おい、説明始まると思ったら急展開だな。
「ここは――――この世界はあなたのいた世界とは違う、もう一つの世界『イマジンワールド』。あなたは勇者としてこの世界に召喚されたの」
「……は?」
意味が分からない。いや、言葉の意味は分かるんだけど……どういうことだ?
「ここは――――この世界はあなたのいた世界とは違う、もう一つの世界『イマジンワールド』。あなたは勇者としてこの世界に召喚されたの」
「聞こえなかったんじゃねぇよ!」
異世界? ありえない。やはり俺は、夢を見てるのか? それとも、あの紐なしバンジージャンプ(思い出したくもないが)で死んで、あの世に来ているのか? いや、さすがにそれは無いよな……。
とにかく、情報を集めよう。
「じゃあ、この世界は異世界だって言うのか?」
「何でちょっと嬉しそうなの……? まあ、あなたのいた世界『アースワールド』から見れば、そうなるよね」
これは本当のこと……なのか?
でも……そういうことだよな? 感覚も現実そのものだし……。
それに、この少女が嘘をついてるとは思えない。なんとなく、だけど。
受け入れがたいことだが、実際にこうやって起きていることだ。俺は受け入れる決意をした。深呼吸し、落ち着いて話を聞こうとする。
「それで……」
「見~つ~けた~っ」
俺が何かを訊こうと口を開いたとき、ちょっと高めの、子供みたいな声とともに声の主であろう少年――――少年? が草陰から飛び出してきた。
その人物は、中性的な顔をしていて性別が分からない。見た感じ、成人はしているようなのだが、声変わりだけはしていないかのように高い声。
「うそっ!? もう追いつかれたの!?」
フィニアが後ずさる。
――――おい、説明始まると思ったら急展開だな。
フィニアは驚きの声を上げながら俺の手を掴み、
「モーメント・ムーブメント!!」
と叫んだ。すると、フィニアの体が黄色い光を放った。いや、俺の体も光って――!?
周りの景色がぐにゃりと歪み、消え、次の瞬間には景色が変わっていた。……まあ、変わったと言っても森の中、木ばっかりだということには変わりないのだが。
「瞬間移動!?」
すげぇ、初体験。まるで、ジェットコースターが落下するときのフワッとする感覚に似ていた。
フィニアのほうを見ると、ふぅ……と息を吐いて安心したように言った。
「これで少しは時間を稼げ……」
「時間が、何だって?」
「!?」
そこには、さっきの少年(?)がいた。