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飴餅考案したのは俺ですけど

 転移で帰って参りました!なんか色々キツくて辛いっす。


「今日は仕事ないし寝よ……」


『だらしない』


 お前に言われたくないわ。無駄に神力渡さないと働かないくせに。


『それとこれとは話が違う』


 嘘つけ。








「………」


 寝過ごしました!三十分位‼お陰で魔力全快ですわ!やっぱり睡眠は必要だね。このバングルも関係してるんだろうけどさ。


 適当に楽器の手入れをしながら皆を待つことにした。物凄く小さく音程確認。防音張るのも面倒になってきたからなー。


 簡単だけどさ。ほら、あるじゃん!立たなきゃとれない距離にリモコンがあってそれを取りに行きたくないなー、みたいな!


『意味不明』


 さいですか!









 暇だー。やることない。この時間になってくると色々やることが制限されてくるからな……。


 どうしましょう?もういいや。散歩しよ。結局外に出る俺。


「んんー」


 周囲で勇者勇者言っているけど俺は知らない。そんなの見てもいない。知らないったら知らない。


 やることがないってこんなにつまんないんだね。俺やっぱり仕事向いてるのかな……?


 戦場に身を置きすぎて中々引退できない戦士みたいな心境だろうか?やりたくない、けどなんかやらなきゃいけない気がする。


「エレンではないか?」

「お。蒼か?」

「聞いてくれ、エレン!妾エレンと知り合いと言ったら鼻で笑われたのじゃ!」

「それはお前が悪い」

「何でじゃ!?」

「この世界じゃ勇者エレンは架空の存在に近くなってきている。勿論クアみたいに俺のことを覚えてる人もいるがごく少数だ。見えもしない勇者様が大事なんだよ」


 バカだろうって思われても仕方がないのかもな。


「意味がわからないのじゃ」

「別に判らなくて良い」


 俺が恥ずかしくなってくるじゃんかよ。










「お!懐かしい」

「飴餅か?」

「これ俺が考案したんだよね」

「へ?」


 何に驚いてるんだ?まぁ、いいや。


「二本下さい」

「はいよ、100テルだ」

「これで良いですか?」

「毎度」


 飴餅はカラメルとかを混ぜ合わせて餅に練り込んで焼くお菓子だ。食感が中々好きなんだよね。うにょんって。


「考案者なのか?」

「ああ、一応な?駄菓子屋の旦那に教えたらなんか売れたらしくて。狼狽えるおっさん、面白かったなぁー」


 飴餅は兎に角甘い。なんでかって?俺の舌にあわせたんだよ。


「世界的に広がっているお菓子がまさか勇者が考案したとはな」

「この前からちょっと思ってたんだけどさ」

「なんだ?」

「口調無理しなくていいぞー」

「………へ?」


 なんか突然立ち止まった。俺は歩くぜ。人混み嫌いだし。


「き、気付いていたのか!?」

「そりゃな。声色がなんか無理して音程おかしくなってるし」

「その辺りはやっぱり理解不能よ」

「女っぽい!」

「女よ!」


 わ、悪かったな。


「なんで無理矢理昔の口調で通してたんだ?」

「だって、こっちの口調は普通でしょ?エレンに見てもらうには普通じゃ駄目だもの」

「そういうことね……」


 何て理由だよ。普通じゃ駄目=のじゃ口調?俺にはよく判らん。


「あっと、なんかあるのか?」


 もうすぐ日が落ちるのに逆に露店が増え出したぞ。


「気付いてないの?」

「何が?」

「自分で何やったか覚えてる?」

「えーと、魔物を倒して」

「倒して?」

「と………飴餅考案した?」

「それ知ってる人エレンくらいよ」


 マジすか。でも俺の記憶にはそんなに目立ったことした覚えないぞ?


