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洞窟探検に出掛けますよ

「此方ですか?」


 先導されるままに奥へと進んでいく。これ俺帰れるのか?独りだったら確実に迷子だぞ?マップ使ってもスッゴい道と道が見分けにくくてよく見えん。


 最悪、壁壊して出るけど。


 時たま出てくる魔物を迎撃しながら付いていく。なんかランク高い魔物ばっかりな気がするんだけど、気のせい?


 大抵一撃で倒せるから問題ないけど。


『平均Aランクだな。異常だ』


 異常なのか?竜の巣とどっこいどっこいかな?いや、こっちの方が危険か。


 こう考えていくと、幽霊執事さん(仮)は何者なんだ?幽霊でもなさそうだし、アンデットかと言われれば微妙なところだ。


 何もない壁をじっと幽霊執事さん(仮)は見始めた。と思ったら、スルッと壁の中に入っていった。


「!!?!?」


 壁からひょっこり顔を出して来てってジェスチャーしてくる。いや、俺透けてないから無理だし。壁壊しても良いのか?落盤しそうなんだけど。


 俺の手を引っ張り出した。いやいやいや!ムリムリ!


 俺の体が壁を通り抜けた。


「!!!?!???」


 誰か説明してくれ!







 落ち着いてよくよく見てみたら壁ではなく、魔法で壁っぽくなっているだけだった。


 幽体離脱とか強制的にさせられたのかと本気で焦った。いや、別にもしそうだとしても問題ないんだけどな?


 なんかこう、焦るじゃん!


『ばーか』


 お前にだけは言われたくなかった!


 取り合えず、また歩く。幽霊執事さん(仮)の足取りがスキップに近くなってきた。いや、浮いてるじゃんあんた。なんで足動かす必要あるの?


 そんなこんなで壁に見える通路とかを延々と歩いていくと、なんか光ってる泉に来た。


 すっげぇ!あれ蛍じゃないんだぜ!水が何故か光ってるんだぜ!


 ここに来て良かったわー。ただの観光客だな、俺。


 幻想的な泉を完全スルーする幽霊執事さん(仮)。ああ、見慣れてるんですね……。


「すみません。これ、ちょっと頂いて良いですか?」


 この水の成分が気になる。匂いは軟水、ここで湧いているみたいだ。それでもって微生物もいない、かなり純粋な水。研究欲が出てもしかたないじゃんか。


『職業病だな』


 うっせ!


