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幽霊執事さん(仮)

「ところで、『光輝』ってなんだ?」

「ああ、俺の二つ名だな」

「なんで?」

「ワッフル落とすなよ?………確か、斬撃系統の技をそのときに丁度特訓していて、使いまくってたら光を放って攻撃する技だと思われたらしくて」


 ワッフルをかじりながら話しかけてくるのは止めてくれ。


「あ、勘違い……」

「二つ名なんてそんなもんだ」


 自分で決められるものじゃないからたまに変なの付けられる人も居るしな。俺の暗殺者殺しもそうだけど。


「さってと。この街に長いこといると俺の精神が削られそうなんで早く出たいんだけど良いか?」

「モグ……はい」

「はーい、ングッ」


 食べるの遅すぎだろ。いつまで食べてるんだよ。







「良い依頼無いかな」

「本来なら受ける必要殆ど無いんですけどね」

「金ならあるしな。一応」


 クラーケンの方で大量に稼げたから。俺が元々大量に持っていただけっていうのもあるけどさ。


「それで?」

「ああ、神託で勇者の話が出たのに肝心の勇者が何処にも居ないって言う話なんだよ」


 お、なんか面白い話してるな。聞き耳をたてる。


「どう言うことだ?」

「だからさ、勇者が来てるのか来てないのかさえわかんないんだって」

「あー。成る程。それで?」

「でだ。どうやら剣教が探し始めるかもって言う」

「それが依頼として回ってくるのか?」

「可能性はあるな」


 おぅ。まさかそんなことになっていたとはな。こっちの方で情報を操作した方がいいかもしれない。



「今日くらい休んでも良いんじゃないですか?」

「あー。そうかもな。じゃあ宿をとってから自由行動にしようか」

「はーい」


 イムちゃんにいわれたのでそうすることにする。別に全部放り投げている訳じゃない。違うぞ。


『ふーん』


 そこのお前!鼻で笑うな!






 あっさりと宿がとれたので何しようかと暇になる。仕方無いじゃん。なんかご飯作るにもこの前作りすぎて逆に大変なことになった位だし、外は勇者勇者煩くて神経削られるし。


 あ、皆は早速お出掛けにいきました。


 よし!現実逃避しましょう。


 そこらの拓けたところに適当に転移する。見られると困るから勿論魔眼で確認済みだ。


 何をするかって?最近出来てなかったから練習だよ。


 ここは広いからでかい楽器でも弾ける。よし、電子ピアノにしよう。


 電子ピアノは、エレクトーンとか呼ばれる、鍵盤が二段になって、足の位置にも鍵盤がある電子楽器だ。これはかなり用途が幅広く、これ一台でオーケストラとか可能。エレクトーンは商品名だけどな!


 その分色々面倒で、これ用の楽譜が早々ないから自分で編曲しないといけなかったり、データを作らないと曲の最中に音が変わらないからUSB要るしで。


 その分弾いてると楽しいから俺は好きだな。


 独りでセッティング、独りコンサート。やべぇ。悲しすぎる。


『はいはい。俺が見てますよー』


 お前とか最悪だわ……。


『一応俺はお前の精神入ってるけどな?』


 聞きたくないわー。


 どうでも良い話は置いておきまして、電子ピアノの前に座って、前作ったデータを入れる。ちゃんと反応してるな。


 右手で上段の鍵盤を押す。よし、データも問題なし。さて、弾きますか。


 靴を脱いでジャズシューズを履く。これはエチケットだな。汚れるの嫌じゃん?


 オーケストラ曲を適当にメドレーしたやつだ。なんでこんなに適当にデータ作ったんだっけ?あ、暇潰しだったわ。









 弾き終わったら、目の前になんかいた。


 見たことがない。えーと、まず、人間に近い。それでもって透けてる。燕尾服を着ていて、空に浮いている。あ、あれだ!執事の幽霊!これが近いだろ!