「はぁ」

「な、なんか露骨にため息つかれた」


 俺ちょっとショックだわ。


「貴方が来た日、92年前の今日でしょ?」

「え?ああうん。これぐらいだった気がする」

「勇者が現れた日となれば皆祝うのよ」

「いや、それ本当どうでもいな……」


 勇者が来た日ってか?魔物を止めた日なら祝うのも判らんでもないが。


「それだけエレンは一目置かれてたの」

「今はさっぱりだけどな!」

「それは……エレンが少し変わったからじゃないかしら」

「え?」

「何でもないわ。そろそろ帰りましょう」


 ナチュラルに腕を絡ませてくるな。







「キャラが違う」


 翔太さんが呟いた。うん。俺もそう思う。


「エレン。食事にしましょ?」

「あ、ああ……」


 こう言われると確かにすごい違和感。


「なんじゃ、戻した方か良いのか?」

「いや、別に良いけど」

「じゃあ此方にするわね。妾も楽でいいわ」


 あ、やっぱり違和感。


「今日は使い回しでいいよなー」

「今日も、だろ」

「間違ってない」


 笑いながら皿に盛っていく。今日はビーフシチューだぞ。それっぽい味にはなってると思うけど。味の保証はいつも通りしない。臆病で悪かったな!


「あ、そういえば。俺、聖霊と契約結んだから」

「え?」

「え?極星って精霊じゃなかった?」

「漢字違う。聖者の聖に霊だ」

「あ、うん」


 判ってないなこれは。


「僕から説明しますね。聖霊というのは―――」


 ソルトが聖霊と精霊の違いとかを判りやすく説明した。教師になれるんじゃないか?


「―――です」

「ありがとう、ソルト」

「あれ?じゃあなんで居ない筈の聖霊と会ってるんですか?」

「いい質問だ、イムちゃん。聖霊の最後の住まう場所―――聖霊の国って呼ばれてるところだな。そこに行ったんだよ」

「どうやって?」

「聖霊が直接此方に来た」


 全員、は?って顔して固まってる。手だけは動いてる。ビーフシチューそんなに食べたいのか?


「なんか電子ピアノの練習してたら気付いたら目の前にいた」

「そこで意味がわからないんだけど!?」

「練習してただけだって」

「また路上で弾いてたんですか?」

「いや、今回は草原だ」

「あ、そうですか……」


 今ため息最後につかなかったか?レイラまで俺の扱いがやっぱりぞんざいに……。


『で、なんの契約を?』

「俺の魔力と聖霊の権利を交換したんだ」

「そんなことできるんですか?」

「結構大変だけどな。今俺が世界樹の代わりになって魔力供給をしている感じだ」

「極星さんの魔力は無くならないんですか?」

「そこは問題ない。寧ろプラスだ」


 この契約、一見俺に不利があるように見えるだろう。聖霊の権利なんてたかが知れてるしな。


「この契約を結んだ時に、物理的に俺と聖霊の国自体が繋がったんだよ」

「「「?」」」

『要は、我が主(マイ・マスター)の体内にあるのと同じ、と言うことですか?』

「おー。流石だねぇ。その通りだよクラセント」


 まだ納得してない顔がちらほらだな。


「よく判らん。それにメリットはあるのか?」

「あるよー?今すぐには入らないけど、その内大きな波が来る。長期的に見れば黒字だよ」

「商売人かよ」

「残念。中間管理職です」

「意味判らんわ!」


 これをやる利点?魔力の循環効率、魔核の保持、聖霊の技術力。それが一気に手にはいる。時間はそれなりに掛かるかもしれないけど、まぁ、気楽にいけば良いさ。









「おはようございます」

「おはよう。よく眠れた?」

「お陰さまで。極星様は?また寝てないんですか?」

「10分寝た」

「それ寝る内に入りませんって」

「魔力は満タンだぞ?」

「疲労の方を心配しているのです!」

「すまんすまん。ちゃんと寝れてるから問題ないって」


 気にしすぎだよ、レイラも。


 纏めていた書類をストレージにぶちこむ。仕事多いんじゃボケぇ!八つ当たりしてみた。勿論心の中で。


『フェントにチクる』


 それは真面目にやめてくれ。

「毎日三十分寝てください」

「いや、寝る必要一切ないし」

「強制的に寝かしますよ?」

「へぇ。どうやるんだ?」

「そうですね。仕事を倍ぐらいにしてもらうようにフェント兄に頼みましょうかね」

「マジで勘弁してください!」

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