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7.初めての人助け


 無事だと良いけど……。馬車に揺られながらミドリはそう考える。


--------------------数時間前--------------------


「ミドリ、昨日王と話していた依頼の件ですが、早速1件入りましたので向かいましょう」

「早速ですね。どういう内容なんですか?」

「近隣の村にゴブリンが現れ若い娘が2人連れ去られ、その際父親が負傷したとのことです。父親の怪我は大した事はないですが、2人の女性が心配なので急ぎましょう」

「はい!すぐに向かいましょう。」


 そしてキース、ミドリ、ギルバートの3人は急ぎ準備を済ませ用意された馬車へと乗り込み村へと急ぐ。


--------------------------------------------------


 村に到着すると村長だと名乗る男性が出迎える。


「依頼を受けていただきありがとうございます。若いのが急いで追いかけたところ村の東側に洞窟があり、そこにゴブリンの巣ができていたとのことです。数はわかりませんがそこまで大規模ではないと思われます」

「分かりました。では2人ともすぐに向かいましょう。ミドリの戦闘力であればすぐに殲滅できると思われますが、今回は要救助者がいるので雷魔法は禁止です。それとダンジョン外のモンスターはダンジョン内に比べ知能が高い為、罠などを警戒して下さい」

「分かりました。急ぎましょう!」


 そして村の男性に洞窟へと案内され、ミドリが洞窟へ入ろうとするとキースに制止される。声を出さないようにと口に人差し指を立てながら、足元を指差す。よく見ると(くるぶし)くらいの高さに草に紛れてロープが仕掛けられており、洞窟内へと続いている。


「多分これは警報装置のようなものでしょう。足が引っかったり切れたりすると中のゴブリンたちが気付いてしまうので慎重に進みましょう」


 そう囁くキースに頷いて了承の意思を伝える。そしてキースを先頭に洞窟の奥へと進む。道中は人と思われる骨を木にくくりつけたトーテムや、岩陰に木の杭を突き立てた罠など粗末なれど人間に対する悪意が滲む仕掛けが多々見受けられた。


 そうして洞窟の一番奥まで進むとロープに縛られた女性2人が部屋の中心に座らせられていた。女性たちはこちらに気付くとモゴモゴと騒ぎ始める。キースが口に人差し指を立てて制止するも女性たちは更に大きく騒ぐ。恐怖で錯乱していると判断し、救出する為にギルバートが一歩を踏み出す。その瞬間入り口からは死角になっている箇所からゴブリンが数匹飛び出しギルバートに襲いかかる。しかし奇襲は成功すること無くゴブリン達は血溜まりへ落ちていく。


「助かりましたミドリ様。」

「いえ、無事で何よりです。早く女性たちを救いましょう」


 そう言い女性に近寄ると暗がりから一回り大きなゴブリンが歩み出た。警戒するキースとギルバートをよそに、ミドリが剣へと手を伸ばす。


「マテ」


 突然の制止する声にその場に居た人間が一瞬固まる。声の主は目の前のホブゴブリンだ。


「ハナシアイ ヲ キボウ スル ガ ドウカ?」


 そう言いホブゴブリンは手に持っていた大鉈を床に捨て粗末な玉座に腰掛ける。


「貴様と話す必要はないと思うが?」


 キースが刺々しくそう返答するとホブゴブリンは口の端を少し上げて言葉を発する。


「コトバ ガ ツウジル ナラ ハナシアイ ハ カノウ ダナ」


 キースは明らかに不満だと言わんばかり舌打ちをするも意に介さずホブゴブリンは続ける。


「ナゼ ワレワレ ヲ コロス?」

「それはあなたちが人を襲うからでしょう!?」

「ナラバ コンゴ ヒト ヲ オソワナイ ト チカイ オンナ ヲ カイホウ スレバ ユルサレル ノカ?」

「残念だけど私達はその言葉を信用できない」

「ザンネン ダ。オンナ、オマエ ハ ギモン ニ オモワナイカ?ナゼ ワレラトオマエタチ ハ イガミ アウ ノカ」


 苛立ちを隠し切れずキースが声を荒げる。


「この話し合いに意味はありません!早くやつを殺して女性を助けましょう!」


 キースの叫びを無視しミドリは疑問をぶつける。


「どうして言葉が通じるのにあなた達はこんな事をするの?お互い平和に暮らす事はできないの?」

「ザンネン ナガラ ムリ ダ」

「どうして?」

「タダノ ()()()()()() ダカラ ダヨ」


 そう言いながらホブゴブリンが歪むように笑うと、ミドリたちの後ろ側から無数の槍が飛び出す。その槍が目標に到する瞬間真っ二つに叩き切られ地面へ落ちる。


「じゃあ、交渉決裂ね」


 そうミドリが告げると同時に背後からゴブリンが十数体襲いかかる。しかし、その全てが剣の一振りで肉塊へと化し地面へと落ちる。


「ハッ! バケモノ ガ!」


 眼の前のホブゴブリンが嘲笑の混じる声で吐き捨てて大鉈を拾い、ミドリへと襲いかかる。ホブゴブリンは力強く大鉈を振り下ろすが、虚しく空を切る。ミドリが剣を振り小さく風切り音がすると、ホブゴブリンの胴体が下半身から滑り落ちる。ホブゴブリンは諦めたようにゆっくりと瞳を閉じ、最後の言葉を絞り出す。


「シイタゲラレシモノタチ ニ サチ アレ」


 そして血の滴る音だけが響く室内で、彼は生涯を終えた。


 その後は娘たちを救出し洞窟から脱出した後、キースが洞窟に向けて爆裂魔法を放つ。洞窟は崩れ、ただの山の斜面となる。


「これで今後魔物が住み着くことはないでしょう。娘さんたちも無事でしたし村に報告して王城へと戻りましょう」


 娘たちを村に送り届けると頭の包帯に血を滲ませながら父親が駆け寄り、泣きながら娘を抱き寄せる。娘たちもやっと助かった実感が湧いたのか釣られて泣き出してしまう。村長がお礼を告げ、ミドリたちは馬車に乗り王城へと向かう。


「ゴブリンって人間の言葉を喋れるんですね。」

「あれはゴブリンの上位種であるホブゴブリンでした。非常に稀ではありますが、知能が特別高い個体だったのでしょう。」

「今回はダメでしたけど、意思の疎通できる魔物や魔族であれば話し合いで解決することはできないんですかね?」

「奴らは基本的に人間を害する生き物です。共存することはできないでしょう」

「そうですか……」


 キースにそう言われ、正しいことだったと無理やり納得する。しかし、少しだけ後味の悪さがミドリの胸に残った。


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名前:サトウ ミドリ

職業:勇者

STR:133   CON:157   DEX:186

INT:84(-40) POW:60(+40) LUK:15


スキル:身体強化  Lv.8    

    剣術    Lv.9    

    魔力強化  Lv.8    

    雷魔法   Lv.6    

    光魔法   Lv.6    

    生活魔法  Lv.1[MAX]

    異世界言語 Lv.1[MAX]

    鑑定    Lv.1[MAX]

    無詠唱   Lv.1[MAX]

    転移魔法  Lv.1

    高速移動  Lv.2    UP!


称号:召喚されし者   裏切り者    勇者やってます

   元JK       恋愛体質    チート万歳

   愛し子  異世界恋愛道中


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