第0話 きっかけ
「知ってる?大金持ちになれる噂。」
「あーあれか。真夜中の学園に行くやつやろ?」
「イツキ知ってる?俺知らない。」
「知らね。レイナは?」
「....知ってる。」
興味なさそうにする俺達と、興味津々のニイカ達。こんな性格が違いすぎる俺達がなぜ一緒にいるのかがわからない。
「今度、行って見ーひん?楽しそうやん!俺も一攫千金...フフ...」
大阪から東京へとやってきたナオは関西弁で楽しそうに喋る。
「えー、真夜中の学園とか怖すぎぃ!ニイ嫌だからね?」
この自分で“ニイ”と名乗るのは俺の幼馴染のニイカだ。勉強は全然だけどスポーツ推薦でこの学園に入学した。
「いいんじゃない?ね、イツキ!」
さっきまで興味なさそうにしていた俺のもう一人の幼馴染のトウマは一攫千金と聞いて急にウキウキしだした。
俺はちょっと呆れたような顔をして
「どっちでもいいけど。」
と言った。本当にどっちでもいいのだからここはみんなの意見に任せようと思う。
「じゃあ決まりな!レイナは?」
「...イツキが行くなら。」
ニイカは最初嫌がっていたが結局全員行くことになった。真夜中の学園と言えば、オカルト研究会のメンバーがゾクゾクするようなイメージを持つ人が多そうだが残念ながらうちの学園は怪談という噂が立ったことがない。夜中に勝手に動き出す人体模型やピアノ...なんて聞いたこともない。
「じゃあ今日の10時学園前集合でええやんな?楽しみやわー♪」
みんな頷いていたが、ちょっと何か引っかかるような気がするのは気のせいだろうか。