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番外編 結婚、それはほぼ天界の策略です

神様バイトの某日、今日香は神様に気になることを聞いてみた。


「お互いに努力しているのに、夫婦がどうにも上手くいかないとかは、何か理由あるんですか?」


今日香は絵馬の「この結婚が上手くいきますように」「夫婦円満になれますように」という切実な祈願を見て神様に聞いてみた。


「全部がそうではないが、大抵の夫婦は四代前以前の先祖同士が敵味方に分かれて戦った家同士だ。互いの敵の子孫同士で和合のために婚姻を結ぶこともある。その影響も多少はあるな」

「ロミオとジュリエットみたいというか、それじゃあ、政略結婚と同じじゃ無いですか?」

「まあ、似たようなものだな。おまえの家もそうだぞ」

「えええ!?」


源氏と平家、戦国時代の敵同士、そしてもっと昔のケースもあるとか。


我が家は北条氏の時代に敵同士。

というか、この神社自体がその絡みだ。


(うわあ······)


「それにな、でき婚はできればしない方がいいぞ」

「どうしてですか?」

「先祖達は順序や順番を守らない結婚を快く思わない。結婚してから子を成すのが基本だ。でき婚になると先祖の機嫌を損ねて守護が減ったりするからだ。下手したらその結婚が困難なものになるよう意地悪をされるぞ」

「そ、それじゃあ不倫なんかしたら······」

「当然怒るだろうな。托卵とかも論外だ」


天罰が下るというのは神の逆鱗にふれるとということだけれど、ご先祖様の逆鱗にふれる、自分のご先祖様の不興を買うと夫婦は上手くいかなくなるということだ。


伴侶や嫁いだ家を大切にしないと、そうなるのでしょうね。


家系の業を減らすための結婚でもあるのだから、余計に業を増やすようなことをする伴侶は歓迎しない、歓迎されないということらしい。


『お天道様が見ている』


それは神が見ているということだけでなくて、ご先祖様達も見ているということなのね。


見合い結婚ではなく恋愛結婚、大恋愛の末に結婚したとしても、裏ではそんな事情があって縁組みされていることもあるのだ。


もちろん業の無い家系、業の少ない家系は、その限りではないそうだ。


「それからな」

「はい、何でしょうか」


今日の神様はよく喋る。


「結婚すると夫の家系の未成仏な霊を妻は背負うものなんだ」

「なぜ女性側が背負うのですか?」

「かつての女の原型が犯した罪に関係している」

「······それは、聖書の原罪の部分ですか?」

「そういうことだ」


今日香は納得がいかず、眉間に皺を寄せた。


「離婚したとしても、それはついてくる。何度も結婚すると、その分増えるだろうな」

「ええっ?そんな、理不尽ですよ!」


結婚についての裏情報を聞くにつけ、今日香は結婚願望が薄れてゆくのだった。


(結婚て、甘くないよね)


「まだ十六歳なんですよ、私!」

「フッ、お今日、お前が不倫や離婚をしなければいいだけだぞ」

「不倫と托卵なんか絶対にしませんよ!でも絶対離婚をしないなんて、それは結婚してみないとわからないじゃないですか」

「おまえはかなり晩婚だから、まず離婚はしないぞ」

「~~~~!!」


(そんなの知りたくなかった······)


もう巫女バイト、神様バイトなんて辞めてやると息巻く今日香だった。



(了)

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