 幽霊執事さん(仮)から許可を貰ったので、樽で一杯もらう。多いって?良いじゃん!ここで湧いてるんだし、これぐらい問題ないって。


「よっし!すみません、お時間とらせてしまいまして」


 ストレージめっちゃ便利だわー。使えるわー。







「わぁお」


 つい、そんな声が出た。出るだろ。


「なんでこんな所にオアシス的なところがあるの?」


 なんだこりゃ。オアシスみたいな所が洞窟にある。いや、暗い。スッゴい暗い。これで日が差し込んでいれば南国のリゾート気分とか味わえるんだろうけど。


 俺は暗視あるからおおってなるけど、普通の人間だったら真っ暗で何も見えんだろうな。


 未だつかないらしい。ここも普通に素通りしていく幽霊執事さん(仮)。いや、道中あり得ないものがありすぎて俺はそっちの方が驚きだわ。


 また壁の道だ。やばい。俺マジで帰れない。もう最初の壁の道に帰れる気がしねぇ。


 歩いている道を全部覚えられてもそれをたどれない己のバカさ加減ときたら……あ、悲しくなってきた。


 フッと体が壁から抜ける。


「スゲェ……!」


 声が勝手に出るくらい、綺麗だ。


 どっかの教会みたいだ。いや、どことは言わないけど。だけどこっちの方が断然綺麗だ。


 俺の家とこっちかって言われたら判定しかねるけど。なんでかって?俺の家はインパクトでかすぎて人の心に残りやすいからだよ。作ったの俺ですけどねー。


 色とりどりのステンドグラス、さっきの光る水。手入れが余りされていないのか、所々蔦とか見えるけど、寧ろそれが真っ白な壁のアクセントになって遺跡感が出ている。


 中央にはよく判らない石碑があり、意味ありげな穴がぽっかりと空いている。拳位の大きさだな。


「これ………俺でも読めない?」


 俺はどの世界でも順応出来るように様々な言語を覚えている。古代文字だろうが読めるんだが。


「って言うかこれ文字……?」


 それさえも不明。象形文字に近いものだと思うんだが。


 幽霊執事さん(仮)が石碑を指差してなんかジェスチャーしている。ごめん判らん。


「もう一度、お願いします」


 っと、グーにした手を、上に持ち上げて、バーン。うん。意味不明だ。さっぱり判らん。


「すみません判んないです……」


 あ、落ち込んだ。






 石碑を色々調べてみたら、この空いた穴になんか嵌めるらしい。いや、大体わかるけど。


 文字が判らないから嵌めるものが何なのかさえ不明。


 どうしろっちゅーねん。


 あ、またジェスチャー始めた。


 ふむふむ。グーにした手を、上に持ち上げて、バーン。うん。なんにも変わってねぇ。


 取り合えず、真似てみる。


 拳を握って上に振り上げる。で、バーン。これが意味わかんない。俺が意味わかんないままジェスチャーを真似たら幽霊執事さん(仮)がなんか喜んだ。


 通じてませんよー。


 取り合えず、片っ端から嵌めてみることにした。それらしい大きさのものなら何個かあるしな。


 先ずは石。魔法で形を整えて突っ込む。反応なし。ですよねー。次は宝石。ルビーでいいや。突っ込む。反応なし。魔石。突っ込む。お?ちょっと反応したと思ったら魔石が崩れて使い物にならなくなった。


 これでなんと無くわかったぞ。


 純度がとんでもないくらいに高くてとんでもないくらいに魔力が籠っている魔石を嵌めてやれば良いんだ。


 早速製作開始。


 大きさは拳台、純度、総量ともに最高級の物を。魔力ならもう完全に回復しきっている。なんなら大量につぎ込んでみる。


 おっと。目眩来た。もうやめるか。


 これひとつで十分懐中電灯になるんじゃないかと言うくらい光ってる。眩しいっす。


「これを嵌めれば良いのか?」


 幽霊執事さん(仮)が魔石の純度に驚きつつも、やってくれと促す。よし、いっきまーす!


 カコッ、と嵌まった。光が強まって拡散する。まぶしー。


「ん?」


 なんかカチカチ音が鳴っている。どんどん大きくなって、ガコンガコン聞こえてくる。石碑が持ち上がっていく。どうなってるんだ、あれ?


「隠し階段ですかー」


 カラクリ洞窟かよ、ここは。


 幽霊執事さん(仮)が入って入ってと促してくる。中々動き出さなかった俺を見て、怖がっていると勘違いしたようで、さっきみたいに先導してくる。


 これ、行っても大丈夫だよな?今更だけど不安になってきた。


「おおぅ、なんか水没してますけど」


 階段が途中から水没してる。しかも、光る水に。これは……なんか入ったらバチが当たりそうで怖いんだけど。


「行きます!行きますから!押さないでください!」


 仕方無い。服を脱いでからストレージに仕舞う。サラシ?とるわけないじゃん。っていうか濡れてもいい服に着替えるだけだぞ?


 ザバー、入ってみた。冷たい!何度!?これ何度!?氷点下とか無いよね!?


 幽霊執事さん(仮)は水の中でも普通に動けるようだ。俺も全然動けるけど、そんなことより水温が低い。





 どこまでいくんですかー?軽く何十分か水の中進み続けてますけど、そろそろ感覚が麻痺してきましたよー。


 あ、出るみたいだ。


 水の上に出て……さっむい!


 魔法で温風を体に当てて体温をあげる。念のために戦闘用のローブを羽織る。袖の長いやつな。未だにここに入ってるナイフとか拳銃とか使ったことないけど。


「あ、もう近いですか?」


 幽霊執事さん(仮)に先導され、なんか凄いところに来てしまったようだ。


 え?意味判らないって?一言で言おう。


 聖霊の国


 わーい。やべぇ。


 わーいとかそんなレベルじゃない。


 あ、聖霊と精霊は違うからな?精霊は、俺とか邪神みたいに形のある、人間と干渉して力を使ったり受け渡したりする。


 聖霊は、人間、その他の生物とは一切関わりを持たない種だ。俺の世界には居ない。俺が作ってないから。

「寒い。風邪ひきそう」


『馬鹿は風邪ひかないから問題ないって』


 それ迷信だし!

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