 幽霊ではないのは俺は見分けられる。


 って言うか、感知に引っ掛からない。魔眼にも映らない。まるでクラセントを魔眼で通したときのように其所には何もないように見える。


 見間違いかと思って、何度か瞬きして、目を擦った。居る。頬をつねってみた。あ、防御力高すぎて痛いのかどうか判らん。でも感じるからこれは現実だ。


 ………これは、どうすればいいんだ?魔物がこいつを恐がってるのか俺を恐がっているのか判らんけど遠くでこっちを見ている。


「えっと……言葉わかりますか?」


 あ、頷いた。


「話せますか?」


 首を横に振った。


「なぜここに居るんですか?」


 俺がさっきまで弾いていた電子ピアノを指差す。


「聴きに来たんですか?」


 あ、頷いた。どうやらこれの音につられて来てしまったようだ。


「普段はどこに居るんですか?」


 近くの森の奥を指差す。わー。昼間なのに真っ暗だーい。


「あなたの種族はなんですか?差し支えがなければお教えくださいませんか?」


 ほんの少し考えるそぶりをし、何らかのジェスチャーをとり始めた。なんだこれ。


 えーっと。手を広げて、あ、その長さだって言いたいんだな。うんうん。で、それをそのまま地面に突き刺して?あ、終わった。


 やべぇ。全然判らん。これはなんなんだ?


「すみません……ちょっと理解しかねます」


 あ、落ち込んだ。と思ったら突然俺の腕を引っ張り始めた。


「付いていけば良いんですか?」


 頷いた。暇だし付いていくことにしよう。電子ピアノをストレージにしまって、ジャズシューズを脱いでいつものブーツに履き替える。


 その間もしっかり待ってくれる幽霊執事さん(仮)。礼儀正しいのかな?執事だし。


「お待たせしました。行きましょう」


 なんか若干嬉しそうな顔をして先導してくれる。今更だけどこの人本当になんなんだ?







「おおぅ。なんか怪しげな洞窟……」


 鍾乳洞か?天井から氷柱みたいなものが見える。幽霊執事さん(仮)は早速中に入ってこっちを見ている。入れってか。そのために来たんですけどね。


 なんかあった時のために、念話で一応レイラたちに連絡をいれ、暗視の魔眼と未来視の魔眼をセットし中にはいる。


 本当に大丈夫だよな?この人が魔眼に映らないから正直なんか怖い。


「あれ?なんか水の匂いが強い……」


 幽霊執事さん(仮)は驚いた様子でこっちを見る。匂いで見分けられるのか?スゲー。みたいな反応だ。


『実際そんなところだろう』


 多分な。






 歩いていたら開けたところに出た。すると、なんかでかい魔物が出てきた。ホワイトスネークと呼ばれるレッドスネークの特別種。要は突然変異のアルビノ個体だ。


「倒せばいいんですか?」


 頷いた。どうやらこれを倒さないといけないらしい。聖十刀を取り出して魔力を込める。


 いつ斬ろうか様子を窺っていたら、なんか吐いてきた。とっさに避けると、避けた地面がシュウ、とかいいながら溶けていく。


「毒、それも酸性系の方か」


 もしもの時のために試験管を腰に挿しておく。これはアルカリ性の解毒薬。俺が開発したやつで、毒の酸性度を自分で調べてそれにみあった濃さの液で中和する超優れもの!


 材料費バカにならないけど命には変えられないだろ?金ならあるしな。いくらかなんて言わない。


 もしかしたら毒袋売れるかも。よし!


 魔眼を未来視から透視に変更する。すると、透視でホワイトスネークの魔石の位置がまるわかり!あれを狙えばいいんだから、楽だよな。


 聖十刀に神力を流し、形を変える。鎌に変更。足に魔力を溜めて噴射、最高速度で間合いを詰める。


 いけ!鎌を魔石の位置に突き刺して、抉りとってバックする。心臓と魔石のみが外に出てきて、鎌の先端にくっついている。未だ少し動いている。


 グロテスクだ。


 血を盛大に流しながらホワイトスネークが絶命した。


 グ、グロッ。俺がやったんだけどさ。


 さっさとストレージに収納し、幽霊執事さん(仮)のところへ。幽霊執事さん(仮)は口を開けて唖然とした顔で俺をみてきた。え、何?


『お前がそこまで強いとは思ってなかったんじゃないか?』


 そんなに強い相手でも無かっただろ?


『あ、うん。もう何も言わない』


 は!?そう言われるとなんか腹立つ!

「ホワイトスネークってそんなに強いんですか?」


 あ、めっちゃ頷いてる。


 後で知ったことなんだけど、ホワイトスネークってSランクだったらしい。そりゃ驚くわな。

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