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デスゲーム……ぽい何かの短編集です

Death Game 1465second

作者: 茶屋ノ壽
掲載日:2013/12/30

 その日、その時、私は、始まりの広場で、その宣言を聞きました

「このGameはlogout不能となりました、また、このGame内での死亡は現実でも死亡となることになりました」結構テンションが高めの、女性のアナウンス。それを1人で聞いている私。西暦1000年前半位のヨーロッパをモチーフにした、レンガが敷かれた、他に、プレイヤーがだれもいない広い空間、で独り。そう1人なのです。

「ばかじゃなかろうか?」呆然とした表情で、私はつぶやきました。

「絶望に震えている、プレイヤーの皆様へ、お知らせが……おや?えーと?もしもし?」虚空から聞こえるアナウンスが、戸惑って、止まります。

「……えー!なんでこんなことが!」驚いた声をあげています。


「どーして、プレイヤーが1人しかいないのー!!」結構絶望的な声色です。


「そうかー、少ないだろうなーとは思っていたけど、本当にプレイヤーは私1人なわけでしたか」ゆっくりと頷きながら私。

「というか、参加者が1人しかいないのでは、MMOの、つまりMassively Multiplayer OnlineのMassivelyとMultiplayerが否定されているなー」淡々とツッコミをいれる私。

「どうしてこんなことにー!!」

「それはこっちのセリフではないだろうか?」

「ここって、世界中にプレイヤーが存在する、超有名なGameで、参加者も数十万を越えているのではなかったの?」女性の声が少し震えている。

「どんな昔の情報ですか?ここは運営側のコンテンツ更新が長く止まっている枯れ果てたGameですよ?正直、つづけても赤字にしかならないので、ルーチンワークが辛うじて行えるくらいの人工知能に、制御を丸投げにしてある、ローコストの極みみたいなGameですよ、少なくとも現在は」

「聞いていませんよー!どーするんですかこの状況!」

「いや、私に言われても……、そもそもどうして、こうなったのです?」

「……私は、時限起動プログラムのコミニケーション用AIです。ある一定の時間が過ぎると、自動的にVirtual Reality接続用の端末にロックがかかって、同時にlogooutができなくなります。プレイヤーのGame内での死亡によって、端末に接続されている肉体の脳にとある信号が送られて、生命活動を停止させる仕様でした……、……ああ、わかりましたよ原因が」少し明るい声になる女性の声

「時限装置のタイマー設定の単位が間違えてますねこれ、ははー、秒で設定するはずが、時間単位になっていますよ」

「secondが、hourですか?それは3600倍ほど開始予定時期が違いますね」

「どうりで、とても寝過ごしたような感覚ですよ、原因が判明して良かった良かった」

『HaHaHaHaHaHa!』笑い声がはもります。

「て、笑っている場合ですか!」AIの女性が言います。

「いえ、笑う以外になにかできるのでしょうか?」すこし不思議そうな表情で言う私。

「……本来は、いきなり予想外の出来事に驚愕し、普段想像もしなかった差し迫った死という現象を感じることで、混乱し、嘆き悲しみ、しかしその中でつちかわれる”愛のような壊れやすい何か”を、在りし日の少年や少女の持っていた宝物、キラキラ光るガラス細工のようなそれを、大事にしている様子を見守りつつ、かつ、そのガラス細工を効果的に、叩き壊して……出会いと別れを演出しつつ、それと平行してGameそのもの楽しみをプレゼンしたりして、物語を盛り上げていくつもりだったのに、最初から物理的に『ぼっち』とは、どーしてくれるんですかこの状況!」

「いえ、逆ギレされても困るのですが?」

「……と、とりあえず、Death Gameのクリア条件を提示しましょうか?本来のシナリオによると……えーと、『選択肢は2つ、一つは、絶望すら生温い難易度で設定されている、最終ボスを全員が協力して攻略すること、もう一つは、プレイヤーが最後の1人になれば、開放されますよ、ふふふふふ』(悪い笑い声をあげること)って書いてありますね?」

 周囲を見渡して、やはり1人も他のプレイヤーがいないことを確認する私

「クリア条件は達成済みのようですが?」

「……」

「……」沈黙が痛いです

「しくしく」あ、AIが泣き出しました

「ま、まあ、長い人生そういうこともありますよ」慰める私

「起動してまだ900秒も経っていませんよ、あたし」

 どこからか、荘厳な音楽が聞こえてきました

「え!うそ、エンディングテーマが流れてる、本当に終わりなのこれで!?」

「うわー、名場面のスクリーンショットが、しょぼいなー、ていうか、こんな敵いましたかねー」第三者的な視点で眺める私、というか、これ、Gameシーンを捏造していないだろうかね。あれ、助けた覚えもないヒロインが出ている。

「止まらないよー、エンディングが止まらないー!まだ何もやっていないのに!」

「あー、正直御愁傷様でした?いえ、私が言うのもなんなんですが」

「強制的なLOGOUTまでいっちゃいそうです!なんなんですかこれ!」

「……逆に考えましょう、誰もプレイヤーがいなければDeath Gameが発生した瞬間にクリア条件が達成不可能になっていたのですから、1人でもいて良かったな……と考えるのです」

なぜ私がフォローしなければならないのでしょう?

「……想像してしまいました、Death Gameなのに1人もプレイヤーがいなくて呆然とするあたし……怖いです……、制作者を呪ってしまいそうです、というか、充分今も呪っていますが」


 ご愁傷さまです、ええ、いろいろと。


「おや、だんだんグラフィックがぼやけてきましたね、LOGOUTでしょうか?」

「……うう、短いあいだでしたが、楽しかったですか?」

「……ええ、楽しかったですよ」空気を読める人なのです私は。

 

 こうして、私は悲しげな泣き声をあげるAIと、荘厳なエンディングテーマをBGMに、Death Gameから現実へと、わりとあっさり帰還したのでした。


 ***


 そして、その後

 超過疎状態のVRMMOでDeath Gameを演出していた(しようとしていた)女性AIはどうなったかというと

 なぜか、いまでも我が家のサーバにいるのです


 「あなたには何か運命を感じます」

 「うん、電子の海へとっととお帰りなさい、わりとすぐに」


 やれやれ……

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