ていうかレーダーで7つの球探すとかまるでドラゴ○ボールだな。
俺の脳内で再生された記憶は、情報となって頭に残った。
5年前、自らを『魔王サタン』と名乗る男が現れ、たった3年間でこのイマジンワールドを完全に征服した。
そのとき、イマジンワールド人の持つ魔法を使い、願いを叶える石『王願珠』を創らせ、その力で3つの『設定』を作り出した。
1、自分の仲間であるアースワールド人を『魔族』とし、魔族は自然回復ができる。
2、イマジンワールド人は攻撃魔法を使うと、その瞬間、心臓が止まる。
3、アースワールド人は想像した物・現象を具現化させることができる能力『想像具現化設定』を持つ。ただし、この能力で具現化した物は使用者の集中力が切れると同時に消える。また、回復はできない。
この3つである。
これにより、イマジンワールド人は魔族たちの支配に抗えぬまま、2年もの年月を過ごした。
だが、彼らはただ2年を過ごしていたわけではなかった。
イマジンワールドの政府は、サタンに対抗できるアースワールド人を召喚する魔法を研究し、2年間で完成させたのだ。この魔法で7人のアースワールド人を召喚した。しかし、魔法の不具合により7人は時間も場所もバラバラに出てくることになった。
その7人を探すために、政府は使者7人を旅に出した。
そのうちの1人が、フィニア・アルディートなのであった。
「これで知りたいことは全部分かった? シグレ」
フィニアは自慢げに大きな胸を張った。揺れた胸部が俺をドキッとさせる。
「まあな」
胸から目をそらし、素っ気無く答える。
そのとき、ふと新しい疑問が浮かんだ。
「なあ、どうやって召喚したアースワールド人を見つけるんだ? 見ただけじゃわかんねぇと思うが……」
すると、フィニアは人差し指をクリッと回し、空中に魔法陣をつくる。そこから、腕時計のようなものが出てきた。丸い画面にはレーダーのようなものが映っている。
「このレーダーで、召喚したアースワールド人の持っている球を感知し、見つけることができるの」
またまた自慢げに胸を張るフィニア。それやめろよ。ドキッとしちゃうだろうが。
つーか……
「何でおまえが自慢げに話すんだよ?」
「だって、この感知魔法は私がつくった魔法だもん」
まじかよ! すげーな!
ていうかレーダーで7つの球探すとかまるでドラゴ○ボールだな。
……そういえば俺も球持ってるんだよな?
自分の体を触ってみると、首からぶら下がった紅い球のペンダントを見つけた。
「これか……」
「そうそれ」
俺の独り言に答えてくれるフィニア。……いい奴だなぁ……。……だって、たまに学校とかで独り言とか呟くと変な目で見られたりするんだぞ?
「さあ、そろそろ行くよ」
突然フィニアが言った。行くってどこに?
「この近くの森に、勇者反応があったの」
心を読まれたみたいだった。しかも新しい単語が――。
「勇者反応って何だよ?」
「召喚したアースワールド人のことを勇者って呼んでるから勇者の反応を勇者反応って言ってるの」
答えながら俺の腕を摑み、フィニアは走り出した。
■ ■ ■ ■
そして、現在反応があった森の中。
「薄暗くて怖いよぅ……」
俺の腕に抱きついてくるフィニア。羞恥心や警戒心は無いのに(第2部参照)、恐怖心はあるのかよ?
フィニアの双丘に挟まった俺の肘付近が、無駄に熱を帯びていた。なんだか顔も熱くなってきた気がする。
「どうしたの?顔、赤いよ?」
――――ッ!!
このやりとり、前にもあったよなぁ!? おまえのせいだっての!!
上目遣いといい、俺を悶え死なせたいのか!!
まあ、確かにここは薄暗くて不気味だけどさ。幽霊とか出そうな雰囲気だ。
そのとき。
ガサガサッ!!
「きゃあああああああああああああああっ!!!!!!!!」
あ、気絶した。






