしながら鍛練、夕方までそれで、夜になるとご飯を作って書類確認をして、皆が寝た後にまた書類確認を………。


 あれ?こうやって見ると書類ずっと見てますね。


 まぁ、そんなことはどうでもいいでしょう。問題は現在です。


 僕はその声が聞こえた途端、足元が覚束なくなりました。魔法の類いだと直ぐに気付いたのですが、ご主人様の結界も僕の耐性も突き抜けてきました。


 これが以前ご主人様の言っていた『通り抜ける魔法』でしょうか?


 ご主人様曰く、魔法にはいくつか種類があり、僕たちが普通に使う魔法、精霊が周囲への呼び掛けで使う魔法、神様が自分の神力というものを使って使う魔法。


 未だ未だあるらしいのですが、僕が理解できたのはこの辺だけです。


 ご主人様が張っているのは一般的な魔法を抑える結界です。それ以外にはほとんど効果はないとも仰っていたのでそうなのでしょう。


 そんなことを考えている内に眠気がピークに達しました。僕はご主人様に異常を伝えられず、そのまま眠ってしまいました。


 夢を見ました。


 いつも少し無表情で感情を見せないご主人様が満面の笑みで僕に料理を振る舞ってくれる夢でした。


 ちょっと幸せでした。


 夢の中のご主人様はかなり積極的で、何時もなら断固拒否するのにお風呂に入ろうと言い出しました。………入りました。不可抗力です。


 不可抗力なのです!ご主人様の体が魅惑的過ぎるのです!


 お風呂の中で…………これはちょっと言えませんね。


 と、とにかく、あり得ないほど積極的で明るいご主人様を見て、僕はなんだかその笑顔がハリボテの様な薄っぺらさを感じてしまいました。


 そこでやっと気づきました。このご主人様は僕の欲望が忠実に出てきてしまった結果なのです。だから、このご主人様は想像の中の笑みしか見せません。


 本当の笑みは、見たことがないのですから。


 だから、ちょっと名残惜しさを感じながらも偽物に言ってやりました!


「あなたはご主人様に全然なりきれていません!もっと勉強しなさい!」


 と。我ながら恥ずかしい台詞ですね。後で変更しましょう。


 その瞬間、偽物の顔が真顔になりました。こっちの方がご主人様の顔に近いですね。


 気が付くと変な部屋に立っていました。周囲には……血の臭いが充満していて僕の鼻も機能しませんでした。何人か人が倒れていました。トーユさんも居るようです。


「まさか神力の幻術を解かれるとは思ってなかったよ」

「な!」


 血の臭いに気をとられて気づけませんでした。いつの間にか、手がナイフでザクザクと刺されていました。……………なんですか、これは。


「ああぁぁああ!」

「ハハハ!もっと悲鳴をあげろ!じゃないとこの復讐の意味がねぇ!」


 そこまで言うなら痛いの我慢して黙りますよ。


「可愛くねーな!なぁ、どうだ?性格は可愛くはなくても中々の容姿じゃねーか。助けてやるから……」

「お断りします」

「あ?」

「お断りします」

「けっ!まぁいい。どうせ死んで貰うしな」


 足も腱を斬られたようで動きません。


 ―――――助けてください、ご主人様!


 気付いたらまたご主人様に頼りきっている自分が居ました。それに気付いて少し悲しくなりました。


 それでも、やはり。


「ソルト!」


 この人は、来てくれた。


 僕は足手まといですので匍匐前進で退場しようと思います。するとご主人様が巨大な水の塊を生成しました。


「………?」


 ご主人様のすることですから、どんなことでもきっとどうにかしてくれるんでしょうが、これは流石に当てても弾かれるのでは?


 ご主人様は自分の腕をかなり深く傷付けました。するとそこから光る血が出ました。それを水の中に混ぜ、飲めと言い出しました。


 ご主人様の言うことに間違いはありません。考える間もなく僕はコップに水を注いで飲みました。なんですかこの水は‼甘い!それに物凄く飲みやすいです!


 正直、一杯だ。と言われていなかったら即行でもう一杯飲んでいたでしょう。


 すると手の痛みが完全に引きました。服を汚していた血痕まで綺麗さっぱり消えていました。これが、ご主人様の力。甘美で最高の薬。


 僕は言われた通り水を重傷者から順に飲ませました。


 無くなった血まで回復するのですから、恐ろしいものです。


 ご主人様は腕の血を手袋を外した指先に集め始めました。そして、その血で精緻な魔方陣を恐ろしいスピードで書き上げていきます。


 数百倍にも薄めた水で重傷者が完全に復活するのですから、血そのもので書かれたあの魔方陣はどれ程の力が籠っているのでしょうか?


 ご主人様が書き終わって手を添えると風が吹き始めました。いえ、正確に言えば集まり始めました。


 魔方陣の紅い光を吸い込みながら小さな竜巻の様なものができました。それは徐々に集まっていき、人の形になりました。


 紅い光と風が止んだ後には少し足元が覚束ないご主人様の隣に、ご主人様とは対照的な真っ青の髪のご主人様と同じくらいの背丈で同じような体型………というか、ご主人様に瓜二つな男性が居ました。


 その方は終始ニヤニヤしていて真顔のご主人様とやはり対照的でした。


 ご主人様はその方を一瞥し、少しため息を吐きました。


「やっぱり顔は同じかよ……」

「かかっ。久し振りの実体だ。調べようも無いっての」


 声まで一緒です。これは、表情と髪色で判断しなければ。なにせ雰囲気から足運びまで本当にそっくりなのですから。


「本体貸してくれ」

「全く………下手に斬るんじゃないぞ。俺は今魔力限界なんだ」

「判ってる判ってるぅ。いいぜいいぜー!最高の気分だ!」

「お前出すと面倒だからやなんだけど………」


 ご主人様はかなり顔が疲れています。あの方を呼ぶとそうなるのでしょうか?


「ひひひっ!面白くなってきたぜぇ!兄ちゃん!俺と遊んでくれない?」


 ご主人様のあり得ないほど重い刀を軽々と片手で振り回し、うっとりとした表情を作る。この人は戦闘狂という奴なのですね。


「それ!」

「なに!?」


 地面から大量の槍が生えてきました。ご主人様も突き刺さって………あれ?


 僕は前にある槍を触ってみました。まるで霊体のように手がスルリと抜けます。しかし、相手にはちゃんと突き刺さっています。


 これは、どういうことなのですか?誰か説明を僕にお願いしても宜しいでしょうか?

「あ、そう言えば翔太さん見付けてない」

「後でいいだろ。今は楽しむぜぇ!」

「楽しんでるのはお前だけだ」


 ん?誰か来たか?

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